35 / 46
35. リリアside 邪魔されたから①
しおりを挟む
「リリアは今日も可愛いね。本当に天使みたいだ」
オズワルド様は今日もわたしを褒めてくれる。
少し前まで憎い女サーシャを映していたガラス細工のようにきれいな瞳も、今はわたしだけを映している。
でも、こんなのじゃ満足なんて出来ない。
わたしを不幸にしたあの女にはもっと苦しい思いをしてもらわないと、気が済まないんだから!
やり直しの人生で、せっかく手に入った幸せは絶対に離さないわ。
ここまで辛いことが沢山あったんだから!
でも、神様はちょっぴりイジワルみたい。
わたしは何度も失敗して、何度も時間を逆行しているわ。言っても信じられないと思うけど。
でも、誰にも言わない。
このことはリリアだけの秘密だから。
◇
わたしがサーシャを恨む理由?
そんなの簡単よ。
本当ならお母様がオーフィリア夫人になっていたはずなのに、恋に落ちた王女様にオーフィリア子爵様を奪われた。
お母様がそう言っていたから、間違いないわ。
わたしが暮らしているブロンムーン家は貧乏で、自由にドレスを買ったり宝石を買ったりすることなんて出来ない。
本当ならわたしがオーフィリア家の長女になれていたはずなのに、自由にオシャレしたり可愛いドレスを仕立ててもらったり出来たのに……。
だから、わたしのお母様がそうしているように、私もサーシャとサーシャの母親を恨んでいるの。
「あの女の娘、サーシャが婚約したそうよ。リリーが大好きなオズワルド様と」
「どう……して?」
「サーシャがオズワルド様を誘惑したのよ。
あの貧相な体でも誘惑出来るだなんて不思議よね。やっぱり顔なのかしら?」
だから、こんなことをお母様から言われたとき、すごくら嫌な気持ちになった。
サーシャはわたしから幸せを奪ったのに、好きな人も奪っていくのね?
「リリア、いい方法を教えてあげる。
サーシャがお手洗いに行った隙を狙うのよ。後ろからナイフで首を切れば大丈夫よ」
「それって、殺すってこと……?」
サーシャは恨めしいけど、殺すのは良くないと思う。
でも……。
「あの女はリリアのものを全部奪ってくるわ。恋人も、宝石も、命も。全部よ。
だったら、奪われる前に命を奪っておいた方が幸せになれるのよ?」
「幸せに……」
優しいお母様の言葉を聞いていたら、サーシャを殺した方が良いと思うようになった。
わたしの努力を全部奪われるなら、邪魔出来ないようにした方が良いよね。
どうしてこんなに簡単なことに気付かなかったのかな?
ちょっぴり不思議ね。
サーシャを殺すと決めたわたしは、次の日に行動に移した。
お母様に言われた通り、後ろから忍び寄って首にナイフを突き刺したわ。
悲鳴を上げられると思ったけれど、憎い女は目を見開いて驚いているだけ。
喉を刺されると声って出せなくなるのね。
返り血を浴びないように、ナイフはサーシャの前から刺したけど、腕に少しだけ付いてしまったわ。
気持ち悪いから、すぐに水で流した。
ナイフは……刺したままで大丈夫よね。
もう持ち手まで血塗れだから、触りたくないもの。
そんな時、サーシャは首のナイフをそのままに、お手洗いから飛び出してしまった。
でも、こんなに血が出ていたら、絶対に助からないわ。
そう思っていたのに……。
「サーシャ! しっかりしろ!」
「何事だ?」
「先生! サーシャが襲われました!」
お手洗いにまでオズワルド様と一緒に来ていだのかしら?
そんな声が聞こえてくる。
気になるけど、今出たら怪しまれるよね……。
今は個室に隠れて、何も見ていなかった事にした方が良さそうね。
サーシャがは何も喋れないから、わたしが犯人だって分からないもの。
「ナイフを抜いて傷口を押さえるんだ! 彼女なら、このくらい治せるはずだ」
「分かりました。サーシャ、痛いかもしれないが耐えてくれ」
そんな会話が聞こえてくる。
何をしても無駄なのに。馬鹿な人達。
「……死ぬかと思いましたわ。
助けてくださってありがとうございます」
「良かった。もう大丈夫か?」
「ええ。もう元通りになりましたわ」
どういうこと……?
なんで喋れているの?
意味が分からないわ。
「そうか、本当に良かった。
誰に襲われたか分かるか?」
「リリア・ブロンムーン様ですわ。まだ中にいると思うのですけど……」
そんな会話が聞こえきて、すぐにわたしは見つかってしまった。
サーシャは癒しの力を持っているから、あんなに血が流れても生きていたみたい。
そのせいで、わたしは捕えられて、その日のうちに処刑された。
でも……。
神様が可愛いわたしの味方をしてくれたみたいで、次に目を覚ました時に時間が巻き戻っていたの。
