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番外編 扉を開けようよ
2 HINAKI
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俺が不甲斐ないせいで随分直を傷つけていたようだ。
本当は自覚がなかっただけで、最初から直の事が好きだった。そうでなければ現実を冷めた目で見ていた俺があんなに何でもかんでも楽しかったり、一緒に居られるだけで幸せになれたりはしなかっただろう。
だけどそこにふたりが好きな『冒険』が絡んでしまっていたから気づけなかったのだ。おまけに『冒険』をしなくなってしまってからは、どうやったらこのままずっと一緒に居られるのか、それだけを考えてしまっていた。
傍にいる直をよく見て、自分の心に向き合ってさえいればすぐに分かった事だったのに。
突然現れた名取という存在。直への告白は、後であれは冗談だったと聞いたけど、あいつは確かに直の事が好きだったはずだ。本来なら警戒しなければならない相手だけど、俺たちの長年の拗れにこじれてしまった関係を直すきっかけを作ってくれたのも名取だという事は紛れもない事実で、名取に謝罪した後も友だち面して近寄ってくるのを少しの警戒を残しつつも受け入れた。
一緒にゲームをして他愛のない話をして、時々揶揄われたりもするけど嫌ではなかった。それでも少しのバツの悪さから素直になる事はできないけど、友だちだとは思っている。
*****
直とはあれから何度もキスをした。キスする度にフルフルと震える睫毛が愛らしく、深いキスの時なんかすぐにトロトロに溶けてしまうのも最高だ。
と同時に不安でもある。この可愛さがどんどん通常状態になりつつあるからだ。元から可愛かったんだけど、それに気づくヤツは居なかった。
それが最近は他のヤツも分かるくらいにエロ可愛いのだ。直が自分から他へ行くとは流石にもう思ってはいないけど、無理矢理なんて事があってはいけない。だから俺は前にも増して直を抱きしめて、周りに俺のものだとアピールしている。
前は直を抱きしめながらも他の人からのキスを受けていたから直が周りからどう思われていたのか分からないけど今は大丈夫なはずだ。直に気づかれないように時々頭のてっぺんにキスしたりもして他に見せつけている。
いちゃいちゃラブラブと毎日が幸せだからこそ考える。
もしもこの先へと続く扉を開けたなら直はどうなってしまうのだろう。フェロモン垂れ流しになって、今よりもっとエロい目で見られる事になってしまうかもしれない。
――それに……未だに誰かが近づくだけで直の身体が強張るのは俺の浅はかな行いのせいだと思うから、だからこれ以上を求めてしまうのは躊躇われた。
直、本当に好きだよ。心から愛してる。
だからこのままで居る事がふたりにとっての幸せなら俺は――――。
本当は自覚がなかっただけで、最初から直の事が好きだった。そうでなければ現実を冷めた目で見ていた俺があんなに何でもかんでも楽しかったり、一緒に居られるだけで幸せになれたりはしなかっただろう。
だけどそこにふたりが好きな『冒険』が絡んでしまっていたから気づけなかったのだ。おまけに『冒険』をしなくなってしまってからは、どうやったらこのままずっと一緒に居られるのか、それだけを考えてしまっていた。
傍にいる直をよく見て、自分の心に向き合ってさえいればすぐに分かった事だったのに。
突然現れた名取という存在。直への告白は、後であれは冗談だったと聞いたけど、あいつは確かに直の事が好きだったはずだ。本来なら警戒しなければならない相手だけど、俺たちの長年の拗れにこじれてしまった関係を直すきっかけを作ってくれたのも名取だという事は紛れもない事実で、名取に謝罪した後も友だち面して近寄ってくるのを少しの警戒を残しつつも受け入れた。
一緒にゲームをして他愛のない話をして、時々揶揄われたりもするけど嫌ではなかった。それでも少しのバツの悪さから素直になる事はできないけど、友だちだとは思っている。
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直とはあれから何度もキスをした。キスする度にフルフルと震える睫毛が愛らしく、深いキスの時なんかすぐにトロトロに溶けてしまうのも最高だ。
と同時に不安でもある。この可愛さがどんどん通常状態になりつつあるからだ。元から可愛かったんだけど、それに気づくヤツは居なかった。
それが最近は他のヤツも分かるくらいにエロ可愛いのだ。直が自分から他へ行くとは流石にもう思ってはいないけど、無理矢理なんて事があってはいけない。だから俺は前にも増して直を抱きしめて、周りに俺のものだとアピールしている。
前は直を抱きしめながらも他の人からのキスを受けていたから直が周りからどう思われていたのか分からないけど今は大丈夫なはずだ。直に気づかれないように時々頭のてっぺんにキスしたりもして他に見せつけている。
いちゃいちゃラブラブと毎日が幸せだからこそ考える。
もしもこの先へと続く扉を開けたなら直はどうなってしまうのだろう。フェロモン垂れ流しになって、今よりもっとエロい目で見られる事になってしまうかもしれない。
――それに……未だに誰かが近づくだけで直の身体が強張るのは俺の浅はかな行いのせいだと思うから、だからこれ以上を求めてしまうのは躊躇われた。
直、本当に好きだよ。心から愛してる。
だからこのままで居る事がふたりにとっての幸せなら俺は――――。
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