キスを集めるキミと 好きを編むボクと

番外編 扉を開けようよ

②

　え？　くそエロかわ……？　は？　僕が？

「――エロ？　かわ？」

　言葉の意味は勿論分かるんだけど、それがどうしても僕とは繋がらなくて混乱してしまう。

「うん。キスだけでこんなにエロくなっちゃって……もしこれ以上の事しちゃったらどうなっちゃうのかって心配なんだ。誰かに酷い目に合わされやしないかって思うと――」

「えぇ……」

　何と言うか……

「ぷっ」

　思わず吹き出していた。
　だって見当違いもいいとこだ。僕がエロかわ？　いやいや、エロかわなのは日奈稀だよ。

　もう何だかおかしくて、笑うしかない。
　最初は戸惑っていた日奈稀も笑い出して、ふたりして大きな声で笑った。

「ね、起こってもない事で色々考えて諦めたり我慢するのって『冒険』じゃないと思うんだ。僕らの『冒険』って分からない事は試してみよう？　だよね。そりゃあお手軽な問題ではないかもだけど、何かあっても僕らは親友で冒険仲間で、恋人なんだからふたりで立ち向かっていけばいい。だから、ふたりでこの大きな扉を開けよう？」

「――ああ、そうだね。俺たちふたりなら何があっても大丈夫」

　そう言って目を細める日奈稀と拳を突き出し、コツンと合わせた。




　そして大きな扉はふたりの手によってゆっくりと開かれた。

　さぁ僕らの新しい冒険が始まる――。



-終わり-