恋はさくらいろ♪

ハリネズミ

文字の大きさ
上 下
4 / 10

(2)

しおりを挟む
僕がバイトの時は卜部君は必ずいて、これでもかってくらい丁寧に色々な事を教えてくれた。
仕事内容の他にも最初に言ってたように身長体重血液型etcエトセトラ。
おかげで卜部君の事なら何でも知ってるってくらいになった。
初めてのバイトで不安でいっぱいだったけど、卜部君のおかげでバイトが楽しくてたまらない。
卜部君に感謝だ。

だけど、卜部君はスキンシップ過多というか……なにかと僕に触ってくるけどあの日の「好き」については一切触れてこない。やっぱりあれは間違いだったんだね。
少し残念に思うけど、それが当たり前の事だし僕はこうして卜部君と一緒にバイトができるだけで幸せなんだ。
欲張ってはダメだ。お腹だって腹八分って言うじゃない。
僕のこの気持ちだって腹八分で丁度いいんだ。



*****
最近では、人に言われる前に大分動けるようになってきた。僕だってやればできるんだ。啓馬君にみせてあげたいな。テキパキ働いてる僕を見てびっくりするかな?ふふ。
一人そんな事を想像してニヤニヤしていると、卜部君が笑顔で声をかけてきた。

「櫻井、何か楽しい事でもあった?」

僕も笑顔で返す。

「ううん。何でもないよ」

最近の僕たちはこんな風に普通に会話ができるようになっていた。
卜部君が思った以上に話しやすかったのだ。
バイトで卜部君に会える事が嬉しくて楽しくてたまらなかった。
ずっとこんな時間が続けばいいのにって思っていた。
だけどそれはあっけなく終わりを告げる事になったんだ。新しくバイトの子が入ってきたのだ。

宮野弥生みやのやよいさん。僕と同い年の高校一年生。
瞳が大きくてキラキラの美少女だ。
僕が独り立ちできるようになっていたので卜部君は今度は宮野さんの指導をする事になった。
気が付くといつも僕の傍にいてくれた卜部君だったけど今は宮野さんにつきっきりで、バイトのシフトは一緒なのに殆どしゃべれなくなった。

「寂しいな…」

小さく零れた僕の本音―――。

卜部君の隣りは僕の場所だったのにな……なんて分不相応な事を考えてみたり。
いつの間にか僕は欲張りになっちゃってたみたいだ。
痛む胸の辺りをぎゅっと掴み、僕と違って似合い過ぎる二人の姿を目で追う事しかできなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

短編集

小林 小鳩
BL
書きためてた短編BLをまとめました。 ほのぼの、片想い、年の差、幼なじみ、同級生、初恋など色々あります。 「blue mint blue」と「LEMON DROPS」はシリーズになっています。

目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件

水野七緒
BL
ワケあってクラスメイトの女子と交際中の青野 行春(あおの ゆきはる)。そんな彼が、ある日あわや貞操の危機に。彼を襲ったのは星井夏樹(ほしい なつき)──まさかの、交際中のカノジョの「お兄さん」。だが、どうも様子がおかしくて── ※「目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件」の続編(サイドストーリー)です。 ※前作を読まなくてもわかるように執筆するつもりですが、前作も読んでいただけると有り難いです。 ※エンドは1種類の予定ですが、2種類になるかもしれません。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

王様のナミダ

白雨あめ
BL
全寮制男子高校、箱夢学園。 そこで風紀副委員長を努める桜庭篠は、ある夜久しぶりの夢をみた。 端正に整った顔を歪め、大粒の涙を流す綺麗な男。俺様生徒会長が泣いていたのだ。 驚くまもなく、学園に転入してくる王道転校生。彼のはた迷惑な行動から、俺様会長と風紀副委員長の距離は近づいていく。 ※会長受けです。 駄文でも大丈夫と言ってくれる方、楽しんでいただけたら嬉しいです。

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。

太陽を追いかける月のように

あらんすみし
BL
僕は、ある匿名SNSでフォロワーのFの死を知る。 僕がそのSNSを始めたとき、Fは職場の後輩との恋について幸せな投稿を綴っていて、僕はそれを楽しみに、羨ましく思っていた。 だが、そんな2人にも別れが訪れて、次第にFの投稿はたまに辛い心情を綴ったものばかりになる。 そして、その年の春の訪れと共にFの投稿は途絶えた。 日々の忙しなさに忙殺されていた僕が、Fの死を知ったのは夏も終わりに近づいたある日の別のフォロワーの投稿だった。 Fと親しくしていたそのフォロワーの報告で、Fのあとを追うように後輩君も亡くなったという。 2人に何が起きたのか、僕はその軌跡を辿ってみることにする。

【完結】はじめてできた友だちは、好きな人でした

月音真琴
BL
完結しました。ピュアな高校の同級生同士。友達以上恋人未満な関係。 人付き合いが苦手な仲谷皇祐(なかたにこうすけ)は、誰かといるよりも一人でいる方が楽だった。 高校に入学後もそれは同じだったが、購買部の限定パンを巡ってクラスメートの一人小此木敦貴(おこのぎあつき)に懐かれてしまう。 一人でいたいのに、強引に誘われて敦貴と共に過ごすようになっていく。 はじめての友だちと過ごす日々は楽しいもので、だけどつまらない自分が敦貴を独占していることに申し訳なくて。それでも敦貴は友だちとして一緒にいてくれることを選んでくれた。 次第に皇祐は嬉しい気持ちとは別に違う感情が生まれていき…。 ――僕は、敦貴が好きなんだ。 自分の気持ちに気づいた皇祐が選んだ道とは。 エブリスタ様にも掲載しています(完結済) エブリスタ様にてトレンドランキング BLジャンル・日間90位 ◆「第12回BL小説大賞」に参加しています。 応援していただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。 ピュアな二人が大人になってからのお話も連載はじめました。よかったらこちらもどうぞ。 『迷いと絆~友情か恋愛か、親友との揺れる恋物語~』 https://www.alphapolis.co.jp/novel/416124410/923802748

熱中症

こじらせた処女
BL
会社で熱中症になってしまった木野瀬 遼(きのせ りょう)(26)は、同居人で恋人でもある八瀬希一(やせ きいち)(29)に迎えに来てもらおうと電話するが…?

処理中です...