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私のことなど……
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「申し訳ない…………本当に申し訳ない…………いや、これは、俺が悪いんじゃないんだ!あっちが、俺には妻がいることを知っておきながら、俺のことを誘惑したんだ!」
夫は、耳が痛くなるような不倫の言い訳を言い続けた。
私は、どう反応してよいか困った。
というか、もう、私には、感情というものがない。
もう、何が何だか分からないのである。
必死に言い逃れしようとしている夫の顔を見て、ため息をついた。
「侯爵殿。もう、良いのです。私はそれまでの女だったということで、私なんぞ気にせず、どうぞ、お相手の女性とお幸せになってください……」
「ち、違うんだ!分かってくれ!あっちも俺と恋愛関係になるつもりはなかったらしいんだ!頼む!」
私は、振り向くこと無く、黙って家を出た。
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