5 / 6
祝福 ⒌
しおりを挟む
どれくらい泣いただろうか。
どうやら眠ってしまっていたようだ。
腫れた目を冷やそうと立ち上がり、「果たして目を冷やす必要はあるのか。」と、自嘲的な気分に浸りながら鏡を見ると、そこに映ったのは見知らぬ端正な顔の女であった。
あまりのことに、声が出ない。
「これ…私?」そっと薔薇色の頬に触れてみる。確かに感触があった。
無言で鏡を見つめる。
この顔が私のものでないことは明らかだが、この顔の人間が私であることもまた、明らかである。
「一体、どういうことなの…。」
混乱し、整理がつかない。
眠っている間に何があったのか、どうしてこうなったのか。
でも…。と、私は考え直す。
「この顔が誰のものであろうといいじゃない。今は私のものなんだし…。」
─────ふっと息を漏らす。
「…やっと美しくなれたのよ。」
私は生まれ変わった。もう誰にも罵られない。もう悔しくて泣くこともない。
劣等感に苛まれることもない。
私は私を愛し、自信を持って生きることが出来る。
私は泣いた。
今まで感じたことの無い喜びに震え、涙を流した。
それはまるで、生きることを祝福されたかのような心持ちであった。
どうやら眠ってしまっていたようだ。
腫れた目を冷やそうと立ち上がり、「果たして目を冷やす必要はあるのか。」と、自嘲的な気分に浸りながら鏡を見ると、そこに映ったのは見知らぬ端正な顔の女であった。
あまりのことに、声が出ない。
「これ…私?」そっと薔薇色の頬に触れてみる。確かに感触があった。
無言で鏡を見つめる。
この顔が私のものでないことは明らかだが、この顔の人間が私であることもまた、明らかである。
「一体、どういうことなの…。」
混乱し、整理がつかない。
眠っている間に何があったのか、どうしてこうなったのか。
でも…。と、私は考え直す。
「この顔が誰のものであろうといいじゃない。今は私のものなんだし…。」
─────ふっと息を漏らす。
「…やっと美しくなれたのよ。」
私は生まれ変わった。もう誰にも罵られない。もう悔しくて泣くこともない。
劣等感に苛まれることもない。
私は私を愛し、自信を持って生きることが出来る。
私は泣いた。
今まで感じたことの無い喜びに震え、涙を流した。
それはまるで、生きることを祝福されたかのような心持ちであった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
童貞
ひかひら
現代文学
私の初体験を綴ります。自分が見返すように作りますので、気分が悪くなった人は閲覧を遠慮していただけますようお願い申し上げます。
私のスペック:公立小学校入学後、中学受験をして中高一貫校へと入学。その後理系国公立大学へと進学し、現在は2年で在学中である。174cm、60Kg、フツメン。彼女は高校時代に1人だけ。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる