俺のかわいい婚約者さま リメイク版

ハリネズミ

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俺のかわいい婚約者さま・続

5 えぴろーぐ

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「うわー、父さんもやらかしてるねー」

話を聞き終わり、翔がびっくりした顔で言った。
翔が生まれてからは楓君が暴走する事もなくなっていた。実際は暴走しない事もなかったけど、うまく子どもたちには隠せていた。
それに平岡ひらおかさんから語られる楓君の話はどれもすごい話ばかりだから、こういう一面を知らないのだろう。

「…………」

奏はというと、初めて知らされる事実になんとも複雑そうな顔をしていた。
奏は楓君作の手袋や靴下が大好きだった。
まるで売り物みたいに綺麗にそろった編み目と、可愛らしいデザイン。
手編みだと分かる愛情と、温かさもあった。
それが両親の離婚の危機の原因だったと知って内心複雑なのだろう。
一歩間違えば勘違いしたままどうなっていたか分からない。
でもね、奏の大好きな手袋も靴下も帽子もマフラーも、俺にとっても大好きで大切なものなんだよ。楓君の俺たちを想う気持ちがぎゅっと詰まっているんだ。それにあのすれ違いで俺たちは色々な事を学んだんだ。
だからね、あれは俺たち家族にとって、とても大切なものなんだ。
その想いを込めて微笑み奏の頭をひと撫ですると、想いが通じたのか奏は嬉しそうに微笑んだ。

ただ、楓君は当時の事を思い出したのか少し涙目で、後ろから俺にぎゅーぎゅーと抱き着いてきた。元々子どもたちの前でも遠慮なくいちゃいちゃする楓君だったけど、今はまるで俺たちが婚約者だった頃に戻ったみたいだ。いちゃつくというよりも子どものように甘えている。
翔もひとり立ちして、気が緩んだのかな?

「――みんなに話しちゃってごめんね。機嫌直して?」

「う´――いい、ですけど」

まだ少しいる楓君。ぐりぐりと頭を俺に擦り付けてくる。
いくつになっても可愛くて素敵な旦那さま。

俺は翔と彼方君の居る方へ向き直り、優しく微笑んだ。

「だからね、何が言いたかったかというと、翔、彼方くん、ふたりには今まで以上に色々な事が起こると思うんだ。時には相手の事が信じられなくなる事だってあるかもしれない。だけど、お互いを信じてお互いを慈しみあっていれば大丈夫だから。ふたりのこれからの長い人生を、手を取り合ってしっかりと歩んでいきなさい」

「「はい」」

手を取り合って寄り添う翔と彼方君。

少しずつ増えていった家族。
俺と楓君の元に来てくれてありがとう。
こぐまたちと番ってくれてありがとう。
孫ぐまの事も楽しみにしているよ。

俺たちは今も昔もこれから先も、ずっとずっと幸せです。



-おわり-
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