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第45話 どこかで聞いたあの台詞です
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椋鳥一座の公演二日目。
エプレを加えたマユミ達は昨日と同じ最前列中央の席へ真っ直ぐ向かう。
「え、一番前の席なの?」
「うん、ひょっとしてエプレさんは後ろの方が良かった?」
場合によっては最前列より少し後ろくらいが良いという人もいる。
一瞬エプレもそういうタイプなのかと思ったが、単にいい席で驚いていただけのようだった。
「そんな事はないけど・・・こんな良い席もらっていいのかなって・・・」
「わざわざお店の仕事を抜けてもらって来てもらっているのだから、その辺りは気にしないでいいわ」
「ありがとう・・・それにしてもすごい数ね・・・」
座席から後ろを振り返り、客席の様子を見ながらエプレが呟く。
前日の評判が良かったからだろうか・・・客の数が増えているように見える、この分では立ち見も溢れてしまうのではないだろうか。
「まるで、街中の人間が集まってきたかのようですね」
「実際そうかも知れないわ、うちのお店とか今頃は閑古鳥が鳴いているかも・・・」
「だとしたら、少しは気が楽になるわね」
「いっそ店を閉めてもらって店長さんも来てもらえばよかったかな」
「ふふっ、そうね・・・お父さん退屈してそう」
そうこうしているうちに開演の時間になったようだ、昨日と同じように座長が舞台に上がって挨拶を始めた。
「オホン、えー皆様、本日はお集まりくださり、ありがとうございます・・・本日はまさに満員御礼と申しましょうか・・・」
この話の長さも昨日と同じだ・・・いつ始まるのかとそわそわしているエプレにマユミはそっと耳打ちする。
「・・・このお話、もうちょっと掛かるから楽にしてて・・・」
「ああ、そうなのね・・・」
その来客数に気分を良くしたのか、座長の話は昨日よりも少し長かった。
舞台袖でミーアは開演に備え待機していた。
幸いなことに傷は衣装で隠すことが出来た・・・傷の方も昨夜の団員が薬を持って来てくれたおかげで具合が良かった。
(大丈夫・・・私はやれる・・・見てて、マユミ・・・)
そして舞台が始まった・・・今の自分はミーアじゃない、妖精の姫フィーリアだ。
「殿下、そんなに慌てて進まれては、兵が着いてこれませぬ」
「ああ、そうだな、すまない・・・私としたことが功を焦っていたようだ・・・しかしこの森のなんと広大な事よ・・・」
場面は王の命を受けた王子達が森に入ってくるシーン・・・そろそろミーアの出番だ。
「王に命じられたまま森を進む王子・・・彼はそこで運命的な出会いをするのです!」
道化が観客の注意を引き付ける・・・
その隙にミーアは気配を殺して配置についた、第一声に意識を集中する・・・
「誰か・・・そこにいるのですか?」
(ミーアちゃんの出番だ・・・)
その声を聴いたマユミが舞台に注目する・・・相変わらず綺麗な声をしていて羨ましい。
だが、その声には何か違和感があった・・・
(ちょっと硬い?・・・緊張してるのかな・・・)
だがマユミはその違和感を気にしなかった。
そもそも、まったく同じ芝居をするというのは普通に難しい、マユミも養成所のレッスンの時講師に「さっきと同じ芝居をしろ」と言われて全然出来なかった経験があった。
本当に良い芝居というのは「その瞬間」にしか存在できないのだろう・・・
(ベテランの方々はそれをやってのけるからすごいんだけどね・・・)
・・・残念ながらマユミも、ミーアも、まだその域に達してはいない。
今はただ日々の努力を積み重ねるだけだ。
物語はそろそろ佳境、反旗を翻す決意をした王子が姫を幽閉先から連れ出す所だ。
「お願いです・・・私などの為にあなたが傷つくところをもう見たくないのです」
