22 / 36
雪夏、まぁるく甘く
② ※R-18 @夏希
しおりを挟む
雪夜と見つめ合っていると、部屋の中にオレの発情フェロモンが広がって、雪夜にも変化が起こり始めているのが分かった。
普段の落ち着いた色の瞳には欲を灯し、炎のようにゆらめかせながらオレのことを見つめている。繋いだ手は体温が上がっているのかひどく熱かった。
多分オレも同じはず――。
ここからどうしていいのか分からなくて戸惑っていると、雪夜に押し倒され、やや勢い任せに冷たい唇が重ねられた。強引に割り入れられた舌は燃えるように熱くて、口の中を蠢く舌にうまく息ができなくて苦しい。それでも逃げたくはないから、なんとか自分も舌を動かし必死に応えようとした。
何度も繰り返すうちに慣れてきたのか段々自然に息ができるようになって、苦しさではなく脳が痺れるような甘い快感を拾い始めた。キスだけなのにまるで全身を愛撫されているみたいに気持ちよく、未経験であるはずの大人の欲を刺激した。
こんなテクニック(?)一体どうやって――とモヤつくけれど、オレに触れる指先が少しだけ震えているのに気づき、きっとこれは慣れではないのだと分かる。雪夜はいつだってオレに対して誠実で、一生懸命だった。
オレは目を閉じ、雪夜がもたらすすべての甘い刺激を受け入れ、自分にできる精一杯で応えた。
オレを求める『雄』に、いつもの胸の辺りが温かく、くふふと笑ってしまうような喜びではなく、ぞくぞくするような身を震わせる悦びが全身を突き抜け、どんどん昂められていく――。
天井知らずの快楽に、これから自分がどうなってしまうのかが怖くて、助けを求めるみたいに手を伸ばし雪夜の名前を呼んだ。
「――はぁ……ぁ。ゆき……や。ゆき、や……、ゆきや」
雪夜はすぐにオレの手を取り、指先に唇を寄せた。
「うん。いるよ。傍にいる。夏希……愛してる」
安心したように微笑むオレを見た雪夜も笑って、続きを再開させた。発情も進んだオレはもうなにがなんだか――――、いとしい人の香りに包まれて全身を優しく撫でられる感覚と、遠くの方でなにかが高い声で啼いているのが聞こえるだけ。
そんなふわふわの幸せに包まれている中、突然訪れた衝撃に思わず「ひっ」と悲鳴を上げてしまった。痛いわけではなかったけれど、自分の身の内に侵入した異物に驚いたのだ。衝撃により一気に意識が現実に引き戻され、すぐにその異物の正体に気がついた。
雪夜の方を見ると、心配そうにへにょりと眉尻を下げて腰を引こうとしていたので、オレはそれを阻止するように脚を絡め、全身でぎゅっと抱きしめた。
「ふふ……。――ずっと……ずっとこうして欲しかった――」
溜め息交じりに漏れ出た言葉は、オレの本心だった。
だけど、ついこないだ雪夜の想いを聞いたばかりだ。雪夜の気持ちも分かるから待たされたと責めるつもりもないし、あの日寂しく震えたここは今は雪夜のモノでぎちぎちに満たされている。
満たされて、オレの頬を温かい涙が伝う。
「僕もだよ……」って耳元で囁かれ、再び意識が幸せの中に溶けていく――。
それでも今度は自分がなにをされているのか、雪夜となにをしているのかはぼんやりとながら分かっていた。
激しく身体を揺さぶられギシギシとベッドのきしむ音を聞きながらオレは、快楽だけではなく、雪夜をいとおしいという想いを強く感じていた。
お互いの熱と想いが交じり合い、白濁したものを何度も吐き出して、ついにその時がきた。
雪夜は繋がったままオレを後ろから抱きしめ、項に牙を立てた。ぷちぷちと皮膚を破り食い込んでいく牙。痛くないと言えば嘘になる。だけどそれよりもずっとずっと嬉しくて幸せだ。
「あああああああぁぁ……っ!!」
同時に果てて、汗だくの身体で抱きしめ合った。
はぁはぁと整わない息に幸せを感じながら、オレはこの世で一番安心できる腕の中で静かに眠りに落ちた――。
普段の落ち着いた色の瞳には欲を灯し、炎のようにゆらめかせながらオレのことを見つめている。繋いだ手は体温が上がっているのかひどく熱かった。
多分オレも同じはず――。
ここからどうしていいのか分からなくて戸惑っていると、雪夜に押し倒され、やや勢い任せに冷たい唇が重ねられた。強引に割り入れられた舌は燃えるように熱くて、口の中を蠢く舌にうまく息ができなくて苦しい。それでも逃げたくはないから、なんとか自分も舌を動かし必死に応えようとした。
何度も繰り返すうちに慣れてきたのか段々自然に息ができるようになって、苦しさではなく脳が痺れるような甘い快感を拾い始めた。キスだけなのにまるで全身を愛撫されているみたいに気持ちよく、未経験であるはずの大人の欲を刺激した。
こんなテクニック(?)一体どうやって――とモヤつくけれど、オレに触れる指先が少しだけ震えているのに気づき、きっとこれは慣れではないのだと分かる。雪夜はいつだってオレに対して誠実で、一生懸命だった。
オレは目を閉じ、雪夜がもたらすすべての甘い刺激を受け入れ、自分にできる精一杯で応えた。
