男だけど女性Vtuberを演じていたら現実で、メス堕ちしてしまったお話

ボッチなお地蔵さん

文字の大きさ
上 下
39 / 90

22話:同期全員とコラボ!! 5

しおりを挟む
『藤宮さんの「郷愁」を歌います…』

〈郷愁か…〉
〈郷愁めちゃくちゃ好きや〉
〈まだ20代なのになんか懐かしく感じるんよな〉

『~~~~………』




春は小鳥のさえずりが耳に入り、寝具から体を起こす… 
あたり一面に満開に咲き誇る風光明媚な桜の花吹雪を身に浴び、心を打たれながら馴染みの学友や新たな学友と出会い、今年も始まるんだな…と感じる…

夏は学友と田んぼや畑、広場で走り回りかくれんぼや鬼ごっこを日が暮れるまで遊び、風鈴のチリンッ…という音を聞きながら西瓜を食べ、ラムネを飲んだ…

秋は自分が山で採ったきのこやたけのこを母さんに料理に出してもらったり、海のように広がった真紅の紅葉を見る…

冬は辺り一帯が真っ白な雪に覆われ、自分はこたつに入りながら蜜柑を食べ、猫とともに寝りにつく…

この「郷愁」という歌は藤宮さんが子供の頃に暮らしていた田舎の故郷の景色、人、四季、楽しかった思い出を懐かしんで書いた歌だ…


僕はこの歌を藤宮さんのように完璧には歌えないだろう…

藤宮さんのように桜に心を打たれるようなことはないし、風鈴の音を聞きながら西瓜も食べたことも海のように広がった真紅の紅葉も見ることはない。


故郷も僕は田舎ではないから何もかもが違う…


だから僕は自分が住んでいる街を離れたら…家族や友達と離れたら… 歳をとって懐かしむとき…そんなのは想像でしかないが…その僅かな想いを歌に変換する…

皆が懐かしくなるような気持ちになるように…


『~~~~………♪♪♪』


〈………〉
〈……〉
〈……〉
〈……〉



最後は…皆が泣きたくなるように…故郷を懐かしみながらも今を大事に出来るように…

この歌を届ける…



『~~~………!!』



――――――――――――



『~~~………ふぅ…』

歌い終わった…僕が今出せる全力で心を込めて…想像をして歌った…

皆の反応はどうかな…? そう思って顔をあげる…

『……え?』

え…!?なんか…皆泣いてるんだけど… 確かに全力で歌ったけど…泣くほど…!?


〈やばい…〉
〈久しぶりに母ちゃんに会いたいわ…〉
〈地元に帰りたいなぁ…〉
〈なんか…凄すぎて言葉に出来ない…〉
〈天使や…〉
〈歌声で浄化された〉
〈まじで凄い、歌で鳥肌がたったの初めて〉
〈エグすぎ、それしか言えん〉


『………家族の事を思い出したんだよ…』

『久しぶりに夫との楽しい記憶が…』

いや…玄さん独身だからそれは嘘だよね…

『お母さん…』

『つ、次私…の番…え…無理よ…え…』

『アガットちゃん一人だけ別の理由で泣いてない…!?』

『アザーちゃん…素晴らしいです…その一言に尽きます…うぅ…髪の触り心地良すぎ…』

琴葉さんは泣きすぎだよ…あと僕の頭撫でないで!!

『すみません…ついつい触りたくなってしまうので。では、最後はアガットさんです』




『は…はい…!えーっと…歌う曲は「道」です…』

〈アガットちゃんの歌楽しみだ~〉
〈道いい曲よな〉
〈頑張れ~!〉
〈アガットちゃんがんば!〉

アガットちゃん話し方敬語になってるけど大丈夫かな…



『~~~………♪♪♪』




――――――――――――



『~~~………あっ…(やばい…サビの歌詞を少し忘れた…どうしよう…もうすぐサビなのに…
うぅ…)』


『そ…その…足『その足跡が~♪♪』』

『(………!?アザーちゃんがサビのハモリの部分に入ってきた…!?そ…そっか…私がここの歌詞が分からないって分かったんだ…)』



『『~~~………♪♪♪♪』』




―――――――――


『『~~~……ふぅ……!!』』

〈88888888〉
〈二人の歌凄い綺麗だった!!〉
〈アガットちゃん頑張った!!〉
〈感動した…〉
〈やばい…〉
〈てぇてぇ〉
〈てぇてぇよぉ~〉


『アガットちゃん頑張って偉いんだよ!』

『うむ、綺麗な歌声じゃったぞ!』

『まぁアガットにしてはやった方だな』

『アガットちゃん上手かったよ!!』

『……っ!皆……っうん!』

『アガットさんありがとうございました。歌声がとても綺麗で頑張ってたのが伝わってきました。では、視聴者の皆さんは誰が1番歌が上手かったか投票をしてください。投票はエターナル公式アカウントで行っています。投票時間は17時20分までです』

