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27. 苦味がしました①
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屋敷に戻ってから、私はとある手紙をお祖父様――国王陛下に送ることに決めた。
リリアが死ぬような刑罰は絶対にしないで欲しいというお願いを受け入れて貰えるかは分からない。
夢のことを説明したとしても、普通は信じてもらえないから。
けれども、そのことを理由にして諦めたくはないから、まずはお母様に夢のことを伝えようと決めた。
「お母様。お話したいことがあるので、少しお時間を頂きたいですわ」
「そんなに畏まって、どうしたの?」
私が部屋の扉の外から声をかけると、心配するような声が聞こえてきて、すぐに扉を開けてくれた。
「信じてもらえるか分からないのですけど、予知夢を見てしまいましたの」
「その予知夢は悪夢だったかしら?
話せるなら、教えて欲しいわ」
早速、本題を切り出すと、お母様はそう答えてくれた。
私が不安そうにしていて悪夢と察してくれたのか、お母様も予知夢を見た経験があったのかは分からない。
でも、疑われなくて安心した。
信用って、こういう時に生きるのよね。
「信じて下さるのですね。実は夢を見たのは私だけではなくて……」
そう前置きをしてから、私とヴィオラが見た夢、そして学院での出来事を順番に話していった。
話している間はずっと真剣な様子で聞いてくれていて、話を終えた時にはこんな言葉をかけてくれた。
「そう、辛い思いをしていたのね。気付いてあげられなくてごめんね」
「少し苦しかっただけで、今は元気なので大丈夫ですわ」
すごく心配そうな目を向けられてしまったから、笑顔を浮かべて大丈夫だとアピールしてみる。
取り繕ったとしても、いつも不安は見抜かれてしまうのだけど。
「無理はしなくて良いのよ」
「ありがとうございます。
もう一つお願いしても良いでしょうか?」
「もちろんよ。その手紙が関係あるのかしら?」
「はい。私はリリア様も予知夢を見ているものだと思っていますの。だから、その予知夢を見れないように、リリア様が絶対に処刑されないように王家に働きかけようと思っています。
でも、私だけでお願いしても受け入れてもらえるかは分からないので、お母様からもお願いして欲しいと思っていますわ」
そう説明してから、手紙の下の方を指差す私。
下の方には、もう私のサインは入れてあるのだけど、もう一人分のサインが書けるようにしてある。
ここにお母様の名前が入れば、私のお願いはお母様と私からのお願いになって、説得力が増すというわけ。
リリアと戦うことになるのだから、出来ることは徹底しておきたい。
「分かったわ。前例があるから、受け入れられるとは思うけれど、明後日に王妃様とお茶会をする予定だから、その時に念押ししておくわ」
「ありがとうございます」
内容に目を通してから頷いてくれたお母様に手紙とペンを渡す。
それからすぐにサインを書いてもらえたから、私は手紙を封筒に入れてから、執事さんに国王陛下に届けてもらうようにお願いした。
ちなみに、私の家と王家とでは、毎日何かしらの手紙のやり取りがあるから、一緒に運んでもらうことになった。
この手紙が無事に届いて、受け入れられたら良いのだけど……。
「奥様、サーシャお嬢様。もうすぐ夕食の時間でございます」
「分かったわ」
そんなことを思っていたら、夕食の時間になったから、私はお母様とお話をしながら夕食の席に向かった。
翌日。
学院のお昼休みが終わって授業の始まりを待っている私達の目の前で、リリア様は大人しく座っていた。
珍しく私達を睨んで来ることも無くて、少し不気味だ。
「もしかしたら、今日何かするつもりなのよ」
「確かに、そんな感じよね。気を付けないと」
そんなことを話している時、喉が渇いてしまったから水筒を取り出す私。
一口だけ飲んだ後、普段は感じない苦味を感じた。
リリアが死ぬような刑罰は絶対にしないで欲しいというお願いを受け入れて貰えるかは分からない。
夢のことを説明したとしても、普通は信じてもらえないから。
けれども、そのことを理由にして諦めたくはないから、まずはお母様に夢のことを伝えようと決めた。
「お母様。お話したいことがあるので、少しお時間を頂きたいですわ」
「そんなに畏まって、どうしたの?」
私が部屋の扉の外から声をかけると、心配するような声が聞こえてきて、すぐに扉を開けてくれた。
「信じてもらえるか分からないのですけど、予知夢を見てしまいましたの」
「その予知夢は悪夢だったかしら?
話せるなら、教えて欲しいわ」
早速、本題を切り出すと、お母様はそう答えてくれた。
私が不安そうにしていて悪夢と察してくれたのか、お母様も予知夢を見た経験があったのかは分からない。
でも、疑われなくて安心した。
信用って、こういう時に生きるのよね。
「信じて下さるのですね。実は夢を見たのは私だけではなくて……」
そう前置きをしてから、私とヴィオラが見た夢、そして学院での出来事を順番に話していった。
話している間はずっと真剣な様子で聞いてくれていて、話を終えた時にはこんな言葉をかけてくれた。
「そう、辛い思いをしていたのね。気付いてあげられなくてごめんね」
「少し苦しかっただけで、今は元気なので大丈夫ですわ」
すごく心配そうな目を向けられてしまったから、笑顔を浮かべて大丈夫だとアピールしてみる。
取り繕ったとしても、いつも不安は見抜かれてしまうのだけど。
「無理はしなくて良いのよ」
「ありがとうございます。
もう一つお願いしても良いでしょうか?」
「もちろんよ。その手紙が関係あるのかしら?」
「はい。私はリリア様も予知夢を見ているものだと思っていますの。だから、その予知夢を見れないように、リリア様が絶対に処刑されないように王家に働きかけようと思っています。
でも、私だけでお願いしても受け入れてもらえるかは分からないので、お母様からもお願いして欲しいと思っていますわ」
そう説明してから、手紙の下の方を指差す私。
下の方には、もう私のサインは入れてあるのだけど、もう一人分のサインが書けるようにしてある。
ここにお母様の名前が入れば、私のお願いはお母様と私からのお願いになって、説得力が増すというわけ。
リリアと戦うことになるのだから、出来ることは徹底しておきたい。
「分かったわ。前例があるから、受け入れられるとは思うけれど、明後日に王妃様とお茶会をする予定だから、その時に念押ししておくわ」
「ありがとうございます」
内容に目を通してから頷いてくれたお母様に手紙とペンを渡す。
それからすぐにサインを書いてもらえたから、私は手紙を封筒に入れてから、執事さんに国王陛下に届けてもらうようにお願いした。
ちなみに、私の家と王家とでは、毎日何かしらの手紙のやり取りがあるから、一緒に運んでもらうことになった。
この手紙が無事に届いて、受け入れられたら良いのだけど……。
「奥様、サーシャお嬢様。もうすぐ夕食の時間でございます」
「分かったわ」
そんなことを思っていたら、夕食の時間になったから、私はお母様とお話をしながら夕食の席に向かった。
翌日。
学院のお昼休みが終わって授業の始まりを待っている私達の目の前で、リリア様は大人しく座っていた。
珍しく私達を睨んで来ることも無くて、少し不気味だ。
「もしかしたら、今日何かするつもりなのよ」
「確かに、そんな感じよね。気を付けないと」
そんなことを話している時、喉が渇いてしまったから水筒を取り出す私。
一口だけ飲んだ後、普段は感じない苦味を感じた。
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