オズワルド様は今日もわたしを褒めてくれる。
少し前まで憎い女サーシャを映していたガラス細工のようにきれいな瞳も、今はわたしだけを映している。
でも、こんなのじゃ満足なんて出来ない。
わたしを不幸にしたあの女にはもっと苦しい思いをしてもらわないと、気が済まないんだから!
やり直しの人生で、せっかく手に入った幸せは絶対に離さないわ。
ここまで辛いことが沢山あったんだから!
でも、神様はちょっぴりイジワルみたい。
わたしは何度も失敗して、何度も時間を逆行しているわ。言っても信じられないと思うけど。
でも、誰にも言わない。
このことはリリアだけの秘密だから。
◇
わたしがサーシャを恨む理由?
そんなの簡単よ。
本当ならお母様がオーフィリア夫人になっていたはずなのに、恋に落ちた王女様にオーフィリア子爵様を奪われた。
お母様がそう言っていたから、間違いないわ。
わたしが暮らしているブロンムーン家は貧乏で、自由にドレスを買ったり宝石を買ったりすることなんて出来ない。
本当ならわたしがオーフィリア家の長女になれていたはずなのに、自由にオシャレしたり可愛いドレスを仕立ててもらったり出来たのに……。
だから、わたしのお母様がそうしているように、私もサーシャとサーシャの母親を恨んでいるの。
「あの女の娘、サーシャが婚約したそうよ。リリーが大好きなオズワルド様と」
「どう……して?」
「サーシャがオズワルド様を誘惑したのよ。
あの貧相な体でも誘惑出来るだなんて不思議よね。やっぱり顔なのかしら?」
だから、こんなことをお母様から言われたとき、すごくら嫌な気持ちになった。
サーシャはわたしから幸せを奪ったのに、好きな人も奪っていくのね?
「リリア、いい方法を教えてあげる。
サーシャがお手洗いに行った隙を狙うのよ。後ろからナイフで首を切れば大丈夫よ」
「それって、殺すってこと……?」
サーシャは恨めしいけど、殺すのは良くないと思う。
でも……。
「あの女はリリアのものを全部奪ってくるわ。恋人も、宝石も、命も。全部よ。
だったら、奪われる前に命を奪っておいた方が幸せになれるのよ?」
「幸せに……」
優しいお母様の言葉を聞いていたら、サーシャを殺した方が良いと思うようになった。
わたしの努力を全部奪われるなら、邪魔出来ないようにした方が良いよね。
どうしてこんなに簡単なことに気付かなかったのかな?
ちょっぴり不思議ね。
サーシャを殺すと決めたわたしは、次の日に行動に移した。
お母様に言われた通り、後ろから忍び寄って首にナイフを突き刺したわ。
悲鳴を上げられると思ったけれど、憎い女は目を見開いて驚いているだけ。
喉を刺されると声って出せなくなるのね。
返り血を浴びないように、ナイフはサーシャの前から刺したけど、腕に少しだけ付いてしまったわ。
気持ち悪いから、すぐに水で流した。
ナイフは……刺したままで大丈夫よね。
もう持ち手まで血塗れだから、触りたくないもの。
そんな時、サーシャは首のナイフをそのままに、お手洗いから飛び出してしまった。
でも、こんなに血が出ていたら、絶対に助からないわ。
そう思っていたのに……。
「サーシャ! しっかりしろ!」
「何事だ?」
「先生! サーシャが襲われました!」
お手洗いにまでオズワルド様と一緒に来ていだのかしら?
そんな声が聞こえてくる。
気になるけど、今出たら怪しまれるよね……。
今は個室に隠れて、何も見ていなかった事にした方が良さそうね。
サーシャがは何も喋れないから、わたしが犯人だって分からないもの。
「ナイフを抜いて傷口を押さえるんだ! 彼女なら、このくらい治せるはずだ」
「分かりました。サーシャ、痛いかもしれないが耐えてくれ」
そんな会話が聞こえてくる。
何をしても無駄なのに。馬鹿な人達。
「……死ぬかと思いましたわ。
助けてくださってありがとうございます」
「良かった。もう大丈夫か?」
「ええ。もう元通りになりましたわ」
どういうこと……?
なんで喋れているの?
意味が分からないわ。
「そうか、本当に良かった。
誰に襲われたか分かるか?」
「リリア・ブロンムーン様ですわ。まだ中にいると思うのですけど……」
そんな会話が聞こえきて、すぐにわたしは見つかってしまった。
サーシャは癒しの力を持っているから、あんなに血が流れても生きていたみたい。
そのせいで、わたしは捕えられて、その日のうちに処刑された。
でも……。
神様が可愛いわたしの味方をしてくれたみたいで、次に目を覚ました時に時間が巻き戻っていたの。
74
お気に入りに追加
3,347
あなたにおすすめの小説

