125 / 126
第2章
125. 依頼を受けます
しおりを挟む
「他には大丈夫でしょうか?」
「ええ、私からは以上ですわ」
「畏まりました。
それでは、レイノルド様のご要望をお聞きします」
そんな会話に続けて、一礼してからクラウスに向き直るトーマスさん。
クラウスはすぐに視線を上げると、こう口にした。
「そうですね……まず地下に懲罰用の部屋を用意してください。それから、災害から逃れるための地下室もお願いします。
屋上も必要になると思うので、階段で登れるようにしたいです」
「承知しました。他にご要望はございますか?」
「他はトーマスさんが手がけてきた貴族の邸宅を踏襲して頂けると助かります。
お客様を招くための応接室と広間は、他家に引けを取らないようにお願いします。
以上です」
「畏まりました。では、来週までに設計図を作成します。
細かい部分はそれからお話いたしましょう」
「お願いしますわ。今日は本当にありがとうございました」
「とんでもないことでございます。こちらこそ、よろしくお願いいたします」
挨拶を交わしてから、応接室を後にする私達。
最初に考えていたよりも立派になりそうだからお金のことが心配だけれど、設計図の完成はすごく楽しみだから、身体も軽くなったような気がする。
「楽しそうだね?」
「ええ、完成が待ちきれないわ」
「ああ、俺も同じ気持ちだよ。
あとは……贅沢に染まってシエルに失望されないように気を付けるだけだね」
「失望はしないわ。注意しても聞いてもらえなかったら考えるけれど。
……私も贅沢に染まるかもしれないから気を付けなくちゃ」
「大きい買い物をするときは陥りやすいから、お互いに気を付けよう」
「ええ、もちろん」
お互いに笑顔を浮かべながら私室に向けて足を進め、クラウスと手を重ねたまま私の部屋に入る私。
そんな時、待ち構えていた執事さんに引き留められてしまった。
「シエル様、グレーティア家の兵士から手紙を預かっております。
早急に確認されますようお願いします」
「分かりましたわ。ありがとうございます」
家の兵士が届けに来たということは、すぐに私に伝える必要がある大事が起きたということ。
封筒書かれている字はいつものお兄様の筆跡だから、私達にとって悪い知らせではないと思う。けれど、初めてのことだから嫌な予感がしてならない。
「俺のことは気にしなくて良いから、早く読んだ方が良い」
「ありがとう」
クラウスにも促されたから、周りを気にせず部屋に入ってすぐ、護身用の短剣で封を切った。
立ちながら手紙を読むのはマナー違反だけれど、今はそんなことを言っていられる状況ではないから、そのまま目を通した。
「悪い知らせではなかったわ」
「そうか、それは良かったよ。何が書かれていたか聞いても良いかな?」
「ええ。グレールの王家が倒されたわ。
それに……えっと、七割近い貴族も領民の反乱にあって倒れたみたい」
私は王家だけが恨みを買っていると思っていたから、思わず同じ文章を三回も読んでしまったのよね。
見間違いだと思ったけれど、三回読んでも内容は変わらない。
「貴族が七割も倒れたって?
