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最終章 (全知視点)
最終話 ② ※R-18
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「──え? それじゃあ僕はあれから十年間も眠っていたということですか?」
「ああ」
リヒトが目覚め、落ち着くのを待って一ヶ月ほど後、ノイアはこれまでのことを話した。
「そんな……。ごめんなさい……」
リヒトは俯き肩を落とした。両親を亡くし、兄を亡くし、一番近い存在だったズイにも裏切られたノイアをひとりにしまったことが申し訳なくて、ノイアのことを思うとつらかった。
ノイアはリヒトにそんな顔をして欲しくてこの話をしたわけじゃなかった。リヒトの顔を両手で挟み、頬をムニムニとして笑顔を作った。
「ほら、笑って。俺はリヒトの笑っているところが見たい」
「ノイア様……」
リヒトは瞳に涙を溜めたまま優しく微笑んだ。
「この十年間少しもつらくなかったといえば嘘になるが、だがリヒトがいてくれたから頑張ってこられたのも本当だ。たとえ眠っていたとしても話なんかできなくても、いてくれるだけで幸せだったよ」
「は……い……」
堪えていた涙がポロリと溢れる。その想いをリヒトも知っていたからだ。期間は短いものであったが、リヒトも経験したことだったからノイアの気持ちが痛いほど分かった。葛藤もあっただろう。でも諦めることはできなかった。
「ノイア様……心から愛しています……」
「あぁ、俺もリヒトを愛しているよ。──「これからもずっと共に」」
ふたりの声が重なり、吸い寄せられるように唇も重なった。必死に相手の舌に自分の舌を絡め、唾液の一滴すら逃してしまわないようにした。
「ふぅ……んぅ、んん……っ」
リヒトはこれだけで脳が痺れて、リヒトの中心はゆるく勃ち上がってしまっていた。もじもじと膝を擦り合わせたことで、ノイアにそれがバレてしまっていた。
「早いな」
「だって気持ちがいい……んです」
「そうだな。じゃあもっと気持ちよくしてやろう──」
「はい……」
ノイアは言葉通りにする為に、リヒトの胸の飾りへと初めて意図的に触れ、リヒトの身体が大袈裟なほどぴくんっと跳ねた。リヒトが寝ていたときに身体はくまなく拭き清めていたが、邪な気持ちを抱くことなく行なっていた。リヒトにしてみてもノイアが意識がなかったとき、真剣に看病をしていただけであった為、性的に興奮したのは薬草汁を口移しで飲ませたときに舌を絡ませられ、それに応じたくらいなものだった。だから本当にこれがふたりにとって初めての交わりとなる。
ノイアはリヒトの身体中に愛撫をし、次の段階に移る前にベッドの傍に置いてあった小瓶を手に取った。
「──それ、は……?」
「ノイアが俺と繋がるのに痛くないように用意したものだよ」
リヒトは、あぁそれがアレなのか、と思った。昔の記憶に微かに残る物。奴隷商の元で実技は拒否して暴れた為、経験はないものの座学は受けていた為知識はあった。リヒトのそんな少しの反応にノイアの眉がぴくりと動く。
「──使ったことが……?」
「え? まさか。知識として知っているだけで、こういうことを実際にするのは……ノイア様が初めて、でございます……」
真っ赤になりながらもはっきりと否定してくれたことが嬉しく、「そうか……」と、ノイアは答えただけだったが内心ホッとしていた。処女信仰があるわけではなかったが、やはり心から愛した人には自分だけであって欲しいと思ってしまうのだ。ノイアは我ながら狭量だと思うものの、とろとろに甘やかし、愛を示すことで許してもらおうと思った。ちなみにノイアもリヒト以外を知らないが、訊かれない限り言うつもりはない。
ノイアは再びリヒトに深いキスを繰り返し、リヒトがトロンっとしてきたころにいつの間に小瓶から出したのか、どろりとしたローションを纏った指をリヒトの後孔にあて、周りをゆっくりと刺激した。
「ひゃっ……ぁっ」
「大丈夫だ。任せて」
リヒトはギュッと目を瞑りノイアに身を任せた。トントン、トントンと最初は刺激だけだったのに、気がつくと後孔からノイアの指が滑り込んできて、驚く。ローションを足しながら腸内をノイアの指が蠢き、一本から二本、ついには三本になって、リヒトのいいところを掠めた。
「ひゃああんっ!」
思わず上げてしまった高い声にリヒトはびっくりしているようだった。
