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33. 取り調べです②
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「それだけではありません。
一部の男性騎士が証拠品に細工を働いていたのです。その全員がリリアと接触したことがあると判明しました」
少し間を置いて、そんな言葉が放たれた。
騎士さん達は王家に忠誠を誓ってから配属されているのに、リリア様の力を使えばこんな行動に走ってしまう。
リリア様の力がそれほど強力なのか、王家への忠誠があまり強くなかったのかは分からないけれど、恐ろしいことに変わりはない。
「リリア様は何かしらの力を持っていると予想されているのですね?」
「ええ。女性には一切影響がなかったので、今は女性だけで取り調べや捜査を行っています。」
「そんなことになっていましたのね……。
証拠は残っていますの?」
捜査が遅れるのは構わないけれど、証拠が失われていたら大問題だ。
だから念のためにと尋ねてみる。
「もちろんです。証拠は複数人で管理しておりますので、失われることは有り得ません。
ですが、リリアの力が分からない状態のまま放置するわけにはいきませんので、詳しく調べる予定です」
「お願いしますね。
私の力が必要になれば、協力しますわ」
騎士さんの言葉にそう返す私。
ちなみに、この国でたった1つしかない特別な宝石――触れた人の記憶を読み取って、眠っている時の夢と同じように覗き見ることが出来る記憶石を使えば、リリア様の記憶を覗くことも出来るはずなのよね。
ただ、この記憶石には欠点もあって、その記憶の中で怪我をするようなことがあれば、痛みが襲い掛かってくるらしい。
その痛みに耐えられなくて気絶すれば、二度と同じ記憶は見ることが出来ないとお母様から教えられた。
殿方が使うと失敗することが多いみたいで、今は王宮のどこかに押し込められているらしい。
私だけでは難しいかもしれないけれど、お祖父様にお願いしたら使わせてもらえるかもしれない。
「ありがとうございます」
そう口にして、頭を下げる騎士さん。
この後は、リリア様の影響を受けていない私やダリアが知っている状況証拠を紙に書いたり、私が調べて欲しいと思っていることを伝えたりした。
◇
今日の取り調べという名の情報共有は予定していたよりも早く終わって、私達は王宮に移動していた。
私が入った時はリリア様の処遇について話し合われていて、少し揉めている様子だ。
私に毒が盛られた事件の犯人はまだ明らかにされていないけれど、私がリリア様に刺されたことに変わりはない。
だから、今は毒殺未遂ではなく刺殺未遂ということになっている。
「……やはり、王家の血を狙う者は、王家の威信のためにも処刑するべきです!」
「今回はそういう訳にはいかない。今回の罪人は、死ねば時を逆行することが出来る。
寿命以外で死なせてはならぬ」
「しかし、それでは王家の威信が!」
私が部屋に入ってから、ずっとこんな感じで話が進んでいない。
王家の威信と言われているけれど、私は王家の血を引いているだけで王家の人間ではないのに……。
「仮に王家の者が害されたら、どんな時でも処刑する。これは法でも定められています。
しかし、サーシャは王家の血は引いていても王家ではない。故に、この程度で処刑すれば王家は身内に贔屓していると批判される事も有り得るでしょう」
お父様がそれっぽい理由を持ち上げたら、反論の勢いは弱くなった。
でも、その代わりに私に視線が向けられる。
「サーシャ嬢はどのように考えていますか? 貴女を刺した罪人を恨んでいますよね?」
頷けと言わんばかりの視線が集まっている。
でも、ここで頷いたらリリア様が処刑される方向で話が進んでいるのよね……。
切りつけられた時の痛みも大したことなかったから、子供の嫌がらせくらいにしか思えなかった。
けれども、嫌がらせのことや食事を抜くことに加担された恨みは今も感じている。
だから……。
「ええ、恨んでいますわ。死んで苦しみから逃げることなんて許せないほどに。
寿命を全うするまで、自由の無い暮らしで苦しんで欲しいと思っていますわ」
……身勝手と思われるかもしれないけれど、私が求めていることを口にしてしまった。
一部の男性騎士が証拠品に細工を働いていたのです。その全員がリリアと接触したことがあると判明しました」
少し間を置いて、そんな言葉が放たれた。
騎士さん達は王家に忠誠を誓ってから配属されているのに、リリア様の力を使えばこんな行動に走ってしまう。
リリア様の力がそれほど強力なのか、王家への忠誠があまり強くなかったのかは分からないけれど、恐ろしいことに変わりはない。
「リリア様は何かしらの力を持っていると予想されているのですね?」
「ええ。女性には一切影響がなかったので、今は女性だけで取り調べや捜査を行っています。」
「そんなことになっていましたのね……。
証拠は残っていますの?」
捜査が遅れるのは構わないけれど、証拠が失われていたら大問題だ。
だから念のためにと尋ねてみる。
「もちろんです。証拠は複数人で管理しておりますので、失われることは有り得ません。
ですが、リリアの力が分からない状態のまま放置するわけにはいきませんので、詳しく調べる予定です」
「お願いしますね。
私の力が必要になれば、協力しますわ」
騎士さんの言葉にそう返す私。
ちなみに、この国でたった1つしかない特別な宝石――触れた人の記憶を読み取って、眠っている時の夢と同じように覗き見ることが出来る記憶石を使えば、リリア様の記憶を覗くことも出来るはずなのよね。
ただ、この記憶石には欠点もあって、その記憶の中で怪我をするようなことがあれば、痛みが襲い掛かってくるらしい。
その痛みに耐えられなくて気絶すれば、二度と同じ記憶は見ることが出来ないとお母様から教えられた。
殿方が使うと失敗することが多いみたいで、今は王宮のどこかに押し込められているらしい。
私だけでは難しいかもしれないけれど、お祖父様にお願いしたら使わせてもらえるかもしれない。
「ありがとうございます」
そう口にして、頭を下げる騎士さん。
この後は、リリア様の影響を受けていない私やダリアが知っている状況証拠を紙に書いたり、私が調べて欲しいと思っていることを伝えたりした。
◇
今日の取り調べという名の情報共有は予定していたよりも早く終わって、私達は王宮に移動していた。
私が入った時はリリア様の処遇について話し合われていて、少し揉めている様子だ。
私に毒が盛られた事件の犯人はまだ明らかにされていないけれど、私がリリア様に刺されたことに変わりはない。
だから、今は毒殺未遂ではなく刺殺未遂ということになっている。
「……やはり、王家の血を狙う者は、王家の威信のためにも処刑するべきです!」
「今回はそういう訳にはいかない。今回の罪人は、死ねば時を逆行することが出来る。
寿命以外で死なせてはならぬ」
「しかし、それでは王家の威信が!」
私が部屋に入ってから、ずっとこんな感じで話が進んでいない。
王家の威信と言われているけれど、私は王家の血を引いているだけで王家の人間ではないのに……。
「仮に王家の者が害されたら、どんな時でも処刑する。これは法でも定められています。
しかし、サーシャは王家の血は引いていても王家ではない。故に、この程度で処刑すれば王家は身内に贔屓していると批判される事も有り得るでしょう」
お父様がそれっぽい理由を持ち上げたら、反論の勢いは弱くなった。
でも、その代わりに私に視線が向けられる。
「サーシャ嬢はどのように考えていますか? 貴女を刺した罪人を恨んでいますよね?」
頷けと言わんばかりの視線が集まっている。
でも、ここで頷いたらリリア様が処刑される方向で話が進んでいるのよね……。
切りつけられた時の痛みも大したことなかったから、子供の嫌がらせくらいにしか思えなかった。
けれども、嫌がらせのことや食事を抜くことに加担された恨みは今も感じている。
だから……。
「ええ、恨んでいますわ。死んで苦しみから逃げることなんて許せないほどに。
寿命を全うするまで、自由の無い暮らしで苦しんで欲しいと思っていますわ」
……身勝手と思われるかもしれないけれど、私が求めていることを口にしてしまった。
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