リナ・セレネーレの物語

桜井あこ

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なりたいもの

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この世界には様々な職業がある。
平民の依頼をこなすのがイェーゲル。国中を周り、そこで手に入れた商品を売買するのが商人。人々の病気や怪我を治すのが医師や薬師くすりし。国の平和を守ってくれるのが騎士団・・・・・・等々、数え始めたらキリがないくらいにある。
私の母は商人で、父が騎士。
国のはしっこあたりにある小さな村で生まれた。
優しいくて仲の良い両親に囲まれて、私は幸せだ。
けれど、これだけはちょっと控えてほしい。
十歳ぐらいになってからよく親に聞かれる質問。

「ねぇ、リナは大きくなったら何になりたいことある?」
「・・・・・・特にないかな」

ことあるごとにこんな質問をされる子供は、私だけではない。
幼なじみたちも、将来の夢を聞かれまくってうんざりしていた。
大人になるまでの半分の年齢しか生きていないのに、そんなことを聞かれてしっかり答えられる子が全員に当てはまるとは思えない。大人は何かとはやとちりすぎる。
十二歳になったら私たちは学校に通わなければならない。
それは国の中心にあるセビラ魔法学校。
国王さまが学びに差別がないように平民貴族関係なく魔法や勉学が学べるようにと教育法を整えて、身分に関わらず自分の選びたい道を選べるようにしてくれた。
国の中にいくつもの学校があり、私が入学する学校がたまたまそこだったのだ。
親が私の将来を拓くための選択肢を増やそうとしてくれているのは嬉しいけど、自分の将来は自分で決める。
他人にどうこう言われて決めるものではない。
それにまだやりたいことがないというのも、一点に集中して他の可能性を見逃してしまうより、選びようがあっていいじゃないか。
私の住んでいる村からは離れた場所にある学校なので、私は寮生活になる。
しっかりと頑張ろう。
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