美醜

クズ娘

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幸せ ⒊

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「私も大きくなったら、お姉ちゃんみたいになれる?」幼い頃に一度だけ、姉に聞いたことがあった。彼女はどこからみても完璧な角度に口角を上げ、「えぇ。」と、言葉を返した。そう。ただ、それだけ。
幼かった私は、その言葉を素直に信じ、大人になった自分の姿を想像してはまるでお姫様のように振舞った。

「いつかはきっと私も、お姉ちゃんみたいに美しい女性になれる。」

「だって私は、あのお姉ちゃんの妹だから。」

「優しいお姉ちゃん。私の愛するお姉ちゃん。だから私も、みんなに優しくしてあげないと。」

誰にでも優しく、美しさと気品を兼ね備えたまさに完璧な姉は、幼い私を魅了する要素としては十分だった。
私は誰よりも姉を慕い、誰よりもずっと姉の傍にいた。
そうすることで姉に近づき、姉の美しさに浸り、姉の甘美な声を聴きながら、自分もこうなれるのだ、と将来の自分に期待を寄せた。
幸せだった。
姉の美しさを気配で感じながら息をする時間が、私に何よりも、幸福を感じさせた。

私にとって姉とは、私の望む全てだったのだ。
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