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第二章 その一歩は何をもたらす
アルバイトが始まる
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遊さんのアルバイト先が決定した。
山の麓にあるファミレス。
車でニ十分かかる位置――滑落すれば時短できそうだが――に建っている。
そして、遊さんの送迎は僕が担当する。
週明けの月曜日。
遊さんの出勤初日を迎えた。
「遊ちゃん、無事に帰ってくるんだよ」
「体に気をつけてね、ゆうねぇ」
玄関にて、星寧と依乃さんが遊さんに言葉を掛ける。戦地へと赴く大事な人を見送るかのような面持ちで。
「あー、えっと、サヨナラは言わないっす……?」
首を傾げながら二人の雰囲気に合わせた言葉を捻り出す曙さん。
「や、二人とも大げさすぎ~。優玲ちゃんも無理に合わせなくていいから」
遊さんは普段通りの明るさで、みんなに言葉を返す。
「遊、お仕事行ってきまーすっ!」
遊さんは微笑みを残し、他の三人はいってらっしゃいと手を振り送り出す。
さっき遊さんは大げさだと言っていたが、今日という日はこの屋敷の住人が外の世界へと踏み出す初めての日となる。
態度にこそ出していないが、内心僕もグッとくるものがあった。
遊さん、頑張れ。
心の中で応援しながら、僕らは送迎用の車へと乗り込む。
「車の運転ができるなんて、シューくんって大人なんですねっ」
運転席に座る僕に、助手席の遊さんが微笑みかけてくる。
「年齢はね。大人になった自覚はあまり無いですが」
言葉を返しながらシートベルトを締め、車を発進させる。
屋敷を出るとすぐに山道だ。
曲がりくねったでこぼこ道を、安全運転で下っていく。
時折遊さんに話しかけられ、それに相槌を打つ。
そんな心地良さと共に時間は流れていく。
山を下り終え、民家がちらほらと見えてくる。
そして、三分ほど車を走らせファミレスに到着した。
「送ってくれて、ありがとうございました~」
車から降りる前に、遊さんが笑顔でお礼を伝えてきた。
「いってらっしゃい、遊さん」
僕も笑顔で見送りの言葉を送る。
「うんっ、行ってきまーすっ!」
元気な返事を残して、遊さんは車から降りる。
ドアを閉める直前、遊さんは車内を覗き込んで。
「隣でシューくんが運転してると、デートみたいでドキドキしちゃいましたっ」
ちょっぴり照れくさそうにはにかんだ後、遊さんは今度こそドアを閉め、小走りで店内へと向かっていった。
山の麓にあるファミレス。
車でニ十分かかる位置――滑落すれば時短できそうだが――に建っている。
そして、遊さんの送迎は僕が担当する。
週明けの月曜日。
遊さんの出勤初日を迎えた。
「遊ちゃん、無事に帰ってくるんだよ」
「体に気をつけてね、ゆうねぇ」
玄関にて、星寧と依乃さんが遊さんに言葉を掛ける。戦地へと赴く大事な人を見送るかのような面持ちで。
「あー、えっと、サヨナラは言わないっす……?」
首を傾げながら二人の雰囲気に合わせた言葉を捻り出す曙さん。
「や、二人とも大げさすぎ~。優玲ちゃんも無理に合わせなくていいから」
遊さんは普段通りの明るさで、みんなに言葉を返す。
「遊、お仕事行ってきまーすっ!」
遊さんは微笑みを残し、他の三人はいってらっしゃいと手を振り送り出す。
さっき遊さんは大げさだと言っていたが、今日という日はこの屋敷の住人が外の世界へと踏み出す初めての日となる。
態度にこそ出していないが、内心僕もグッとくるものがあった。
遊さん、頑張れ。
心の中で応援しながら、僕らは送迎用の車へと乗り込む。
「車の運転ができるなんて、シューくんって大人なんですねっ」
運転席に座る僕に、助手席の遊さんが微笑みかけてくる。
「年齢はね。大人になった自覚はあまり無いですが」
言葉を返しながらシートベルトを締め、車を発進させる。
屋敷を出るとすぐに山道だ。
曲がりくねったでこぼこ道を、安全運転で下っていく。
時折遊さんに話しかけられ、それに相槌を打つ。
そんな心地良さと共に時間は流れていく。
山を下り終え、民家がちらほらと見えてくる。
そして、三分ほど車を走らせファミレスに到着した。
「送ってくれて、ありがとうございました~」
車から降りる前に、遊さんが笑顔でお礼を伝えてきた。
「いってらっしゃい、遊さん」
僕も笑顔で見送りの言葉を送る。
「うんっ、行ってきまーすっ!」
元気な返事を残して、遊さんは車から降りる。
ドアを閉める直前、遊さんは車内を覗き込んで。
「隣でシューくんが運転してると、デートみたいでドキドキしちゃいましたっ」
ちょっぴり照れくさそうにはにかんだ後、遊さんは今度こそドアを閉め、小走りで店内へと向かっていった。
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