「大丈夫。もっともっと気持ちよくしてやるから」
ニッと笑ったノイアは、その言葉通り自身の充分に勃ち上がった中心にもローションを纏わせ、リヒトの後孔にあてがい、ゆっくりと腰を進めた。
「ひゃっ、あ、あんっ。──はい……った……?」
「ふっ。可愛い。まだ少しだけだが入った。苦しくはないか?」
こくこくとリヒトが頷くのを確認すると、ノイアは腰を小刻みに揺らしながら最奥を目指した。
「ん、んぅ、あ、あん……ん」
リヒトの甘い喘ぎにノイアは我慢ができずに最後は一気に突き入れた。
「ひゃっあぁっ! ノイア様……、僕たちやっとひとつ、になれたん、ですね……嬉し……」
自分とひとつになれたことを嬉しそうに微笑むリヒトにノイアはたまらなくなった。呻きながら天を仰ぎ、「動く、ぞ」と言うのと同時に腰を激しく動かし始めた。
「ひっ。あ、あ、あ、あぁん、あん、はげし……っ。ノイア、さま……、んぅあ、すき、好きですっ」
更に激しくなる腰使い。リヒトは知らずノイアを煽りまくってしまっていた。そしてそのままリヒトは中心から白濁したものを飛ばし、イってしまった。それを見たノイアは自分も、と更に腰使いを激しくする。
「はぁはぁはぁ……っ。んんっ愛してるっ!」
ノイアもまたリヒトの中に白濁を飛ばし、果てた。
荒い息を繰り返し、リヒトの中から自身の中心を引き抜くとリヒトの後孔から自分が出したものが垂れてきて、再びの欲を煽る。だが、リヒトは十年ぶりに目覚めてそれほど時間が経っていない。激しい情交はまだ負担になるだろうとノイアは自制した。
「風呂に入ろう」
「あ、は──え?」
ノイアはリヒトが起き上がろうとするのを制止し、横抱きにして浴室へと運んだ。
「な、ノイア様?」
「無理をさせたからな。大人しく世話をさせて欲しい」
「え、あ、えぇと……はい」
戸惑いながらもリヒトは自分の身体が思ったよりも疲れてしまっていることに気づき、ノイアの申し出をありがたく受けることにした。汚れを簡単に洗い流し、ノイアがリヒトを背中から抱き込む形で浴槽に浸かった。ふたりともが思わず「ふぅー」と声が漏れて、笑い合う。
リヒトは今なら訊いてみてもいいかもしれない、と「あの……こんなときに訊いていいものか分からないのですが──」と前置いて、十年間も眠っていたと聞かされてずっと気になっていたことを訊いてみることにした。
ズイのことだ。
「ああ」
リヒトが目覚め、落ち着くのを待って一ヶ月ほど後、ノイアはこれまでのことを話した。
「そんな……。ごめんなさい……」
リヒトは俯き肩を落とした。両親を亡くし、兄を亡くし、一番近い存在だったズイにも裏切られたノイアをひとりにしまったことが申し訳なくて、ノイアのことを思うとつらかった。
ノイアはリヒトにそんな顔をして欲しくてこの話をしたわけじゃなかった。リヒトの顔を両手で挟み、頬をムニムニとして笑顔を作った。
「ほら、笑って。俺はリヒトの笑っているところが見たい」
「ノイア様……」
リヒトは瞳に涙を溜めたまま優しく微笑んだ。
「この十年間少しもつらくなかったといえば嘘になるが、だがリヒトがいてくれたから頑張ってこられたのも本当だ。たとえ眠っていたとしても話なんかできなくても、いてくれるだけで幸せだったよ」
「は……い……」
堪えていた涙がポロリと溢れる。その想いをリヒトも知っていたからだ。期間は短いものであったが、リヒトも経験したことだったからノイアの気持ちが痛いほど分かった。葛藤もあっただろう。でも諦めることはできなかった。
「ノイア様……心から愛しています……」
「あぁ、俺もリヒトを愛しているよ。──「これからもずっと共に」」
ふたりの声が重なり、吸い寄せられるように唇も重なった。必死に相手の舌に自分の舌を絡め、唾液の一滴すら逃してしまわないようにした。
「ふぅ……んぅ、んん……っ」
リヒトはこれだけで脳が痺れて、リヒトの中心はゆるく勃ち上がってしまっていた。もじもじと膝を擦り合わせたことで、ノイアにそれがバレてしまっていた。
「早いな」
「だって気持ちがいい……んです」
「そうだな。じゃあもっと気持ちよくしてやろう──」
「はい……」
ノイアは言葉通りにする為に、リヒトの胸の飾りへと初めて意図的に触れ、リヒトの身体が大袈裟なほどぴくんっと跳ねた。リヒトが寝ていたときに身体はくまなく拭き清めていたが、邪な気持ちを抱くことなく行なっていた。リヒトにしてみてもノイアが意識がなかったとき、真剣に看病をしていただけであった為、性的に興奮したのは薬草汁を口移しで飲ませたときに舌を絡ませられ、それに応じたくらいなものだった。だから本当にこれがふたりにとって初めての交わりとなる。
