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僕のかわいいこぐまさま
10 〇〇の場合
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少しだけ時を戻し、彼方が薫を見て初めてのヒートを起こした翌日の話。
*****
朝から体調がすぐれなかった。昨日あんな事が起こってしまって動揺しているのだろうか。
それだけにしては妙に怠くて熱も少しあるように思う。それとも風邪でもひいてしまったのだろうか。
心配して会社を休んで一緒に病院に行くと言い出した楓君をなんとか会社へ送り出し、かかりつけの医者に診てもらう事にした。
検査をして名前を呼ばれるのを待合室のソファーに座り待っていた。
ただの風邪にしてはいつもと違う対応に、体調が悪く気弱になっているのかひとりで待つのは少し心細く感じた。
左手薬指にはめられている指輪をそろりと撫でる。
「及川 薫さん、お入り下さい」
看護師の自分の名前を呼ぶ声がして恐る恐る診察室に入ると、先生はにこにこと笑っていた。
病気の説明のはずなのに笑顔?違和感しかない。
「おめでとうございます」
「へ?」
「妊娠16週ですよ」
「え…………」
俺は一瞬固まって、すぐに歓喜に震えた。
54歳になった今でも昔と変わらずヒート無関係に楓君とのセックスはあった。
求めてくれる事が嬉しかったし、楓君との子どもももうひとりくらい欲しいと思っていた。
でも、ここ最近ヒートも減ってきていて、いつかは完全にヒートもなくなって――って諦めていた。
なのに――子どもができた!
嬉しい!嬉しくて嬉しくて――泣けてくる……。
涙が浮かぶのもそのままで番の印である項の噛み跡をそっと撫でる。
楓君がくれた贈り物。
こんな何の取り柄もない俺の事を何年も諦めないでくれて、番にしてくれたね。
すごくすごく嬉しかったんだ。
何度も諦めようとしたキミが成長して俺の目の前に現れて――。
俺はキミから貰ってばかりだ。
キミとのふたり目の子ども。
これだってキミがくれた最高の贈り物。
――喜んでくれるかな?いや、きっと大喜びしてくれる。
俺は病院から出るとすぐにスマホを取り出して楓君に電話をかけた。
「薫さん!大丈夫でした???」
ワンコ―ルもしないうちに繋がる通話にくすりと笑う。
きっとスマホとにらめっこしながら連絡を待っていたに違いない。
本当に俺の番は――。
「どうしました?何か……」
「うん。あのね俺――――」
-おわり-
*****
朝から体調がすぐれなかった。昨日あんな事が起こってしまって動揺しているのだろうか。
それだけにしては妙に怠くて熱も少しあるように思う。それとも風邪でもひいてしまったのだろうか。
心配して会社を休んで一緒に病院に行くと言い出した楓君をなんとか会社へ送り出し、かかりつけの医者に診てもらう事にした。
検査をして名前を呼ばれるのを待合室のソファーに座り待っていた。
ただの風邪にしてはいつもと違う対応に、体調が悪く気弱になっているのかひとりで待つのは少し心細く感じた。
左手薬指にはめられている指輪をそろりと撫でる。
「及川 薫さん、お入り下さい」
看護師の自分の名前を呼ぶ声がして恐る恐る診察室に入ると、先生はにこにこと笑っていた。
病気の説明のはずなのに笑顔?違和感しかない。
「おめでとうございます」
「へ?」
「妊娠16週ですよ」
「え…………」
俺は一瞬固まって、すぐに歓喜に震えた。
54歳になった今でも昔と変わらずヒート無関係に楓君とのセックスはあった。
求めてくれる事が嬉しかったし、楓君との子どもももうひとりくらい欲しいと思っていた。
でも、ここ最近ヒートも減ってきていて、いつかは完全にヒートもなくなって――って諦めていた。
なのに――子どもができた!
嬉しい!嬉しくて嬉しくて――泣けてくる……。
涙が浮かぶのもそのままで番の印である項の噛み跡をそっと撫でる。
楓君がくれた贈り物。
こんな何の取り柄もない俺の事を何年も諦めないでくれて、番にしてくれたね。
すごくすごく嬉しかったんだ。
何度も諦めようとしたキミが成長して俺の目の前に現れて――。
俺はキミから貰ってばかりだ。
キミとのふたり目の子ども。
これだってキミがくれた最高の贈り物。
――喜んでくれるかな?いや、きっと大喜びしてくれる。
俺は病院から出るとすぐにスマホを取り出して楓君に電話をかけた。
「薫さん!大丈夫でした???」
ワンコ―ルもしないうちに繋がる通話にくすりと笑う。
きっとスマホとにらめっこしながら連絡を待っていたに違いない。
本当に俺の番は――。
「どうしました?何か……」
「うん。あのね俺――――」
-おわり-
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