精一杯姫を演じるミーア・・・薬の効き目が切れてきたのか痛みを感じるが、それを表に出したりはしない。
だが、王子が姫を抱きかかえるべく、その身体を引き寄せた時・・・
「!・・・くぅ・・・」
身体に走る激痛にミーアは思わず表情を歪めてしまう・・・
だがそれも一瞬の事、ミーアは不屈の精神力で何事もなかったように芝居を続けるのだった。
(あれ、今・・・何かあったのかな・・・)
さすがに最前列のマユミはそれに気付いたが、ほとんどの客は何も気付かずにいた。
仮に何かがあったとしても、もうすぐ舞台は終幕・・・ミーアの出番もあとわずかだ。
(がんばって、ミーアちゃん)
客席で応援する事しか今のマユミには出来なかった。
そして舞台は大詰め、王と王子の一騎打ちのシーンだ。
ミーアの演じる姫が不安そうに二人の戦いを見ている・・・のだがその顔色の悪さは演技だけではなかった。
(大丈夫、あと少し・・・私はやれる・・・)
傷口が開いてしまったようだ・・・衣装越しに包帯に血がにじむのが見える。
王子が王の剣を弾く・・・この後、苦し紛れに王が投げる短剣をキャッチし、まるで刺さったかのように演じるのが彼女の役割だが・・・
「父よ、これで終わりだ!」
「くぅ・・・させるかあっ!」
王が短剣を投げ、王子が剣を振り下ろす・・・その刹那・・・
カシャン・・・
ミーアの方から、そんな金属音がした。
そして予定より早いタイミングで崩れ落ちるミーア・・・そのドレスが赤く染まっていく・・・
「や、やった・・・ぞ・・・フィーリア?」
台詞を呆然と呟く王子・・・だがそれは演技ではなく・・・
「ミーアちゃん?!」
マユミの悲鳴が会場に響いた・・・
その声で我に返ったのか、慌ててミーアに駆け寄る王子役。
「なんということだ・・・フィーリア、私はどうすればいい・・・教えてくれ・・・」
アドリブで話の流れを繋ぎつつ、ミーアを抱えて舞台袖へと足早に消えていく・・・さすがは主役を任される役者といったところか。
マユミも舞台の邪魔をしないように身を屈めてゆっくりと、ミーアが運ばれた方へと向かった・・・
「ミーアちゃん!」
舞台袖の裏側に回ったマユミがそこで見たのは、ぐったりとして意識のないミーアだった。
そのドレスの色は今や黒へと変わっていた・・・決して血糊の色ではない。
「なに・・・これ・・・なんで・・・」
「いや、お俺は何も・・・」
王子役の男も気が動転しているようで、何も出来ずに立っていた。
そこへ昨日の団員達が駆けてくる。
「おい、大丈夫か?」
「とりあえず、包帯を取り換えるぞ」
彼らは慎重に血に染まったドレスを破り・・・中の包帯と、傷口を顕わにした。
「ひどい・・・どうして・・・」
「お前たち、これはどういう・・・」
「詳しい事は俺達も知らねーよ、昨日の公演の終わり際に、こいつがどこかで怪我をしたらしくてな・・・」
「なんでその時にすぐ言わない!」
「いや、それは・・・」
「俺は座長に報告に言ったぞ、でもまともに取り合ってくれないし、こいつも役を降りたくないって言うから・・・」
「なんてことだ・・・」
「もうそんな事どうでもいいよ!今はミーアちゃんを助けないと・・・」
なにか自分に出来ることはないだろうか・・・マユミは必死に考える。
目の前の団員達は特に手慣れているわけでもないようで、包帯を巻く手つきはたどたどしかった。
早く医者に連れていくべきだが、下手に動かすのも危うい・・・であるならば・・・
意を決したマユミはステージへ駆けあがった。
「!!なんだお前は?」
ステージでは座長が終演の挨拶をしている所だった・・・突然現れたマユミに客達の注目が集まった。
マユミは客席を見回しながら前方に進み、大きく息を吸い込む・・・そして・・・
「お客様の中に、お医者様はいらっしゃいませんか?」
ドラマか何かで聞いたその台詞を大きな声で口にするのだった。
「おいお前いい加減に・・・」
「一座の女の子が酷い怪我をしているんです、お願いします!助けてください!」
座長自らマユミを捕まえて舞台上から連れ出そうとするが、気にせずマユミは声を出し続けた。
エプレを加えたマユミ達は昨日と同じ最前列中央の席へ真っ直ぐ向かう。
「え、一番前の席なの?」
「うん、ひょっとしてエプレさんは後ろの方が良かった?」
場合によっては最前列より少し後ろくらいが良いという人もいる。
一瞬エプレもそういうタイプなのかと思ったが、単にいい席で驚いていただけのようだった。
「そんな事はないけど・・・こんな良い席もらっていいのかなって・・・」
「わざわざお店の仕事を抜けてもらって来てもらっているのだから、その辺りは気にしないでいいわ」
「ありがとう・・・それにしてもすごい数ね・・・」
座席から後ろを振り返り、客席の様子を見ながらエプレが呟く。
前日の評判が良かったからだろうか・・・客の数が増えているように見える、この分では立ち見も溢れてしまうのではないだろうか。
「まるで、街中の人間が集まってきたかのようですね」
「実際そうかも知れないわ、うちのお店とか今頃は閑古鳥が鳴いているかも・・・」
「だとしたら、少しは気が楽になるわね」
「いっそ店を閉めてもらって店長さんも来てもらえばよかったかな」
「ふふっ、そうね・・・お父さん退屈してそう」
そうこうしているうちに開演の時間になったようだ、昨日と同じように座長が舞台に上がって挨拶を始めた。
「オホン、えー皆様、本日はお集まりくださり、ありがとうございます・・・本日はまさに満員御礼と申しましょうか・・・」
この話の長さも昨日と同じだ・・・いつ始まるのかとそわそわしているエプレにマユミはそっと耳打ちする。
「・・・このお話、もうちょっと掛かるから楽にしてて・・・」
「ああ、そうなのね・・・」
その来客数に気分を良くしたのか、座長の話は昨日よりも少し長かった。
舞台袖でミーアは開演に備え待機していた。
幸いなことに傷は衣装で隠すことが出来た・・・傷の方も昨夜の団員が薬を持って来てくれたおかげで具合が良かった。
(大丈夫・・・私はやれる・・・見てて、マユミ・・・)
そして舞台が始まった・・・今の自分はミーアじゃない、妖精の姫フィーリアだ。
「殿下、そんなに慌てて進まれては、兵が着いてこれませぬ」
「ああ、そうだな、すまない・・・私としたことが功を焦っていたようだ・・・しかしこの森のなんと広大な事よ・・・」
場面は王の命を受けた王子達が森に入ってくるシーン・・・そろそろミーアの出番だ。
「王に命じられたまま森を進む王子・・・彼はそこで運命的な出会いをするのです!」
道化が観客の注意を引き付ける・・・
その隙にミーアは気配を殺して配置についた、第一声に意識を集中する・・・
「誰か・・・そこにいるのですか?」
(ミーアちゃんの出番だ・・・)
その声を聴いたマユミが舞台に注目する・・・相変わらず綺麗な声をしていて羨ましい。
だが、その声には何か違和感があった・・・
(ちょっと硬い?・・・緊張してるのかな・・・)
だがマユミはその違和感を気にしなかった。
そもそも、まったく同じ芝居をするというのは普通に難しい、マユミも養成所のレッスンの時講師に「さっきと同じ芝居をしろ」と言われて全然出来なかった経験があった。
本当に良い芝居というのは「その瞬間」にしか存在できないのだろう・・・
(ベテランの方々はそれをやってのけるからすごいんだけどね・・・)
・・・残念ながらマユミも、ミーアも、まだその域に達してはいない。
今はただ日々の努力を積み重ねるだけだ。
物語はそろそろ佳境、反旗を翻す決意をした王子が姫を幽閉先から連れ出す所だ。
「お願いです・・・私などの為にあなたが傷つくところをもう見たくないのです」
精一杯姫を演じるミーア・・・薬の効き目が切れてきたのか痛みを感じるが、それを表に出したりはしない。
だが、王子が姫を抱きかかえるべく、その身体を引き寄せた時・・・