オレを求める『雄』に、いつもの胸の辺りが温かく、くふふと笑ってしまうような喜びではなく、ぞくぞくするような身を震わせる悦びが全身を突き抜け、どんどん昂められていく――。
天井知らずの快楽に、これから自分がどうなってしまうのかが怖くて、助けを求めるみたいに手を伸ばし雪夜の名前を呼んだ。
「――はぁ……ぁ。ゆき……や。ゆき、や……、ゆきや」
雪夜はすぐにオレの手を取り、指先に唇を寄せた。
「うん。いるよ。傍にいる。夏希……愛してる」
安心したように微笑むオレを見た雪夜も笑って、続きを再開させた。発情も進んだオレはもうなにがなんだか――――、いとしい人の香りに包まれて全身を優しく撫でられる感覚と、遠くの方でなにかが高い声で啼いているのが聞こえるだけ。
そんなふわふわの幸せに包まれている中、突然訪れた衝撃に思わず「ひっ」と悲鳴を上げてしまった。痛いわけではなかったけれど、自分の身の内に侵入した異物に驚いたのだ。衝撃により一気に意識が現実に引き戻され、すぐにその異物の正体に気がついた。
雪夜の方を見ると、心配そうにへにょりと眉尻を下げて腰を引こうとしていたので、オレはそれを阻止するように脚を絡め、全身でぎゅっと抱きしめた。
「ふふ……。――ずっと……ずっとこうして欲しかった――」
溜め息交じりに漏れ出た言葉は、オレの本心だった。
だけど、ついこないだ雪夜の想いを聞いたばかりだ。雪夜の気持ちも分かるから待たされたと責めるつもりもないし、あの日寂しく震えたここは今は雪夜のモノでぎちぎちに満たされている。
満たされて、オレの頬を温かい涙が伝う。
「僕もだよ……」って耳元で囁かれ、再び意識が幸せの中に溶けていく――。
それでも今度は自分がなにをされているのか、雪夜となにをしているのかはぼんやりとながら分かっていた。
激しく身体を揺さぶられギシギシとベッドのきしむ音を聞きながらオレは、快楽だけではなく、雪夜をいとおしいという想いを強く感じていた。
お互いの熱と想いが交じり合い、白濁したものを何度も吐き出して、ついにその時がきた。
雪夜は繋がったままオレを後ろから抱きしめ、項に牙を立てた。ぷちぷちと皮膚を破り食い込んでいく牙。痛くないと言えば嘘になる。だけどそれよりもずっとずっと嬉しくて幸せだ。
「あああああああぁぁ……っ!!」
同時に果てて、汗だくの身体で抱きしめ合った。
はぁはぁと整わない息に幸せを感じながら、オレはこの世で一番安心できる腕の中で静かに眠りに落ちた――。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
春風の香
梅川 ノン
BL
名門西園寺家の庶子として生まれた蒼は、病弱なオメガ。
母を早くに亡くし、父に顧みられない蒼は孤独だった。
そんな蒼に手を差し伸べたのが、北畠総合病院の医師北畠雪哉だった。
雪哉もオメガであり自力で医師になり、今は院長子息の夫になっていた。
自身の昔の姿を重ねて蒼を可愛がる雪哉は、自宅にも蒼を誘う。
雪哉の息子彰久は、蒼に一心に懐いた。蒼もそんな彰久を心から可愛がった。
3歳と15歳で出会う、受が12歳年上の歳の差オメガバースです。
オメガバースですが、独自の設定があります。ご了承ください。
番外編は二人の結婚直後と、4年後の甘い生活の二話です。それぞれ短いお話ですがお楽しみいただけると嬉しいです!
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
ギルド職員は高ランク冒険者の執愛に気づかない
Ayari(橋本彩里)
BL
王都東支部の冒険者ギルド職員として働いているノアは、本部ギルドの嫌がらせに腹を立て飲みすぎ、酔った勢いで見知らぬ男性と夜をともにしてしまう。
かなり戸惑ったが、一夜限りだし相手もそう望んでいるだろうと挨拶もせずその場を後にした。
後日、一夜の相手が有名な高ランク冒険者パーティの一人、美貌の魔剣士ブラムウェルだと知る。
群れることを嫌い他者を寄せ付けないと噂されるブラムウェルだがノアには態度が違って……
冷淡冒険者(ノア限定で世話焼き甘えた)とマイペースギルド職員、周囲の思惑や過去が交差する。
表紙は友人絵師kouma.作です♪
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
旦那様と僕
三冬月マヨ
BL
旦那様と奉公人(の、つもり)の、のんびりとした話。
縁側で日向ぼっこしながらお茶を飲む感じで、のほほんとして頂けたら幸いです。
本編完結済。
『向日葵の庭で』は、残酷と云うか、覚悟が必要かな? と思いまして注意喚起の為『※』を付けています。
【完結】悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
本編完結しました!
時々おまけのお話を更新しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる