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雪夏、まぁるく甘く
② ※R-18 @夏希
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雪夜と見つめ合っていると、部屋の中にオレの発情フェロモンが広がって、雪夜にも変化が起こり始めているのが分かった。
普段の落ち着いた色の瞳には欲を灯し、炎のようにゆらめかせながらオレのことを見つめている。繋いだ手は体温が上がっているのかひどく熱かった。
多分オレも同じはず――。
ここからどうしていいのか分からなくて戸惑っていると、雪夜に押し倒され、やや勢い任せに冷たい唇が重ねられた。強引に割り入れられた舌は燃えるように熱くて、口の中を蠢く舌にうまく息ができなくて苦しい。それでも逃げたくはないから、なんとか自分も舌を動かし必死に応えようとした。
何度も繰り返すうちに慣れてきたのか段々自然に息ができるようになって、苦しさではなく脳が痺れるような甘い快感を拾い始めた。キスだけなのにまるで全身を愛撫されているみたいに気持ちよく、未経験であるはずの大人の欲を刺激した。
こんなテクニック(?)一体どうやって――とモヤつくけれど、オレに触れる指先が少しだけ震えているのに気づき、きっとこれは慣れではないのだと分かる。雪夜はいつだってオレに対して誠実で、一生懸命だった。
オレは目を閉じ、雪夜がもたらすすべての甘い刺激を受け入れ、自分にできる精一杯で応えた。
オレを求める『雄』に、いつもの胸の辺りが温かく、くふふと笑ってしまうような喜びではなく、ぞくぞくするような身を震わせる悦びが全身を突き抜け、どんどん昂められていく――。
天井知らずの快楽に、これから自分がどうなってしまうのかが怖くて、助けを求めるみたいに手を伸ばし雪夜の名前を呼んだ。
「――はぁ……ぁ。ゆき……や。ゆき、や……、ゆきや」
雪夜はすぐにオレの手を取り、指先に唇を寄せた。
「うん。いるよ。傍にいる。夏希……愛してる」
安心したように微笑むオレを見た雪夜も笑って、続きを再開させた。発情も進んだオレはもうなにがなんだか――――、いとしい人の香りに包まれて全身を優しく撫でられる感覚と、遠くの方でなにかが高い声で啼いているのが聞こえるだけ。
そんなふわふわの幸せに包まれている中、突然訪れた衝撃に思わず「ひっ」と悲鳴を上げてしまった。痛いわけではなかったけれど、自分の身の内に侵入した異物に驚いたのだ。衝撃により一気に意識が現実に引き戻され、すぐにその異物の正体に気がついた。
雪夜の方を見ると、心配そうにへにょりと眉尻を下げて腰を引こうとしていたので、オレはそれを阻止するように脚を絡め、全身でぎゅっと抱きしめた。
「ふふ……。――ずっと……ずっとこうして欲しかった――」
溜め息交じりに漏れ出た言葉は、オレの本心だった。
だけど、ついこないだ雪夜の想いを聞いたばかりだ。雪夜の気持ちも分かるから待たされたと責めるつもりもないし、あの日寂しく震えたここは今は雪夜のモノでぎちぎちに満たされている。
満たされて、オレの頬を温かい涙が伝う。
「僕もだよ……」って耳元で囁かれ、再び意識が幸せの中に溶けていく――。
それでも今度は自分がなにをされているのか、雪夜となにをしているのかはぼんやりとながら分かっていた。
激しく身体を揺さぶられギシギシとベッドのきしむ音を聞きながらオレは、快楽だけではなく、雪夜をいとおしいという想いを強く感じていた。
お互いの熱と想いが交じり合い、白濁したものを何度も吐き出して、ついにその時がきた。
雪夜は繋がったままオレを後ろから抱きしめ、項に牙を立てた。ぷちぷちと皮膚を破り食い込んでいく牙。痛くないと言えば嘘になる。だけどそれよりもずっとずっと嬉しくて幸せだ。
「あああああああぁぁ……っ!!」
同時に果てて、汗だくの身体で抱きしめ合った。
はぁはぁと整わない息に幸せを感じながら、オレはこの世で一番安心できる腕の中で静かに眠りに落ちた――。
普段の落ち着いた色の瞳には欲を灯し、炎のようにゆらめかせながらオレのことを見つめている。繋いだ手は体温が上がっているのかひどく熱かった。
多分オレも同じはず――。
ここからどうしていいのか分からなくて戸惑っていると、雪夜に押し倒され、やや勢い任せに冷たい唇が重ねられた。強引に割り入れられた舌は燃えるように熱くて、口の中を蠢く舌にうまく息ができなくて苦しい。それでも逃げたくはないから、なんとか自分も舌を動かし必死に応えようとした。
何度も繰り返すうちに慣れてきたのか段々自然に息ができるようになって、苦しさではなく脳が痺れるような甘い快感を拾い始めた。キスだけなのにまるで全身を愛撫されているみたいに気持ちよく、未経験であるはずの大人の欲を刺激した。
こんなテクニック(?)一体どうやって――とモヤつくけれど、オレに触れる指先が少しだけ震えているのに気づき、きっとこれは慣れではないのだと分かる。雪夜はいつだってオレに対して誠実で、一生懸命だった。
オレは目を閉じ、雪夜がもたらすすべての甘い刺激を受け入れ、自分にできる精一杯で応えた。
オレを求める『雄』に、いつもの胸の辺りが温かく、くふふと笑ってしまうような喜びではなく、ぞくぞくするような身を震わせる悦びが全身を突き抜け、どんどん昂められていく――。
天井知らずの快楽に、これから自分がどうなってしまうのかが怖くて、助けを求めるみたいに手を伸ばし雪夜の名前を呼んだ。
「――はぁ……ぁ。ゆき……や。ゆき、や……、ゆきや」
雪夜はすぐにオレの手を取り、指先に唇を寄せた。
「うん。いるよ。傍にいる。夏希……愛してる」
安心したように微笑むオレを見た雪夜も笑って、続きを再開させた。発情も進んだオレはもうなにがなんだか――――、いとしい人の香りに包まれて全身を優しく撫でられる感覚と、遠くの方でなにかが高い声で啼いているのが聞こえるだけ。
そんなふわふわの幸せに包まれている中、突然訪れた衝撃に思わず「ひっ」と悲鳴を上げてしまった。痛いわけではなかったけれど、自分の身の内に侵入した異物に驚いたのだ。衝撃により一気に意識が現実に引き戻され、すぐにその異物の正体に気がついた。
雪夜の方を見ると、心配そうにへにょりと眉尻を下げて腰を引こうとしていたので、オレはそれを阻止するように脚を絡め、全身でぎゅっと抱きしめた。
「ふふ……。――ずっと……ずっとこうして欲しかった――」
溜め息交じりに漏れ出た言葉は、オレの本心だった。
だけど、ついこないだ雪夜の想いを聞いたばかりだ。雪夜の気持ちも分かるから待たされたと責めるつもりもないし、あの日寂しく震えたここは今は雪夜のモノでぎちぎちに満たされている。
満たされて、オレの頬を温かい涙が伝う。
「僕もだよ……」って耳元で囁かれ、再び意識が幸せの中に溶けていく――。
それでも今度は自分がなにをされているのか、雪夜となにをしているのかはぼんやりとながら分かっていた。
激しく身体を揺さぶられギシギシとベッドのきしむ音を聞きながらオレは、快楽だけではなく、雪夜をいとおしいという想いを強く感じていた。
お互いの熱と想いが交じり合い、白濁したものを何度も吐き出して、ついにその時がきた。
雪夜は繋がったままオレを後ろから抱きしめ、項に牙を立てた。ぷちぷちと皮膚を破り食い込んでいく牙。痛くないと言えば嘘になる。だけどそれよりもずっとずっと嬉しくて幸せだ。
「あああああああぁぁ……っ!!」
同時に果てて、汗だくの身体で抱きしめ合った。
はぁはぁと整わない息に幸せを感じながら、オレはこの世で一番安心できる腕の中で静かに眠りに落ちた――。
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