「!・・・くぅ・・・」
身体に走る激痛にミーアは思わず表情を歪めてしまう・・・
だがそれも一瞬の事、ミーアは不屈の精神力で何事もなかったように芝居を続けるのだった。
(あれ、今・・・何かあったのかな・・・)
さすがに最前列のマユミはそれに気付いたが、ほとんどの客は何も気付かずにいた。
仮に何かがあったとしても、もうすぐ舞台は終幕・・・ミーアの出番もあとわずかだ。
(がんばって、ミーアちゃん)
客席で応援する事しか今のマユミには出来なかった。
そして舞台は大詰め、王と王子の一騎打ちのシーンだ。
ミーアの演じる姫が不安そうに二人の戦いを見ている・・・のだがその顔色の悪さは演技だけではなかった。
(大丈夫、あと少し・・・私はやれる・・・)
傷口が開いてしまったようだ・・・衣装越しに包帯に血がにじむのが見える。
王子が王の剣を弾く・・・この後、苦し紛れに王が投げる短剣をキャッチし、まるで刺さったかのように演じるのが彼女の役割だが・・・
「父よ、これで終わりだ!」
「くぅ・・・させるかあっ!」
王が短剣を投げ、王子が剣を振り下ろす・・・その刹那・・・
カシャン・・・
ミーアの方から、そんな金属音がした。
そして予定より早いタイミングで崩れ落ちるミーア・・・そのドレスが赤く染まっていく・・・
「や、やった・・・ぞ・・・フィーリア?」
台詞を呆然と呟く王子・・・だがそれは演技ではなく・・・
「ミーアちゃん?!」
マユミの悲鳴が会場に響いた・・・
その声で我に返ったのか、慌ててミーアに駆け寄る王子役。
「なんということだ・・・フィーリア、私はどうすればいい・・・教えてくれ・・・」
アドリブで話の流れを繋ぎつつ、ミーアを抱えて舞台袖へと足早に消えていく・・・さすがは主役を任される役者といったところか。
マユミも舞台の邪魔をしないように身を屈めてゆっくりと、ミーアが運ばれた方へと向かった・・・
「ミーアちゃん!」
舞台袖の裏側に回ったマユミがそこで見たのは、ぐったりとして意識のないミーアだった。
そのドレスの色は今や黒へと変わっていた・・・決して血糊の色ではない。
「なに・・・これ・・・なんで・・・」
「いや、お俺は何も・・・」
王子役の男も気が動転しているようで、何も出来ずに立っていた。
そこへ昨日の団員達が駆けてくる。
「おい、大丈夫か?」
「とりあえず、包帯を取り換えるぞ」
彼らは慎重に血に染まったドレスを破り・・・中の包帯と、傷口を顕わにした。
「ひどい・・・どうして・・・」
「お前たち、これはどういう・・・」
「詳しい事は俺達も知らねーよ、昨日の公演の終わり際に、こいつがどこかで怪我をしたらしくてな・・・」
「なんでその時にすぐ言わない!」
「いや、それは・・・」
「俺は座長に報告に言ったぞ、でもまともに取り合ってくれないし、こいつも役を降りたくないって言うから・・・」
「なんてことだ・・・」
「もうそんな事どうでもいいよ!今はミーアちゃんを助けないと・・・」
なにか自分に出来ることはないだろうか・・・マユミは必死に考える。
目の前の団員達は特に手慣れているわけでもないようで、包帯を巻く手つきはたどたどしかった。
早く医者に連れていくべきだが、下手に動かすのも危うい・・・であるならば・・・
意を決したマユミはステージへ駆けあがった。
「!!なんだお前は?」
ステージでは座長が終演の挨拶をしている所だった・・・突然現れたマユミに客達の注目が集まった。
マユミは客席を見回しながら前方に進み、大きく息を吸い込む・・・そして・・・
「お客様の中に、お医者様はいらっしゃいませんか?」
ドラマか何かで聞いたその台詞を大きな声で口にするのだった。
「おいお前いい加減に・・・」
「一座の女の子が酷い怪我をしているんです、お願いします!助けてください!」
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