5 / 9
⑤
しおりを挟む私は、家族みんなでご飯を食べ始めると早速聞いた。
「今日、お祭りがあるんでしょ? どんなお祭りなの?」
横では、エレナとエレンが気まずそうにしている。
【あ~、主よ。 それ、本当に聞くのか?】
「うん、もちろん❗」
私がはっきりと頷くと、お父様が教えてくれた。
「今日のお祭りはな、昔、いたずらをしていたドラゴンを森の奥深くに追いやった記念の祭りだ。 そして、その勇者様が猫の服を着ていたことから子供にこのような服を着せるんだ」
私はそこまで聞き終わると、ふと首をかしげた。
「なら、なんで2人はきま… そうか、そういうことか」
私は、1人納得をするとエレナとエレンの顔を見た。
エレンは縦に頷くと、遠くを眺めて語りだした。
【あれは、この国が出来て100年ほどがたった頃だった…】
***
ハルノヒ王国が出来てから100年がたった頃、エレナとエレンは自分達の住む森から街を覗き見ていた。
【ねぇお兄ちゃん、あの人達が飲んでいるものはなんだろうね】
エレナは、人間たちが飲んでいるものを指さして言う。
【そうだな、あの様子から推測する限り、アールの実の果汁を集めたものでも飲んでいるのであろう】
アールの実、それは日本でいうお酒が木の実になったようなもので、食べると酔う木の実のことだ。
赤い木の実で、アルコールが多く含まれており、アルコールに強いエレナとエレンすらもほろ酔いにさせる木の実だ。
【ちょっと飲んでみたいかも】
エレナの一言により、二人は人の姿になって街のなかに出ていった。
お酒を飲み始めて暫くたった頃、アールの実をつまみに食べていたこともあり二人は酔っていた。
そして、ついにやってしまったのである。
しかも、エレナがだ。
気分がよくなってほんの少しだけお店の中で暴れてしまったのだ。
だが、ドラゴンでいうほんの少しだと人間でいうかなりになる。
そこへ運悪くたちよった猫の着ぐるみ姿の勇者は、お店の人に頼まれてエレナをとめるように言われたのだ。
「ちょっとそこの人、落ち着きなさい」
そんなことでとまるはずもなく、エレナは勇者に絡み始めた。
【そこの君~、飲み足りないんじゃないの~?】
「あ~、そういうの良いんで、ちょっと外に出ましょうか」
勇者は、塩対応で返すと、ぐいぐいとエレナの背中を押して外に出した。
一方エレンの方はというと、まだのんきに飲んでいた。
だが、さすがにヤバイと思い始めた頃で勇者が来たので、エレナは勇者に任せることにしてお会計を済ませていた。
このお金は、遠い昔に街へ出るとき用としてサーヤ様がくれたものだ。
「今日、お祭りがあるんでしょ? どんなお祭りなの?」
横では、エレナとエレンが気まずそうにしている。
【あ~、主よ。 それ、本当に聞くのか?】
「うん、もちろん❗」
私がはっきりと頷くと、お父様が教えてくれた。
「今日のお祭りはな、昔、いたずらをしていたドラゴンを森の奥深くに追いやった記念の祭りだ。 そして、その勇者様が猫の服を着ていたことから子供にこのような服を着せるんだ」
私はそこまで聞き終わると、ふと首をかしげた。
「なら、なんで2人はきま… そうか、そういうことか」
私は、1人納得をするとエレナとエレンの顔を見た。
エレンは縦に頷くと、遠くを眺めて語りだした。
【あれは、この国が出来て100年ほどがたった頃だった…】
***
ハルノヒ王国が出来てから100年がたった頃、エレナとエレンは自分達の住む森から街を覗き見ていた。
【ねぇお兄ちゃん、あの人達が飲んでいるものはなんだろうね】
エレナは、人間たちが飲んでいるものを指さして言う。
【そうだな、あの様子から推測する限り、アールの実の果汁を集めたものでも飲んでいるのであろう】
アールの実、それは日本でいうお酒が木の実になったようなもので、食べると酔う木の実のことだ。
赤い木の実で、アルコールが多く含まれており、アルコールに強いエレナとエレンすらもほろ酔いにさせる木の実だ。
【ちょっと飲んでみたいかも】
エレナの一言により、二人は人の姿になって街のなかに出ていった。
お酒を飲み始めて暫くたった頃、アールの実をつまみに食べていたこともあり二人は酔っていた。
そして、ついにやってしまったのである。
しかも、エレナがだ。
気分がよくなってほんの少しだけお店の中で暴れてしまったのだ。
だが、ドラゴンでいうほんの少しだと人間でいうかなりになる。
そこへ運悪くたちよった猫の着ぐるみ姿の勇者は、お店の人に頼まれてエレナをとめるように言われたのだ。
「ちょっとそこの人、落ち着きなさい」
そんなことでとまるはずもなく、エレナは勇者に絡み始めた。
【そこの君~、飲み足りないんじゃないの~?】
「あ~、そういうの良いんで、ちょっと外に出ましょうか」
勇者は、塩対応で返すと、ぐいぐいとエレナの背中を押して外に出した。
一方エレンの方はというと、まだのんきに飲んでいた。
だが、さすがにヤバイと思い始めた頃で勇者が来たので、エレナは勇者に任せることにしてお会計を済ませていた。
このお金は、遠い昔に街へ出るとき用としてサーヤ様がくれたものだ。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない
バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《 根暗の根本君 》である地味男である< 根本 源 >には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染< 空野 翔 >がいる。
ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない??
イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。

それ以上近づかないでください。
ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」
地味で冴えない小鳥遊凪は、ある日、憧れの人である蓮見馨に不意に告白をしてしまい、2人は付き合うことになった。
まるで夢のような時間――しかし、その恋はある出来事をきっかけに儚くも終わりを迎える。
転校を機に、馨のことを全てを忘れようと決意した凪。もう二度と彼と会うことはないはずだった。
ところが、あることがきっかけで馨と再会することになる。
「本当に可愛い。」
「凪、俺以外のやつと話していいんだっけ?」
かつてとはまるで別人のような馨の様子に戸惑う凪。
「お願いだから、僕にもう近づかないで」

あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
春風の香
梅川 ノン
BL
名門西園寺家の庶子として生まれた蒼は、病弱なオメガ。
母を早くに亡くし、父に顧みられない蒼は孤独だった。
そんな蒼に手を差し伸べたのが、北畠総合病院の医師北畠雪哉だった。
雪哉もオメガであり自力で医師になり、今は院長子息の夫になっていた。
自身の昔の姿を重ねて蒼を可愛がる雪哉は、自宅にも蒼を誘う。
雪哉の息子彰久は、蒼に一心に懐いた。蒼もそんな彰久を心から可愛がった。
3歳と15歳で出会う、受が12歳年上の歳の差オメガバースです。
オメガバースですが、独自の設定があります。ご了承ください。
番外編は二人の結婚直後と、4年後の甘い生活の二話です。それぞれ短いお話ですがお楽しみいただけると嬉しいです!
「誕生日前日に世界が始まる」
悠里
BL
真也×凌 大学生(中学からの親友です)
凌の誕生日前日23時過ぎからのお話です(^^
ほっこり読んでいただけたら♡
幸せな誕生日を想像して頂けたらいいなと思います♡
→書きたくなって番外編に少し続けました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる