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第二章〜勇者と魔王
魔導外骨格と焼きマシュマロ
しおりを挟む結局異世界モンスターの転移の原因は不明。
そもそも俺が異世界ともといた世界を行き来できる理由もいまだに不明だからな。
その時店の奥、マギの工房部屋から怪しげな笑みを浮かべた不審者が姿を現した。
「ふっふっふっ…ついに私の夢が一つ実現する日が来ましたよ!その名も魔導外骨格!」
工房の中に入るとそこには体長3メートル程の白銀の鎧が置かれていた。
「これを完成させるに大量のミスリルと魔法石が必要だったため製作を断念していた魔導装備なんですが、店長のおかげで完成させることができました!あと店番が暇でたっぷり時間があ離ましたからね!」
暇で悪かったな…
「早速試験運転です!」
魔導外骨格は胴体部分に操縦者が乗り込む形になっている。
「魔導外骨格機動!」
ミスリルの機体にマナが注がれると全体が青白く輝きゆっくりと立ち上がり瞳に真紅のあかりが灯る。
悔しいがかっこいい!瞳が光ることに何の意味があるのか謎だがとりあえずかっこいい!
「驚くのはこれからですよ!」
背中に生えた翼のようなパーツが緑に光り暴風が巻き起こると機体はゆっくりと地面から浮かび上がる。
飛べるのか!?
そのまま10メートルほど上昇すると今度は上空を旋回し始める。
「どうですか?魔導外骨格の飛行機能は!!」
控えめに言って最高だと言わざるを得ない。これぞ浪漫装備だ!
……なんか徐々に高度が落ちてきてないか?
や、やばい!こっちに突っ込んでくるぞ!
俺は咄嗟に両手を合わせ腕にガルヴォルンを纏う。そして空から降ってくる機体をしょうめんから受け止める。
数十メートル地面を引きずられたが何とか止めることができた。
中から目を回したマギがアンデットのように這いずり出てくる。
「うう…気持ち悪い…飛行機能は燃費が悪いみたいですね」
「まぁいくらミスリルが軽い金属とはいえこの巨体だからな。風で浮かすには無理があるだろ」
「しかし軽量化すると装甲が薄くなるし、代わりの素材もこれといっていい物がないし…いや飛ぶための動力を風以外のものにすればいいのかも!?物を反発させる力!斥力を使えば少ないマナで飛行が可能かも!というわけで店長!重力魔法に必要な闇の魔法石の調達お願いします!」
いいように使われている気もするがまぁいいか。こんなに楽しそうな研究付き合わないなんて損だしな。
今回のターゲットは死霊騎士だ。ダンジョンの奥地にある谷底にアンデット系モンスターの溜まり場があり底に出没するらしい。
今回の狩りのお供は暗闇のエルフであるエオルだ。というか残りの二人は死神がややトラウマになっているのかついて来なかった。
「この辺はワイトが湧くんだけど、マギが作ってくれた光の魔法石の入ったランタンなら低級モンスターは近寄って来れないから大丈夫よ」
さすが暗闇のエルフ。道案内してくれる背中が逞しく見える。
そしてマギの魔道具の力もあって道中はモンスターとの戦闘もなく快適だ。
「そろそろ休憩にしようか?」
俺はマジックバックから食料と薪、焚き火台を取り出し火を起こす。
二人で焚き火を囲むとまるでキャンプ気分だ。
スキレットで目玉焼きと厚切りのベーコンを焼くと食パンの上に乗せる。
お湯も沸かしホットコーヒーを淹れるとあたりにいい香りが漂う。
「いい香りがするとおもったら君か。また会ったね」
前回店を訪ねてくれた金色の瞳の魔族だ。
「そういえば前回名乗ってなかったね。僕の名はバロル。多分お仲間のエルフから聞いてると思うけど魔族だよ。そんなに警戒しなくても危害を加えるつもりはないから大丈夫だよ」
「それにヒトから嫌われている魔族とエルフから地下に閉じ込められた暗闇のエルフ、僕たち似ていると思わないかい?」
「思わないわ。私たちを地下に閉じこめたなんて何世代も前の話だし、今は自由に外に出れる。私は誰も恨んではないわ」
「そうだね。僕たち魔族は存在するだけで厄災を呼ぶ。永遠に嫌われる存在である僕だちとは違うか」
何て悲しそうな顔をするんだ…
「少なくとも俺は嫌ってないぜ。腹が減ってるからそんな暗い気分になるんだ。こっちにきて一緒に飯食おうぜ」
俺は淹れたてのコーヒーと目玉焼きとベーコンの乗ったパンを渡す。
「そうね…一緒に食べましょう」
「「「いただきます」」」
同じ飯を食べると不思議と仲良くなれる。腹が減ってることはやはり良くない。体も心も不健康になる。
デザートは焼きマシュマロだ。ただマシュマロを焼いただけだろと馬鹿にしないでほしい。食感も味も香りも全くの別物。そして何より焼く作業が楽しい!一度ぜひ試してほしい。
「ありがとう。とても美味しかったよ。ところで二人はなんでこんなところに?」
バロルに今回の目的である闇の魔法石とそれを得るための死霊騎士討伐を伝える。
「なるほど…もしよかったら僕もお供していいかい?きっと力になるはずだよ」
魔族とパーティーを組むか…面白い。
俺たちは同じ釜の飯を食った仲間だ。それにヒトと魔族、もしかしたら共存できるヒントが見つかるかもしれない。
「ああ!頼むよ!」
そもそも俺が異世界ともといた世界を行き来できる理由もいまだに不明だからな。
その時店の奥、マギの工房部屋から怪しげな笑みを浮かべた不審者が姿を現した。
「ふっふっふっ…ついに私の夢が一つ実現する日が来ましたよ!その名も魔導外骨格!」
工房の中に入るとそこには体長3メートル程の白銀の鎧が置かれていた。
「これを完成させるに大量のミスリルと魔法石が必要だったため製作を断念していた魔導装備なんですが、店長のおかげで完成させることができました!あと店番が暇でたっぷり時間があ離ましたからね!」
暇で悪かったな…
「早速試験運転です!」
魔導外骨格は胴体部分に操縦者が乗り込む形になっている。
「魔導外骨格機動!」
ミスリルの機体にマナが注がれると全体が青白く輝きゆっくりと立ち上がり瞳に真紅のあかりが灯る。
悔しいがかっこいい!瞳が光ることに何の意味があるのか謎だがとりあえずかっこいい!