ノイアはリヒトの身体中に愛撫をし、次の段階に移る前にベッドの傍に置いてあった小瓶を手に取った。
「──それ、は……?」
「ノイアが俺と繋がるのに痛くないように用意したものだよ」
リヒトは、あぁそれがアレなのか、と思った。昔の記憶に微かに残る物。奴隷商の元で実技は拒否して暴れた為、経験はないものの座学は受けていた為知識はあった。リヒトのそんな少しの反応にノイアの眉がぴくりと動く。
「──使ったことが……?」
「え? まさか。知識として知っているだけで、こういうことを実際にするのは……ノイア様が初めて、でございます……」
真っ赤になりながらもはっきりと否定してくれたことが嬉しく、「そうか……」と、ノイアは答えただけだったが内心ホッとしていた。処女信仰があるわけではなかったが、やはり心から愛した人には自分だけであって欲しいと思ってしまうのだ。ノイアは我ながら狭量だと思うものの、とろとろに甘やかし、愛を示すことで許してもらおうと思った。ちなみにノイアもリヒト以外を知らないが、訊かれない限り言うつもりはない。
ノイアは再びリヒトに深いキスを繰り返し、リヒトがトロンっとしてきたころにいつの間に小瓶から出したのか、どろりとしたローションを纏った指をリヒトの後孔にあて、周りをゆっくりと刺激した。
「ひゃっ……ぁっ」
「大丈夫だ。任せて」
リヒトはギュッと目を瞑りノイアに身を任せた。トントン、トントンと最初は刺激だけだったのに、気がつくと後孔からノイアの指が滑り込んできて、驚く。ローションを足しながら腸内をノイアの指が蠢き、一本から二本、ついには三本になって、リヒトのいいところを掠めた。
「ひゃああんっ!」
思わず上げてしまった高い声にリヒトはびっくりしているようだった。
「大丈夫。もっともっと気持ちよくしてやるから」
ニッと笑ったノイアは、その言葉通り自身の充分に勃ち上がった中心にもローションを纏わせ、リヒトの後孔にあてがい、ゆっくりと腰を進めた。
「ひゃっ、あ、あんっ。──はい……った……?」
「ふっ。可愛い。まだ少しだけだが入った。苦しくはないか?」
こくこくとリヒトが頷くのを確認すると、ノイアは腰を小刻みに揺らしながら最奥を目指した。
「ん、んぅ、あ、あん……ん」
リヒトの甘い喘ぎにノイアは我慢ができずに最後は一気に突き入れた。
「ひゃっあぁっ! ノイア様……、僕たちやっとひとつ、になれたん、ですね……嬉し……」
自分とひとつになれたことを嬉しそうに微笑むリヒトにノイアはたまらなくなった。呻きながら天を仰ぎ、「動く、ぞ」と言うのと同時に腰を激しく動かし始めた。
「ひっ。あ、あ、あ、あぁん、あん、はげし……っ。ノイア、さま……、んぅあ、すき、好きですっ」
更に激しくなる腰使い。リヒトは知らずノイアを煽りまくってしまっていた。そしてそのままリヒトは中心から白濁したものを飛ばし、イってしまった。それを見たノイアは自分も、と更に腰使いを激しくする。
「はぁはぁはぁ……っ。んんっ愛してるっ!」
ノイアもまたリヒトの中に白濁を飛ばし、果てた。
荒い息を繰り返し、リヒトの中から自身の中心を引き抜くとリヒトの後孔から自分が出したものが垂れてきて、再びの欲を煽る。だが、リヒトは十年ぶりに目覚めてそれほど時間が経っていない。激しい情交はまだ負担になるだろうとノイアは自制した。
「風呂に入ろう」
「あ、は──え?」
ノイアはリヒトが起き上がろうとするのを制止し、横抱きにして浴室へと運んだ。
「な、ノイア様?」
「無理をさせたからな。大人しく世話をさせて欲しい」
「え、あ、えぇと……はい」
戸惑いながらもリヒトは自分の身体が思ったよりも疲れてしまっていることに気づき、ノイアの申し出をありがたく受けることにした。汚れを簡単に洗い流し、ノイアがリヒトを背中から抱き込む形で浴槽に浸かった。ふたりともが思わず「ふぅー」と声が漏れて、笑い合う。
リヒトは今なら訊いてみてもいいかもしれない、と「あの……こんなときに訊いていいものか分からないのですが──」と前置いて、十年間も眠っていたと聞かされてずっと気になっていたことを訊いてみることにした。
ズイのことだ。
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