美醜

虚構 ⒉

「汚い子。」「可哀想に。」
────「どうして姉妹でこんなにも差が出来ちゃったのかしらね。」
クスクス、くすくす。
彼女が多くの人の目を惹き付けるように、私もまた、多くの人の目に晒された。
しかしそれは、余りにも正反対な世界の出来事で、私に向けられる冷たい視線はやがて鋭いナイフとなり、私の心を突き刺した。
｢私はお姉ちゃんの妹なのに。｣
あの美しい姉の実の妹であるという事実は、私をうっとりさせ、また、苦しめた。
─────私は醜い。
本当に実の妹なのか、と疑ってしまうほどに、私は醜かった。
小さな目に潰れた鼻。肌には至るところに赤い吹き出物ができ、血色の悪い唇は、乾燥して切れている。
｢美しい｣なんて言葉、私には冗談でも使えない。
それでも尚、自分らしく振る舞えたのは、｢美しい姉の妹である｣という事実だった。
私は姉に自分自身を重ね、虚構の美しさに酔っていたのだ。