「驚くのはこれからですよ!」
背中に生えた翼のようなパーツが緑に光り暴風が巻き起こると機体はゆっくりと地面から浮かび上がる。
飛べるのか!?
そのまま10メートルほど上昇すると今度は上空を旋回し始める。
「どうですか?魔導外骨格の飛行機能は!!」
控えめに言って最高だと言わざるを得ない。これぞ浪漫装備だ!
……なんか徐々に高度が落ちてきてないか?
や、やばい!こっちに突っ込んでくるぞ!
俺は咄嗟に両手を合わせ腕にガルヴォルンを纏う。そして空から降ってくる機体をしょうめんから受け止める。
数十メートル地面を引きずられたが何とか止めることができた。
中から目を回したマギがアンデットのように這いずり出てくる。
「うう…気持ち悪い…飛行機能は燃費が悪いみたいですね」
「まぁいくらミスリルが軽い金属とはいえこの巨体だからな。風で浮かすには無理があるだろ」
「しかし軽量化すると装甲が薄くなるし、代わりの素材もこれといっていい物がないし…いや飛ぶための動力を風以外のものにすればいいのかも!?物を反発させる力!斥力を使えば少ないマナで飛行が可能かも!というわけで店長!重力魔法に必要な闇の魔法石の調達お願いします!」
いいように使われている気もするがまぁいいか。こんなに楽しそうな研究付き合わないなんて損だしな。
今回のターゲットは死霊騎士だ。ダンジョンの奥地にある谷底にアンデット系モンスターの溜まり場があり底に出没するらしい。
今回の狩りのお供は暗闇のエルフであるエオルだ。というか残りの二人は死神がややトラウマになっているのかついて来なかった。
「この辺はワイトが湧くんだけど、マギが作ってくれた光の魔法石の入ったランタンなら低級モンスターは近寄って来れないから大丈夫よ」
さすが暗闇のエルフ。道案内してくれる背中が逞しく見える。
そしてマギの魔道具の力もあって道中はモンスターとの戦闘もなく快適だ。
「そろそろ休憩にしようか?」
俺はマジックバックから食料と薪、焚き火台を取り出し火を起こす。
二人で焚き火を囲むとまるでキャンプ気分だ。
スキレットで目玉焼きと厚切りのベーコンを焼くと食パンの上に乗せる。
お湯も沸かしホットコーヒーを淹れるとあたりにいい香りが漂う。
「いい香りがするとおもったら君か。また会ったね」
前回店を訪ねてくれた金色の瞳の魔族だ。
「そういえば前回名乗ってなかったね。僕の名はバロル。多分お仲間のエルフから聞いてると思うけど魔族だよ。そんなに警戒しなくても危害を加えるつもりはないから大丈夫だよ」
「それにヒトから嫌われている魔族とエルフから地下に閉じ込められた暗闇のエルフ、僕たち似ていると思わないかい?」
「思わないわ。私たちを地下に閉じこめたなんて何世代も前の話だし、今は自由に外に出れる。私は誰も恨んではないわ」
「そうだね。僕たち魔族は存在するだけで厄災を呼ぶ。永遠に嫌われる存在である僕だちとは違うか」
何て悲しそうな顔をするんだ…
「少なくとも俺は嫌ってないぜ。腹が減ってるからそんな暗い気分になるんだ。こっちにきて一緒に飯食おうぜ」
俺は淹れたてのコーヒーと目玉焼きとベーコンの乗ったパンを渡す。
「そうね…一緒に食べましょう」
「「「いただきます」」」
同じ飯を食べると不思議と仲良くなれる。腹が減ってることはやはり良くない。体も心も不健康になる。
デザートは焼きマシュマロだ。ただマシュマロを焼いただけだろと馬鹿にしないでほしい。食感も味も香りも全くの別物。そして何より焼く作業が楽しい!一度ぜひ試してほしい。
「ありがとう。とても美味しかったよ。ところで二人はなんでこんなところに?」
バロルに今回の目的である闇の魔法石とそれを得るための死霊騎士討伐を伝える。
「なるほど…もしよかったら僕もお供していいかい?きっと力になるはずだよ」
魔族とパーティーを組むか…面白い。
俺たちは同じ釜の飯を食った仲間だ。それにヒトと魔族、もしかしたら共存できるヒントが見つかるかもしれない。
「ああ!頼むよ!」
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