ご機嫌なα

ハリネズミ

文字の大きさ
上 下
1 / 4

少しの違和感

しおりを挟む
俺の友人同士がつい最近番になった。
ラフレシアのフェロモンを持つΩと何故か海外に行った事になっていたαだ。
あの二人はどちらとも古くからの友人だけど何であんな事になってたのかは知らない。理由とか俺が訊いてもなぁ?二人が幸せならまぁいいかって思うし。
それに俺だって早く番を作らなきゃ、だよなぁ…。


最近まではフェロモンのせいで一人になりがちだった朱緒あけおの事が放っておけなくてロクにアピールできていない。
今はもう拓人と朱緒が番になった事で二人はいつも一緒だし、俺が一緒にいる必要もなくなった。邪魔者にされるわけじゃないけど、少しは気を遣う。
そういうわけでこれで心置きなくしぐれにアピールできるってわけだ。

アピール相手であるしぐれがいるDクラスに行くが姿が見えない。

「――――あ、れ?」

「あの、芦崎あしざき……くん、美園みそのくんなら…もうすぐ帰って……あの…来ると思う…よ」

「ああ、花井はないか。教えてくれてありがとう」

にっこりと微笑む。
この子は花井すみれ。しぐれの友人で、βだ。少し気弱で、でも優しい子だ。

花井のリスみたいなきょどきょどとした姿を眺めてほっこりしていると、ドンと花井が誰かにぶつかられて前に倒れそうになった。
俺は急いで抱き留めた。
ふわりと香る微かな匂い。
シャンプーかなんかかな?すごくいい匂いがした。
すんすんと鼻を鳴らす。

「あ…と、ごめん!あり、がと…!」

花井は慌てて俺の腕の中から離れた。
そんなに慌てて離れなくてもいいのに、と思う。
……もう少し嗅いでいたかったな……。
人工的な匂いのはずなのに心がむずむずする。

改めて花井を見ると真っ赤な顔をして俯いていた。
――――かわ……いい…。

―――え?
突如湧いた自分の気持ちにびっくりした。
花井はβだ。なのにかわいいとか…俺変になった?
俺はしぐれの事が好きなのに……。しぐれに番になって欲しいと思うのに別の子の事をかわいいとか……。

まぁ…花井の事は好き、とかじゃないだろうし、かわいいって思うくらいいいのか?
無理やり納得してみたが、自分の中に違和感が残ったままだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

合鍵

茉莉花 香乃
BL
高校から好きだった太一に告白されて恋人になった。鍵も渡されたけれど、僕は見てしまった。太一の部屋から出て行く女の人を…… 他サイトにも公開しています

花に酔う

ハリネズミ
BL
二次性も分からないまま突然起こったヒートによって番関係になってしまう二人。 誤解によって歪められてしまった二人の関係はどうなるのか…? 視点未来はM、静流はSで表記しています。

成り行き番の溺愛生活

アオ
BL
タイトルそのままです 成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です 始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください オメガバースで独自の設定があるかもです 27歳×16歳のカップルです この小説の世界では法律上大丈夫です  オメガバの世界だからね それでもよければ読んでくださるとうれしいです

婚約者に会いに行ったらば

龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。 そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。 ショックでその場を逃げ出したミシェルは―― 何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。 そこには何やら事件も絡んできて? 傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。

【完結】運命さんこんにちは、さようなら

ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。 とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。 ========== 完結しました。ありがとうございました。

僕はお別れしたつもりでした

まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!! 親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。 ⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。 大晦日あたりに出そうと思ったお話です。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

忘れ物

うりぼう
BL
記憶喪失もの 事故で記憶を失った真樹。 恋人である律は一番傍にいながらも自分が恋人だと言い出せない。 そんな中、真樹が昔から好きだった女性と付き合い始め…… というお話です。

処理中です...