お前の好きは軽すぎる

ハリネズミ

文字の大きさ
上 下
5 / 10

重すぎる男(1)

しおりを挟む
 相模との約束の食事をする店を俺はなかなか決められないでいた。

 これまでも会社帰りにふたりで居酒屋で飲んだ事くらいはあるが、お詫びとお礼なのだから今回は少しいい店にしたかった。
 とはいえ、あまり気合の入った店もおかしいし、いつものように居酒屋では俺の気がすまない。

 ここ数日、家でも会社の休み時間もスマホで検索するが、なかなかいい店を見つける事が出来なかった。

 ふと、そういえばと思い出す人がいた。
 飲食店の情報に妙に詳しい人がいるのだ。
 急な接待の時などよく相談に乗ってもらっていた。
 庶務課の峰さんだ。
 つい最近相模が告白した相手だ。

 うーん相模と食事する店を訊いてもいいものかどうか……。

 しばらく考えてみたが、相模には峰さんから教えてもらったと言わなければいい、と結論を出す。

 そうと決まれば善は急げと庶務科へ向かった。


 庶務課に行く途中、給湯室から聞こえてきた会話にぎくりと足が止まる。

「相模君彼女いるのかな? 相模君って仕事も出来て優しくて素敵よね。こないだなんて落とした書類を拾ってくれて」

 ――え?

「うんうん。愛子可愛いんだし思い切って告白してみたら?」

「どうしよう。でも、当たって砕けろで告白しちゃおうかなぁ」

「そうしなよ。応援する。あ、休憩時間終わっちゃう。じゃああとで作戦練ろう?」

 そう言って一足先にひとりだけが戻って行った。

 残ったひとりは愛子と呼ばれた方で、まさに俺が店を相談しようとしていた相手、峰 愛子だった。

 ――――書類を拾ったのは相模の方で、峰さんは相模の事が好き?
 告白する?

 だってこないだ相模は峰さんに告白してフラれたんじゃないのか?

 混乱したまま俺は峰さんを呼び止め、ある提案をした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

君はキラキラを背負ってない

寺音
BL
高校二年生、空賀昴(くがすばる)は惚れっぽく、キラキラ王子様系イケメン男子に一目惚れしては短時間でフラれる、ということを繰り返していた。そしてその度に同級生、大木麦人(おおきむぎと)に失恋の愚痴に付き合ってもらっていた。 ある日昴は自分の恋愛遍歴を知る姉に、「いっそ麦人くんと恋愛すれば?」と提案される。 どう考えても「タイプ」じゃない麦人と恋愛なんてあり得ないと答える昴だが……? 『フラれた男と慰める男』をテーマにした全年齢BLアンソロジー『傘をさしかけるひと』に寄稿した作品です。 告知サイト↓ http://kasawosasikakeruhito.ltt.jp/ こちらの表紙イラストは、云野サク様(https://yunomizu33.wixsite.com/website)に描いていただきました。 素敵なイラストをありがとうございました。

用法用量を守って正しくお使いください

煮卵
BL
エリートリーマン✖️老舗の零細企業社長 4月2日J庭にて出した新刊の再録です ★マークがHシーン お気に入り、エールいただけると嬉しいです

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

初体験

nano ひにゃ
BL
23才性体験ゼロの好一朗が、友人のすすめで年上で優しい男と付き合い始める。

愛人は嫌だったので別れることにしました。

伊吹咲夜
BL
会社の先輩である健二と達哉は、先輩・後輩の間柄であり、身体の関係も持っていた。そんな健二のことを達哉は自分を愛してくれている恋人だとずっと思っていた。 しかし健二との関係は身体だけで、それ以上のことはない。疑問に思っていた日、健二が結婚したと朝礼で報告が。健二は達哉のことを愛してはいなかったのか?

お客様と商品

あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)

勃起できない俺に彼氏ができた⁉

千歳
BL
大学三年生の瀬戸結(セト ユイ)は明るい性格で大学入学当初からモテた。 しかし、彼女ができても長続きせずにすぐに別れてしまい、その度に同級生の羽月清那(ハヅキ セナ)に慰めてもらっていた。 ある日、結がフラれる現場に出くわしてしまった清那はフラれて落ち込む結を飲みへと誘う。 どうして付き合ってもすぐに別れてしまうのかと結に尋ねてみると、泥酔した彼はぽつりと言葉を零した。 「……勃起、できないから」 衝撃的なその告白と共に結は恋愛体質だから誰かと付き合っていたいんだとも語った。 酔っ払いながら泣き言を零す結を見ながら清那はある一つの案を結に提示する。 「誰かと付き合っていたいならさ、俺と付き合ってみる?」

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

処理中です...