リナ・セレネーレの物語

桜井あこ

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一年生

宿泊学習のご用意

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さっきから私の胸はワクワクしっぱなしだ。
今日の授業の終わりに先生に配られた用紙をベッドに寝転がって見つめる。

『宿泊学習の予定』

森の中にある二十体以上もの石像、それはメドゥーサが歴史上の英雄を石化させたというもので、その森に住んでいる羊飼いがメドゥーサに追われ、羊飼いは隠れたが彼を誘き寄せようとメドゥーサが羊を襲おうとしたときに、羊を逃がそうとその英雄たちの石像に隠れて羊を引率するための笛を吹くと、英雄たちが目を覚ましメドゥーサを森の奥深くに追い払ったという伝説が残っている場所へ行く。
その場所へ行ったとき感想を発表しないといけないらしいから事前学習したり、することは沢山ある。
でも泊まりだなんてめちゃくちゃ楽しみだ。
あー早く来ないかなーと窓から見える三日月に目を細めた。

○○○○○○○○○○

消灯二時間前。

「うっわ。メドゥーサ怖すぎ」

私、リリーは図書館でメドゥーサに関する本を読み漁っていた。
オレンジの光が白色の紙を照らす。
もうカーテンは閉まっているから、この照明だけが頼りだ。

「ラズベリーさん。まだ本読んでるのかい?」
「うわっ」

思いがけず聞こえた声に肩が揺れた。

「あ・・・・・・ルナール先生」
「ごめん、驚かせたかな」
「いえ、大丈夫です」

そっか。と言いながら彼はイスを引いて私の横へ座る。

ルナール先生。
このセビラ魔法学校火属性教師がどんな人かと聞くと十人中十人、百人中百人がイケメンだと答える。
涼しげな切れ長の目にひとつに纏めた色素の薄い髪。白いスーツが似合うこの先生は、ミステリアスな雰囲気からお年頃の少女たちはもちろん、授業の面白さから少年たち、人当たりの良さから他の教員や保護者にまで幅広い人気を得ていた。
フィンさんが属する火魔法を担当していて、他にも一般魔法で火魔法を私たちの学年に教えてくれている。
赤ぶちメガネをかけていてそれもクールでかっこいい。のだとか。世界ってイケメンには優しいよね。

「ふーん。メドゥーサか」
「はい。今度英雄のいわやに行くので」

なるほどねーとルナール先生は本をパラパラとめくる。

「メドゥーサは悪魔とされることが多いんだ」
「そうなんです。三姉妹のうち唯一不死身じゃないらしくて。でも私が悪魔って聞いたらやっぱり・・・・・・」
「やっぱり?」
「“あかの悪魔”を思い出しちゃうんですよね。・・・・・・先生?」
「ん? 何かあったかい」
「あ、いえ、なにも」

それより、と先生は言葉を続けた。

あかの悪魔ってなんだい?」

知らないんですかと聞けば肯定された。ルナール先生はここの出身じゃないらしい。

「先生どこ出身ですか?」
「結構な田舎だよ」

田舎でこんな顔の良い男が産まれるか、神様はだいぶ気分屋だ。

「じゃあ話を戻して、あかの悪魔は、千年以上生きている古代の大悪魔です。悪さも数えきれないほどで、呪師に血の呪いをかけられるっていうのが有名ですかね」
「へーえ。その悪魔は今どこに?」
「さあ。死んではいないとされています。血の呪いは“十万人の助けをすること”それが達成されるまで、死ぬことはできないとも。もしかしたら私たちのすぐ近くにいるかもしれないですね」
「確かにそうかも」

もう遅いしおやすみと言われ、時計を見たら消灯一時間前。
メドゥーサの本や、英雄のいわやについての本を借りて部屋に戻った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
久しぶり~のとうーこう~🎶
みんな忘れてないか心配する桜井あこです。
新章ということもあってみなさんが期待しているようなものじゃないのではとも緊張しています。(こんな腐ったゴミ箱みたいなやつが何言ってんだよって話ですよね)そして、リンダとフランメが私たちを出さんかいと怒っているので、今度彼女たちについて書こうと思います(*^^*)
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