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人生は晴れときどき雨、
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出来上がったカレーをふたり分テーブルの上に並べた。
スプーンは俺の分しか置いていない。
葛城は自分の分のスプーンは? と問うような視線を向けてきた。
とりあえずその視線はスルーする方向で、と。
「はい、ではいただきます!」
俺は両手を合わせて元気よくそう言うとスプーンですくったカレーを葛城の目の前に差し出した。
「はい、あーん!」
「……!?」
「だって、利き腕使えないじゃん。だから、あーん」
そう言うと俺はにやりと笑った。
むふふ。必殺あーんだ。食事の補助的意味あい八十%悪戯心二十%。
本気で嫌がったら葛城の分のスプーンも出してやるけどな。
と、考えてにやついていると葛城は一切戸惑いを見せずぱくりと食べた。
「え?」
「次」
「あ、はいはい!あーん」
雛への餌付けよろしく何度もなんどもカレーを乗せたスプーンを差し出した。
これといって楽しい会話とかなかったけど、
ちょっと楽しいかも。
*****
さて、食事の後は入浴ターイム!
…………。
当然風呂の世話もするんだよな? ちらりと葛城を見るとまたテーブルを見つめていた。
「さて、風呂でも入る?洗ってやるぜ? にしし」
照れ隠しに努めて明るく言ってみた。
葛城は俺の方を見なかったが、こくんと小さく頷いた。耳もうっすらと赤いような気もしなくもない。
いや、何? なんかかわいくね?
でも! 今そういう反応困るんだってばっ! 恋人と別れたばっかで人肌寂しいというか――。
俺は自分の邪な想いを振り払うようにぶんぶんと大きく頭を振った。
「はーい。じゃあ服脱がせるなー」
ここで大事なのは介護、介護だと思うことだ。
相手はじいさまだと思うことだ。
そう俺は介護士で相手はじいさま。エロい意味なんて一ミクロンもない。
ないったらない!
めくるめく煩悩。エロス!
はぁはぁあんあん!
なんてものは一切合切ございませんでした! と。
残念……。いやいやいや何言ってんの俺っ!?
高校生とエロいことなんてあるわけねーじゃん?
不愛想美人は風呂でもやっぱり不愛想で、入浴前のあのこくんと小さく頷いたかわいさはどこへ行った? って感じだった。
まぁそのほうが俺も助かるんだけど。
エロス一切なしのご奉仕させていただきましたよ。うんうん。
スプーンは俺の分しか置いていない。
葛城は自分の分のスプーンは? と問うような視線を向けてきた。
とりあえずその視線はスルーする方向で、と。
「はい、ではいただきます!」
俺は両手を合わせて元気よくそう言うとスプーンですくったカレーを葛城の目の前に差し出した。
「はい、あーん!」
「……!?」
「だって、利き腕使えないじゃん。だから、あーん」
そう言うと俺はにやりと笑った。
むふふ。必殺あーんだ。食事の補助的意味あい八十%悪戯心二十%。
本気で嫌がったら葛城の分のスプーンも出してやるけどな。
と、考えてにやついていると葛城は一切戸惑いを見せずぱくりと食べた。
「え?」
「次」
「あ、はいはい!あーん」
雛への餌付けよろしく何度もなんどもカレーを乗せたスプーンを差し出した。
これといって楽しい会話とかなかったけど、
ちょっと楽しいかも。
*****
さて、食事の後は入浴ターイム!
…………。
当然風呂の世話もするんだよな? ちらりと葛城を見るとまたテーブルを見つめていた。
「さて、風呂でも入る?洗ってやるぜ? にしし」
照れ隠しに努めて明るく言ってみた。
葛城は俺の方を見なかったが、こくんと小さく頷いた。耳もうっすらと赤いような気もしなくもない。
いや、何? なんかかわいくね?
でも! 今そういう反応困るんだってばっ! 恋人と別れたばっかで人肌寂しいというか――。
俺は自分の邪な想いを振り払うようにぶんぶんと大きく頭を振った。
「はーい。じゃあ服脱がせるなー」
ここで大事なのは介護、介護だと思うことだ。
相手はじいさまだと思うことだ。
そう俺は介護士で相手はじいさま。エロい意味なんて一ミクロンもない。
ないったらない!
めくるめく煩悩。エロス!
はぁはぁあんあん!
なんてものは一切合切ございませんでした! と。
残念……。いやいやいや何言ってんの俺っ!?
高校生とエロいことなんてあるわけねーじゃん?
不愛想美人は風呂でもやっぱり不愛想で、入浴前のあのこくんと小さく頷いたかわいさはどこへ行った? って感じだった。
まぁそのほうが俺も助かるんだけど。
エロス一切なしのご奉仕させていただきましたよ。うんうん。
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