〈おけ~〉
〈投票してくる〉
〈皆良かったから難しいわ〉
〈公式アカウントに投票か〉





『では、17時20分になりましたので、投票を終了したいと思います』

〈もうか〉
〈ワクワク〉
〈誰なんやろ〉


『え~、今回は1位の人だけ発表をしたいと思います。1位は…アザーさんです』

『………っ!!やったぁ!!』

やった!!僕が1位…僕も出来ることがあるのが皆に分かってもらえたかな…

『アザーおめでとうなんだよ!』

『うむ、アザーがずば抜けておったから分かってはいたがのぅ』

『しょうがないが今回は負けを認めてやる…』

『アザーちゃん…上手かったわよ。おめでとう…!』

『うん…ありがとう!』


『では豪華賞品をアザーさんにあげましょうか。賞品は高級焼肉食べ放題6人分です!』

『焼肉…!』

〈焼肉ええなぁ〉
〈久しぶりに食いたい…〉
〈今食ったら胃がもたれる…〉

『では、これにて配信を終了したいと思います』

『『『『『皆バイバイ~!!』』』』』

〈バイバイ~!〉
〈バイバイ!〉
〈おつアザー!〉
〈バイバイ〉
〈次の配信も楽しみ!〉


―――――――――――


「この後2期生と琴葉さんで焼肉店に行きませんか??」


「別に大丈夫ですが…せっかくの焼肉食べ放題を私達に使っていいんですか?」

「はい!僕は皆と焼肉を食ベたいので!!」

皆ともっと仲良くなりたいし、家族以外の人と焼肉に行きたいって思っていたんだ…
こんなこと思ってるのは友達があまり多くないからなんだけど…

「るいさん…良い子すぎ……髪の毛の触り心地良すぎ…」

「だから頭撫でないでくださいってば!!」

琴葉さんはもう僕に対してそのキャラを隠さなくなったね…
皆の前で撫でるのは恥ずかしいからやめてほしいな…

「焼肉楽しみなんだよ~!」

「るい、ありがとうのぉ…」

「肉食べまくるぜ」

「るい…ありがとね…!」






エターナル事務所の本社から歩いて10分のところの焼肉店の焼肉食べ放題だったので、そのまま皆で歩いて向かった。

店に着いて早速肉を頼んだのだが…


「このタンは俺のだ!!」

「私が焼いてたんだから私のなんだよ!!」

「この世は弱肉強食なんだ。強いものが勝つ。だから俺が全ての肉を食べる」

「関係ないんだよ!!」

「弱肉強食なら雌黄の肉いただくぞぉ…はむっ… 美味いのぉ」

「勝手に俺のを食べるな!!」


「賑やかですね…」

「そうですね」

賑やかすぎて店員さんに怒られそうだけど…
あっ…怒られた…

「まったく…肉の取り合いなんて子供ね…」

そう言ってるけどアガットちゃん何枚も肉抱えてる…

「琴葉さんも食べてますか?」

「はい。美味しいですね。流石高級焼肉店です」





「「「「「「ごちそうさまでした」」」」」」


そして僕達は店を出た。もう19時を過ぎていて空は暗かった。お肉を食べすぎてもうお腹に何も入らないな…
皆で焼肉を食べるのは楽しいね…また皆で行きたいな。

「ふぅ…たくさん食べたんだよ!」

「お腹いっぱいじゃのぉ」

「もう食えないな…」

「もう19時ですね。ここで解散にしましょうか」

「了解なんだよ!」

「じゃあ私はもう行くのぉ…」

「俺もさらばだ!」

「私も仕事があるので」


皆すぐに解散していった。皆車で来ているらしい。電車は僕だけだから一人で帰るのか…


「ねぇ…るい…」


「…あれ?美咲ちゃんどうしたの…?」

皆帰ったかと思ったがまだ美咲(アガット)ちゃんはまだ残っていたみたいだ。


「その…私が配信の時のサビの部分を歌えなかったでしょ。そこをハモってカバーしてくれてありがとう…」

「あぁ…そのことね。僕も初配信や初コラボのとき、買い物に行ったときにも美咲ちゃんに頼助けられてばっかだから…美咲ちゃんが困っていたら助けないとね!!」

「うん…だけど…多分私は今日の選手権最下位だわ…だって一人じゃ失敗していたもの…」

「順位も大切だけどさ…やっぱり1番大切なのは自分が楽しく歌えたかじゃないかな」

「楽しく…歌えたか…」

「うん、やっぱり歌は楽しく歌うからこそ上手くなるんだよ。最初っから私は歌が上手くないんだって思ってやるからだめなんだよ。」

「最初っから歌が上手くないんだって思ってやるから…確かに…」

「それに…僕は美咲ちゃんの歌声が1番好きだよ」


「………っ!!!!そ…そんなこと初めて言われたわ…」 

「ほんと…?あっ…というかもう電車来るから急がないと…じゃあねっ!」

「うん…」

そして僕は駅まで走っていった。
少女が頬を真っ赤に染めていることに気付かずに…
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

目の前に色男が!早速ケツを狙ったら蹴られました。イイ……♡

ミクリ21
BL
色男に迫ったら蹴られた話。

処理中です...