何かの冗談か?」
「本当よ。お兄様はこんな大事なことで嘘を書いたりしないもの」
問題の分を指さしながらクラウスに見せると、彼は何度も同じところで視線を往復させた。
見間違いだと思うのは、クラウスも同じだったみたい。
「貴族も、か。あり得ない話では無いが……俺の予想は外れたよ」
「お兄様の分析だと、重税に加えて偽聖女に家族を奪われたことで、不満が爆発したみたいなの。
幸いにも私の家は税を軽くしていたから、他が苦しんでいると知った領民達に今まで以上に感謝されているみたいだわ」
「シエルの家族が無事で良かった。
まだ混乱が続くはずだから、油断はできないだろうが……」
「ええ。でも、今の警備体制なら何も起こらないと思うわ」
「それなら良いが、油断は出来ないだろうな」
お兄様もクラウスと同じことを考えているみたいで、無事な貴族と協力して平定に向けて動くと手紙に書いてある。
詳しいことを書く余裕は無かったのか、それとも情報が入っていないのか分からないけれど、これ以上のことは書かれていない。
それでも、最後には「無謀なことはしない」と書いてあるから、私は今まで通りに過ごしていても大丈夫そうだわ。
「油断は出来ないけれど……私に出来ることは無いから、私達は私達のことを優先しましょう」
「そうだな。
明日は久々に大きい依頼でも探しに行こう。
楽しい依頼があると良いが、無くても楽しもう」
そんな言葉と共に右手を差し出されたから、私はしっかりと頷きながら右手を重ねた。
◇
翌朝。久々に冒険者としての服を纏った私達は、冒険者ギルドに足を踏み入れた。
もう男装はしていないけれど、必要無くなったからしていないだけ。
必要になればいつでも男装出来るように、道具は残してあるのよね。
冒険者ギルドの中は、帝都復興に関する依頼が多お陰でフレイムワイバーンの襲撃前よりも大勢が行き交っている。
今の帝都は稼ぎ時。
そんな言葉が方々で聞こえるくらいには、冒険者が集まっているらしい。
魔物と戦わずに大金が手に入るのだから、当然と言えば当然なのだけど、その弊害で街の外の魔物の数はかなり増えてしまっていて、魔物討伐の依頼の報奨金は普段の二倍以上になっているけれど、こちらは中々受ける人が居ないという噂だ。
皆が安全を優先する気持ちは分かるけれど、少しは冒険者の責務を果たして欲しいと思ってしまう。
「こんなに沢山残っている状況は初めてだよ。どれにしようか迷うな」
「あの依頼はどうかしら? 報奨金は高いけれど、楽しそうだわ」
「放棄された街の魔物殲滅か。確かに楽しそうだね。
建物を壊しても問題無いらしいから、思う存分練習出来るよ」
「そうね。すぐに受けましょう」
依頼主が皇帝陛下というのが少し気になるけれど、強い魔物は居ないはずだから街中で戦う練習には丁度良いと思う。
フレイムワイバーンの時は建物を巻き込まないように気を付けるだけで精一杯だったから、次に備えておきたいのよね。
「それにしても、流石は帝国だな。同じくらいの報奨金の依頼が二十個近くあるよ」
「全部受け……」
「るのは無理だよ。時間が足りない。
これだけはSランクだから受けるけど、残りは他の人に任せた方が良い」
「分かったわ」
そんなやり取りの後、依頼書を受け付けまで持っていくクラウス。
冒険者ギルドの中で手を重ねたりすると妬まれるらしいから、私は少し距離を置いて彼の後を追った。
「この依頼でお願いします」
「これですか……? 報奨金は弾みますが、止める事をお勧めします。
簡単に見えますが、今までにこの場所に向かった冒険者はAランクでも未帰還となっています。Sランクのお二人でも、危険な事は変わりありません」
「そうですか。少し相談します」
そう断りを入れてから、私の方に向き直るクラウス。
彼は少し重い口調でこんな問いかけをしてきた。
「俺達なら大丈夫だとは思うけど、シエルはどうしたい?」
「すごく強い魔物が居るかもしれないのよね?」
「そういうことだと思う。目撃情報が無いから、気付けないまま一方的に攻撃される可能性もある。
だが、放っておいたら次の被害が出るはずだ」
「そんなの放っておけないわ。受けましょう」
危険かもしれないけれど、防御魔法と治癒魔法があれば生きて帰ることは出来ると思う。