最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。
ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。
ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も……
※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。
また、一応転生者も出ます。

婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話
ひよこ麺
恋愛
シルビア・ベアトリス侯爵令嬢は何もかも完璧なご令嬢だった。婚約者であるリベリオンとの関係を除いては。
リベリオンは公爵家の嫡男で完璧だけれどとても冷たい人だった。それでも彼の幼馴染みで病弱な男爵令嬢のリリアにはとても優しくしていた。
婚約者のシルビアには笑顔ひとつ向けてくれないのに。
どんなに尽くしても努力しても完璧な立ち振る舞いをしても振り返らないリベリオンに疲れてしまったシルビア。その日も舞踏会でエスコートだけしてリリアと居なくなってしまったリベリオンを見ているのが悲しくなりテラスでひとり夜風に当たっていたところ、いきなり何者かに後ろから押されて転落してしまう。
死は免れたが、テラスから転落した際に頭を強く打ったシルビアはそのまま意識を失い、昏睡状態となってしまう。それから3年の月日が流れ、目覚めたシルビアを取り巻く世界は変っていて……
※正常な人があまりいない話です。

前世の旦那様、貴方とだけは結婚しません。
真咲
恋愛
全21話。他サイトでも掲載しています。
一度目の人生、愛した夫には他に想い人がいた。
侯爵令嬢リリア・エンダロインは幼い頃両親同士の取り決めで、幼馴染の公爵家の嫡男であるエスター・カンザスと婚約した。彼は学園時代のクラスメイトに恋をしていたけれど、リリアを優先し、リリアだけを大切にしてくれた。
二度目の人生。
リリアは、再びリリア・エンダロインとして生まれ変わっていた。
「次は、私がエスターを幸せにする」
自分が彼に幸せにしてもらったように。そのために、何がなんでも、エスターとだけは結婚しないと決めた。

私を運命の相手とプロポーズしておきながら、可哀そうな幼馴染の方が大切なのですね! 幼馴染と幸せにお過ごしください
迷い人
恋愛
王国の特殊爵位『フラワーズ』を頂いたその日。
アシャール王国でも美貌と名高いディディエ・オラール様から婚姻の申し込みを受けた。
断るに断れない状況での婚姻の申し込み。
仕事の邪魔はしないと言う約束のもと、私はその婚姻の申し出を承諾する。
優しい人。
貞節と名高い人。
一目惚れだと、運命の相手だと、彼は言った。
細やかな気遣いと、距離を保った愛情表現。
私も愛しております。
そう告げようとした日、彼は私にこうつげたのです。
「子を事故で亡くした幼馴染が、心をすり減らして戻ってきたんだ。 私はしばらく彼女についていてあげたい」
そう言って私の物を、つぎつぎ幼馴染に与えていく。
優しかったアナタは幻ですか?
どうぞ、幼馴染とお幸せに、請求書はそちらに回しておきます。

妹に婚約者を奪われ、屋敷から追放されました。でもそれが、私を虐げていた人たちの破滅の始まりでした
水上
恋愛
「ソフィア、悪いがお前との婚約は破棄させてもらう」
子爵令嬢である私、ソフィア・ベルモントは、婚約者である子爵令息のジェイソン・フロストに婚約破棄を言い渡された。
彼の隣には、私の妹であるシルビアがいる。
彼女はジェイソンの腕に体を寄せ、勝ち誇ったような表情でこちらを見ている。
こんなこと、許されることではない。
そう思ったけれど、すでに両親は了承していた。
完全に、シルビアの味方なのだ。
しかも……。
「お前はもう用済みだ。この屋敷から出て行け」
私はお父様から追放を宣言された。
必死に食い下がるも、お父様のビンタによって、私の言葉はかき消された。
「いつまで床に這いつくばっているのよ、見苦しい」
お母様は冷たい言葉を私にかけてきた。
その目は、娘を見る目ではなかった。
「惨めね、お姉さま……」
シルビアは歪んだ笑みを浮かべて、私の方を見ていた。
そうして私は、妹に婚約者を奪われ、屋敷から追放された。
途方もなく歩いていたが、そんな私に、ある人物が声を掛けてきた。
一方、私を虐げてきた人たちは、破滅へのカウントダウンがすでに始まっていることに、まだ気づいてはいなかった……。

公爵令嬢の辿る道
ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。
家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。
それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。
これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。
※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。
追記
六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。

ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。

理不尽な理由で婚約者から断罪されることを知ったので、ささやかな抵抗をしてみた結果……。
水上
恋愛
バーンズ学園に通う伯爵令嬢である私、マリア・マクベインはある日、とあるトラブルに巻き込まれた。
その際、婚約者である伯爵令息スティーヴ・バークが、理不尽な理由で私のことを断罪するつもりだということを知った。
そこで、ささやかな抵抗をすることにしたのだけれど、その結果……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる