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僕がバイトの時は卜部君は必ずいて、これでもかってくらい丁寧に色々な事を教えてくれた。
仕事内容の他にも最初に言ってたように身長体重血液型etcエトセトラ。
おかげで卜部君の事なら何でも知ってるってくらいになった。
初めてのバイトで不安でいっぱいだったけど、卜部君のおかげでバイトが楽しくてたまらない。
卜部君に感謝だ。
だけど、卜部君はスキンシップ過多というか……なにかと僕に触ってくるけどあの日の「好き」については一切触れてこない。やっぱりあれは間違いだったんだね。
少し残念に思うけど、それが当たり前の事だし僕はこうして卜部君と一緒にバイトができるだけで幸せなんだ。
欲張ってはダメだ。お腹だって腹八分って言うじゃない。
僕のこの気持ちだって腹八分で丁度いいんだ。
*****
最近では、人に言われる前に大分動けるようになってきた。僕だってやればできるんだ。啓馬君にみせてあげたいな。テキパキ働いてる僕を見てびっくりするかな?ふふ。
一人そんな事を想像してニヤニヤしていると、卜部君が笑顔で声をかけてきた。
「櫻井、何か楽しい事でもあった?」
僕も笑顔で返す。
「ううん。何でもないよ」
最近の僕たちはこんな風に普通に会話ができるようになっていた。
卜部君が思った以上に話しやすかったのだ。
バイトで卜部君に会える事が嬉しくて楽しくてたまらなかった。
ずっとこんな時間が続けばいいのにって思っていた。
だけどそれはあっけなく終わりを告げる事になったんだ。新しくバイトの子が入ってきたのだ。
宮野弥生さん。僕と同い年の高校一年生。
瞳が大きくてキラキラの美少女だ。
僕が独り立ちできるようになっていたので卜部君は今度は宮野さんの指導をする事になった。
気が付くといつも僕の傍にいてくれた卜部君だったけど今は宮野さんにつきっきりで、バイトのシフトは一緒なのに殆どしゃべれなくなった。
「寂しいな…」
小さく零れた僕の本音―――。
卜部君の隣りは僕の場所だったのにな……なんて分不相応な事を考えてみたり。
いつの間にか僕は欲張りになっちゃってたみたいだ。
痛む胸の辺りをぎゅっと掴み、僕と違って似合い過ぎる二人の姿を目で追う事しかできなかった。
仕事内容の他にも最初に言ってたように身長体重血液型etcエトセトラ。
おかげで卜部君の事なら何でも知ってるってくらいになった。
初めてのバイトで不安でいっぱいだったけど、卜部君のおかげでバイトが楽しくてたまらない。
卜部君に感謝だ。
だけど、卜部君はスキンシップ過多というか……なにかと僕に触ってくるけどあの日の「好き」については一切触れてこない。やっぱりあれは間違いだったんだね。
少し残念に思うけど、それが当たり前の事だし僕はこうして卜部君と一緒にバイトができるだけで幸せなんだ。
欲張ってはダメだ。お腹だって腹八分って言うじゃない。
僕のこの気持ちだって腹八分で丁度いいんだ。
*****
最近では、人に言われる前に大分動けるようになってきた。僕だってやればできるんだ。啓馬君にみせてあげたいな。テキパキ働いてる僕を見てびっくりするかな?ふふ。
一人そんな事を想像してニヤニヤしていると、卜部君が笑顔で声をかけてきた。
「櫻井、何か楽しい事でもあった?」
僕も笑顔で返す。
「ううん。何でもないよ」
最近の僕たちはこんな風に普通に会話ができるようになっていた。
卜部君が思った以上に話しやすかったのだ。
バイトで卜部君に会える事が嬉しくて楽しくてたまらなかった。
ずっとこんな時間が続けばいいのにって思っていた。
だけどそれはあっけなく終わりを告げる事になったんだ。新しくバイトの子が入ってきたのだ。
宮野弥生さん。僕と同い年の高校一年生。
瞳が大きくてキラキラの美少女だ。
僕が独り立ちできるようになっていたので卜部君は今度は宮野さんの指導をする事になった。
気が付くといつも僕の傍にいてくれた卜部君だったけど今は宮野さんにつきっきりで、バイトのシフトは一緒なのに殆どしゃべれなくなった。
「寂しいな…」
小さく零れた僕の本音―――。
卜部君の隣りは僕の場所だったのにな……なんて分不相応な事を考えてみたり。
いつの間にか僕は欲張りになっちゃってたみたいだ。
痛む胸の辺りをぎゅっと掴み、僕と違って似合い過ぎる二人の姿を目で追う事しかできなかった。
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