だから、危険を承知でこの依頼を受けることに決めた。
クラウスも反対するつもりは無いみたいで、私の言葉に頷くと受付の方に向き直った。
「ええ、私からは以上ですわ」
「畏まりました。
それでは、レイノルド様のご要望をお聞きします」
そんな会話に続けて、一礼してからクラウスに向き直るトーマスさん。
クラウスはすぐに視線を上げると、こう口にした。
「そうですね……まず地下に懲罰用の部屋を用意してください。それから、災害から逃れるための地下室もお願いします。
屋上も必要になると思うので、階段で登れるようにしたいです」
「承知しました。他にご要望はございますか?」
「他はトーマスさんが手がけてきた貴族の邸宅を踏襲して頂けると助かります。
お客様を招くための応接室と広間は、他家に引けを取らないようにお願いします。
以上です」
「畏まりました。では、来週までに設計図を作成します。
細かい部分はそれからお話いたしましょう」
「お願いしますわ。今日は本当にありがとうございました」
「とんでもないことでございます。こちらこそ、よろしくお願いいたします」
挨拶を交わしてから、応接室を後にする私達。
最初に考えていたよりも立派になりそうだからお金のことが心配だけれど、設計図の完成はすごく楽しみだから、身体も軽くなったような気がする。
「楽しそうだね?」
「ええ、完成が待ちきれないわ」
「ああ、俺も同じ気持ちだよ。
あとは……贅沢に染まってシエルに失望されないように気を付けるだけだね」
「失望はしないわ。注意しても聞いてもらえなかったら考えるけれど。
……私も贅沢に染まるかもしれないから気を付けなくちゃ」
「大きい買い物をするときは陥りやすいから、お互いに気を付けよう」
「ええ、もちろん」
お互いに笑顔を浮かべながら私室に向けて足を進め、クラウスと手を重ねたまま私の部屋に入る私。
そんな時、待ち構えていた執事さんに引き留められてしまった。
「シエル様、グレーティア家の兵士から手紙を預かっております。
早急に確認されますようお願いします」
「分かりましたわ。ありがとうございます」
家の兵士が届けに来たということは、すぐに私に伝える必要がある大事が起きたということ。
封筒書かれている字はいつものお兄様の筆跡だから、私達にとって悪い知らせではないと思う。けれど、初めてのことだから嫌な予感がしてならない。
「俺のことは気にしなくて良いから、早く読んだ方が良い」
「ありがとう」
クラウスにも促されたから、周りを気にせず部屋に入ってすぐ、護身用の短剣で封を切った。
立ちながら手紙を読むのはマナー違反だけれど、今はそんなことを言っていられる状況ではないから、そのまま目を通した。
「悪い知らせではなかったわ」
「そうか、それは良かったよ。何が書かれていたか聞いても良いかな?」
「ええ。グレールの王家が倒されたわ。
それに……えっと、七割近い貴族も領民の反乱にあって倒れたみたい」
私は王家だけが恨みを買っていると思っていたから、思わず同じ文章を三回も読んでしまったのよね。
見間違いだと思ったけれど、三回読んでも内容は変わらない。
「貴族が七割も倒れたって?
何かの冗談か?」
「本当よ。お兄様はこんな大事なことで嘘を書いたりしないもの」
問題の分を指さしながらクラウスに見せると、彼は何度も同じところで視線を往復させた。
見間違いだと思うのは、クラウスも同じだったみたい。
「貴族も、か。あり得ない話では無いが……俺の予想は外れたよ」
「お兄様の分析だと、重税に加えて偽聖女に家族を奪われたことで、不満が爆発したみたいなの。
幸いにも私の家は税を軽くしていたから、他が苦しんでいると知った領民達に今まで以上に感謝されているみたいだわ」
「シエルの家族が無事で良かった。
まだ混乱が続くはずだから、油断はできないだろうが……」
「ええ。でも、今の警備体制なら何も起こらないと思うわ」
「それなら良いが、油断は出来ないだろうな」
お兄様もクラウスと同じことを考えているみたいで、無事な貴族と協力して平定に向けて動くと手紙に書いてある。
詳しいことを書く余裕は無かったのか、それとも情報が入っていないのか分からないけれど、これ以上のことは書かれていない。
