【完結】 『運命』なんてクソ喰らえ!

ハリネズミ

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8 ② ※夜の表現あり

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 いつ『待て』が解除されるのか、オレの一挙手一投足を鋭い視線で追う熊野。はたから見たら圧が強く、『恐怖』以外のなにものでもないのだろうけれど、オレにはそんなところも可愛いと思ってしまうし、愛おしい。
 だけど、少しだけ待って欲しいのだ。次のステップへ進む為に必要なことをしなくてはいけない。
 オレはベッドサイドにあったゴムを指に被せ、ローションをたっぷりと纏わせた。その間も熊野の鋭い視線は感じていて、急激に熱をもった頬から羞恥で顔が真っ赤になっているのが分かる。

「あの……できれば見ないで欲しいなぁーなんて……」

 そう言ってはみたものの、熊野の視線はオレの動きを追い続ける。
「はぁ……」とオレは一つ息を吐き、諦めることにした。
 本当はお風呂で一人でやりたかったけれど、ベッドから離れることを熊野が許さなかった為仕方なく目の前でやるはめになったのだ。
 触れるのが怖くてなにもできなかった人物と本当に同じかと思うくらい熊野はオレを求め、そして待ってくれている。なら少しくらいの恥ずかしさも我慢できる。
 覚悟を決めたオレは、期待に震えつつも閉じてしまっている自分の後孔にゆっくりと指を入れ、入り口から少しずつ解し始めた。久しぶりの刺激に、「ふ……っ」「あ……っ」と我慢しても声が息とともに漏れてしまいとんだ羞恥プレイだと思うけれど、これをしなければオレたちは繋がることができないので頑張ろうとしていた。
 だけど突然熊野がオレの手を掴んで、止められ戸惑う。

「え……?」

 調べたと言うからには、これ・・が必要なことも知っているはずだ。それを止めるということはやっぱり男ではダメということだろうか、と泣きそうになり後孔から抜いた指が力なくベッドの上へと落ちた。
 だけどすぐに中途半端な刺激を不満気にヒクつく後孔に太い物があたり、ずぶりと挿入はいってきた。

「ひっ」

 まさか熊野のアレ? と一瞬焦ったけれど、質量からいって恐らくは熊野の指だろう。オレの中で動く熊野の指はオレの動きをよくトレースしていた。
 いや、指の太さが違うことでより解す以上の効果をもたらしていた。そんなことオレがするのにって言おうとしても、熊野の指が的確にいいところ・・・・・を刺激して、ぜんぶが嬌声に変わる。

「ひゃっ。んぅ……っ。そ、んな……オ、あ……っ。い……、ぅん……、あぁっ」

 オレの中に埋められた指は数を増し、丁寧にそして怪しく蠢いている。それにちらりと視界に入った熊野のアレも充分に育ちきっていてパンパンの状態のようだった。
 早く、早くアレが欲しい……。

「熊野、さん……。ぅん……。も、大丈夫、です。これ──くださ……い」

 熊野の張り詰めたアレに触れながらお強請りをしてみれば、ごくりと熊野の生唾を飲む音が聞こえた。熊野の大きなアレがさっきよりももっと質量を増したように見えた。
 だけど獰猛な熊状態の熊野だって本当はすぐにでも挿れたいはずなのに、後孔を解す指を止めなかった。
 熊野の全身から滴り落ちる沢山の汗の滴を見れば、さすがに分かった。熊野はただの性欲でオレを抱きたいわけじゃない。心からオレのことを愛してくれているから抱きたいのだ。男だからとか女だからではなく、あえて言うならオレだから──。
 いいも悪いもない。後孔を解すのも必要なことだから、オレを傷つけない為にやる。
 だからオレも、オレのぜんぶであなたを愛したい。

「──熊野さん、きて……?」

 今度は両脚を自分で広げ、後孔を熊野に見せつけるようにした。こんな大胆なことは今まで一度もしたことがなかったけれど、もう充分解されているし一秒でも早く熊野と繋がりたかった。
 熊野はオレだけのモノだし、オレも熊野だけのモノだ。だから重ねて「きて……、寂しい」と強請る。
 可愛いとか可愛くないとかも関係ない。オレは熊野を好きだから求めるし、熊野もオレを好きだから求めてくれるのだ。こんな・・・とは言わない。オレに・・・欲情してくれるのだ。
 熊野は鼻息荒く自身の硬くなったアレをオレの後孔にあてがい、決して強行することなくずぷずぷとゆっくりと挿入した。予想していたとはいえさすがの質量に一瞬息が止まった。
 「かはっ……、は、はぁ……」うまくはない呼吸で息を整えようとしているのに、熊野は小刻みに揺すりながら腰を進めていき、決して一気に進めたりなんかしていないのに苦しくて、そして奥が寂しくて堪らなかった。
 遂に念願の奥へと届き、その拍子にオレのアレからこぽりと白濁したものが零れ、目の前で光がスパークした。
 それが合図にでもなったのか一瞬の停止の後、熊野は狂ったように腰を動かし始めた。

「ん! あっあぁんん! や、やぁ……っいっあっ」

 激しくされてもよく慣らしてくれたおかげか痛みはなく、快感しかなかった。思わず漏れた「気持ち、いい……」という言葉に気をよくしたのか熊野の腰は止まらない。ズンズンパチュパチュと肌と肌のぶつかり合う音と、オレの高い嬌声が部屋中に響き続けた。
 何度も揺さぶられ、何度も逝かされて、すっかりオレの中は熊野のカタチに作り替えられていた。さすがにもう無理だと思うのに熊野は止まらない。
 熊野自身も何度も欲を吐き出しているはずなのに、いつまで続くのか──。終わって欲しいのに終わって欲しくない。オレは終わりのない快楽と疲労感で訳が分からなくなりながらも、熊野への愛おしさだけがオレの心を占めていた。

「──イ……っくっ」

「──くっ」

 同時に何度目かの熱を吐き出し、熊野はオレを押し潰さないようにすぐ横にごろりと倒れ込んだ。
 熊野のはぁはぁという荒い息を聞きながら、オレはそのまま幸せの中に意識を手放した──。






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