ご機嫌なα

ハリネズミ

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少しの違和感

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俺の友人同士がつい最近番になった。
ラフレシアのフェロモンを持つΩと何故か海外に行った事になっていたαだ。
あの二人はどちらとも古くからの友人だけど何であんな事になってたのかは知らない。理由とか俺が訊いてもなぁ?二人が幸せならまぁいいかって思うし。
それに俺だって早く番を作らなきゃ、だよなぁ…。


最近まではフェロモンのせいで一人になりがちだった朱緒あけおの事が放っておけなくてロクにアピールできていない。
今はもう拓人と朱緒が番になった事で二人はいつも一緒だし、俺が一緒にいる必要もなくなった。邪魔者にされるわけじゃないけど、少しは気を遣う。
そういうわけでこれで心置きなくしぐれにアピールできるってわけだ。

アピール相手であるしぐれがいるDクラスに行くが姿が見えない。

「――――あ、れ?」

「あの、芦崎あしざき……くん、美園みそのくんなら…もうすぐ帰って……あの…来ると思う…よ」

「ああ、花井はないか。教えてくれてありがとう」

にっこりと微笑む。
この子は花井すみれ。しぐれの友人で、βだ。少し気弱で、でも優しい子だ。

花井のリスみたいなきょどきょどとした姿を眺めてほっこりしていると、ドンと花井が誰かにぶつかられて前に倒れそうになった。
俺は急いで抱き留めた。
ふわりと香る微かな匂い。
シャンプーかなんかかな?すごくいい匂いがした。
すんすんと鼻を鳴らす。

「あ…と、ごめん!あり、がと…!」

花井は慌てて俺の腕の中から離れた。
そんなに慌てて離れなくてもいいのに、と思う。
……もう少し嗅いでいたかったな……。
人工的な匂いのはずなのに心がむずむずする。

改めて花井を見ると真っ赤な顔をして俯いていた。
――――かわ……いい…。

―――え?
突如湧いた自分の気持ちにびっくりした。
花井はβだ。なのにかわいいとか…俺変になった?
俺はしぐれの事が好きなのに……。しぐれに番になって欲しいと思うのに別の子の事をかわいいとか……。

まぁ…花井の事は好き、とかじゃないだろうし、かわいいって思うくらいいいのか?
無理やり納得してみたが、自分の中に違和感が残ったままだった。
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