それでも、最後には「無謀なことはしない」と書いてあるから、私は今まで通りに過ごしていても大丈夫そうだわ。
「油断は出来ないけれど……私に出来ることは無いから、私達は私達のことを優先しましょう」
「そうだな。
明日は久々に大きい依頼でも探しに行こう。
楽しい依頼があると良いが、無くても楽しもう」
そんな言葉と共に右手を差し出されたから、私はしっかりと頷きながら右手を重ねた。
◇
翌朝。久々に冒険者としての服を纏った私達は、冒険者ギルドに足を踏み入れた。
もう男装はしていないけれど、必要無くなったからしていないだけ。
必要になればいつでも男装出来るように、道具は残してあるのよね。
冒険者ギルドの中は、帝都復興に関する依頼が多お陰でフレイムワイバーンの襲撃前よりも大勢が行き交っている。
今の帝都は稼ぎ時。
そんな言葉が方々で聞こえるくらいには、冒険者が集まっているらしい。
魔物と戦わずに大金が手に入るのだから、当然と言えば当然なのだけど、その弊害で街の外の魔物の数はかなり増えてしまっていて、魔物討伐の依頼の報奨金は普段の二倍以上になっているけれど、こちらは中々受ける人が居ないという噂だ。
皆が安全を優先する気持ちは分かるけれど、少しは冒険者の責務を果たして欲しいと思ってしまう。
「こんなに沢山残っている状況は初めてだよ。どれにしようか迷うな」
「あの依頼はどうかしら? 報奨金は高いけれど、楽しそうだわ」
「放棄された街の魔物殲滅か。確かに楽しそうだね。
建物を壊しても問題無いらしいから、思う存分練習出来るよ」
「そうね。すぐに受けましょう」
依頼主が皇帝陛下というのが少し気になるけれど、強い魔物は居ないはずだから街中で戦う練習には丁度良いと思う。
フレイムワイバーンの時は建物を巻き込まないように気を付けるだけで精一杯だったから、次に備えておきたいのよね。
「それにしても、流石は帝国だな。同じくらいの報奨金の依頼が二十個近くあるよ」
「全部受け……」
「るのは無理だよ。時間が足りない。
これだけはSランクだから受けるけど、残りは他の人に任せた方が良い」
「分かったわ」
そんなやり取りの後、依頼書を受け付けまで持っていくクラウス。
冒険者ギルドの中で手を重ねたりすると妬まれるらしいから、私は少し距離を置いて彼の後を追った。
「この依頼でお願いします」
「これですか……? 報奨金は弾みますが、止める事をお勧めします。
簡単に見えますが、今までにこの場所に向かった冒険者はAランクでも未帰還となっています。Sランクのお二人でも、危険な事は変わりありません」
「そうですか。少し相談します」
そう断りを入れてから、私の方に向き直るクラウス。
彼は少し重い口調でこんな問いかけをしてきた。
「俺達なら大丈夫だとは思うけど、シエルはどうしたい?」
「すごく強い魔物が居るかもしれないのよね?」
「そういうことだと思う。目撃情報が無いから、気付けないまま一方的に攻撃される可能性もある。
だが、放っておいたら次の被害が出るはずだ」
「そんなの放っておけないわ。受けましょう」
危険かもしれないけれど、防御魔法と治癒魔法があれば生きて帰ることは出来ると思う。
だから、危険を承知でこの依頼を受けることに決めた。
クラウスも反対するつもりは無いみたいで、私の言葉に頷くと受付の方に向き直った。
419
お気に入りに追加
4,459
あなたにおすすめの小説
自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?
長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。
王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、
「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」
あることないこと言われて、我慢の限界!
絶対にあなたなんかに王子様は渡さない!
これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー!
*旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。
*小説家になろうでも掲載しています。
この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ
めぐめぐ
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。
アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。
『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。魔法しか取り柄のないお前と』
そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。
傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。
アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。
捨てられた主人公が、パーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー短編。
※思いつきなので色々とガバガバです。ご容赦ください。
※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。
※単純な話なので安心して読めると思います。
[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで
みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める
婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様
私を愛してくれる人の為にももう自由になります
恋人に夢中な婚約者に一泡吹かせてやりたかっただけ
棗
恋愛
伯爵令嬢ラフレーズ=ベリーシュは、王国の王太子ヒンメルの婚約者。
王家の忠臣と名高い父を持ち、更に隣国の姫を母に持つが故に結ばれた完全なる政略結婚。
長年の片思い相手であり、婚約者であるヒンメルの隣には常に恋人の公爵令嬢がいる。
婚約者には愛を示さず、恋人に夢中な彼にいつか捨てられるくらいなら、こちらも恋人を作って一泡吹かせてやろうと友達の羊の精霊メリー君の妙案を受けて実行することに。
ラフレーズが恋人役を頼んだのは、人外の魔術師・魔王公爵と名高い王国最強の男――クイーン=ホーエンハイム。
濡れた色香を放つクイーンからの、本気か嘘かも分からない行動に涙目になっていると恋人に夢中だった王太子が……。
※小説家になろう・カクヨム様にも公開しています
大好きな旦那様はどうやら聖女様のことがお好きなようです
古堂すいう
恋愛
祖父から溺愛され我儘に育った公爵令嬢セレーネは、婚約者である皇子から衆目の中、突如婚約破棄を言い渡される。
皇子の横にはセレーネが嫌う男爵令嬢の姿があった。
他人から冷たい視線を浴びたことなどないセレーネに戸惑うばかり、そんな彼女に所有財産没収の命が下されようとしたその時。
救いの手を差し伸べたのは神官長──エルゲンだった。
セレーネは、エルゲンと婚姻を結んだ当初「穏やかで誰にでも微笑むつまらない人」だという印象をもっていたけれど、共に生活する内に徐々に彼の人柄に惹かれていく。
だけれど彼には想い人が出来てしまったようで──…。
「今度はわたくしが恩を返すべきなんですわ!」
今まで自分のことばかりだったセレーネは、初めて人のために何かしたいと思い立ち、大好きな旦那様のために奮闘するのだが──…。
旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。
アズやっこ
恋愛
私は旦那様を愛していました。
今日は三年目の結婚記念日。帰らない旦那様をそれでも待ち続けました。
私は旦那様を愛していました。それでも旦那様は私を愛してくれないのですね。
これはお別れではありません。役目が終わったので交代するだけです。役立たずの妻で申し訳ありませんでした。
もう、あなたを愛することはないでしょう
春野オカリナ
恋愛
第一章 完結番外編更新中
異母妹に嫉妬して修道院で孤独な死を迎えたベアトリーチェは、目覚めたら10才に戻っていた。過去の婚約者だったレイノルドに別れを告げ、新しい人生を歩もうとした矢先、レイノルドとフェリシア王女の身代わりに呪いを受けてしまう。呪い封じの魔術の所為で、ベアトリーチェは銀色翠眼の容姿が黒髪灰眼に変化した。しかも、回帰前の記憶も全て失くしてしまい。記憶に残っているのは数日間の出来事だけだった。
実の両親に愛されている記憶しか持たないベアトリーチェは、これから新しい思い出を作ればいいと両親に言われ、生まれ育ったアルカイドを後にする。
第二章
ベアトリーチェは15才になった。本来なら13才から通える魔法魔術学園の入学を数年遅らせる事になったのは、フロンティアの事を学ぶ必要があるからだった。
フロンティアはアルカイドとは比べ物にならないぐらい、高度な技術が発達していた。街には路面電車が走り、空にはエイが飛んでいる。そして、自動階段やエレベーター、冷蔵庫にエアコンというものまであるのだ。全て魔道具で魔石によって動いている先進技術帝国フロンティア。
護衛騎士デミオン・クレージュと共に新しい学園生活を始めるベアトリーチェ。学園で出会った新しい学友、変わった教授の授業。様々な出来事がベアトリーチェを大きく変えていく。
一方、国王の命でフロンティアの技術を学ぶためにレイノルドやジュリア、ルシーラ達も留学してきて楽しい学園生活は不穏な空気を孕みつつ進んでいく。
第二章は青春恋愛モード全開のシリアス&ラブコメディ風になる予定です。
ベアトリーチェを巡る新しい恋の予感もお楽しみに!
※印は回帰前の物語です。
【完結】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と言っていた婚約者と婚約破棄したいだけだったのに、なぜか聖女になってしまいました
As-me.com
恋愛
完結しました。
とある日、偶然にも婚約者が「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言するのを聞いてしまいました。
例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃっていますが……そんな婚約者様がとんでもない問題児だと発覚します。
なんてことでしょう。愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。
ねぇ、婚約者様。私はあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄しますから!
あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。
※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』を書き直しています。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定や登場人物の性格などを書き直す予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる