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第2章
100. 復讐する相手
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「怪我をしているのは貴方で合っていますか?」
侍女を気絶させる機会を伺っていると、座っている私の目線に合わせるようにして、アイリス様が膝を床についた。
私がまだ王太子殿下の婚約者だったころは、私を見かける度に睨みつけてきていたから、こんな風に視線を合わせるような配慮をされるとは思わなかった。
正体を知ったら、どんな態度をされるか分からない。
でも、アイリス様よりもカグレシアン公爵様の方が許せない存在なのよね。
だからエリスと交わした約束を守るためにも、カグレシアン公爵様を地の底に突き落とすためにも、アイリス様をこの王城から助けることを諦めたくはないわ。
「はい、合っています」
「怪我のところ、見せて貰えるかな?」
「はい……」
痛みで表情を歪めているように見せながら、ゆっくりと袖を持ち上げていく。
その間にクラウスが一切音を立てずに立ち上がる。
部屋の扉のところで待っている侍女は私の腕に気を取られていてクラウス
の動きには気付いていない様子。
だから、侍女がクラウスに意識を刈り取られるまで時間はかからなかった。
ゴンッという鈍い音が響いた直後、侍女が声を上げる間もなく私とアイリス様の方に倒れてくる。
演劇でよく見る、首に手刀を打ち込むやり方では気絶しないから、クラウスは侍女の後頭部を拳で殴っていた。
このままだと命に関わってしまうから、すぐに治癒魔法をかける私。
同時に、アイリス様が悲鳴を上げても大丈夫なように、私達を囲うようにして防音の魔法を使った。
「いや……死にたくない……」
幸いなことに、アイリス様は怯えている声を漏らしただけで済んだから、外にはこの中で起きていることは知られていないと思う。
だから、私は彼女よりも姿勢を低くしてから口を開いた。
「貴女に危害を加えるつもりはありませんわ。
私たちはアイリス様、貴女を助けに来たのですから。
怪我も嘘だから、心配しなくても大丈夫です」
そう口にしながら、正体を偽るための魔法を解く。
けれど私に嫌悪感は抱かなかったようで、表情に変化はなかった。
「そんなの、信じられないわ。
この国の貴族は噓をついて私と妹を引き裂いたの!」
「私達の味方をするなら妹さんとも会わせられるけれど、判断は任せますわ」
「……私を嫌っていたのに、どうしてそこまでするの?」
「あの浮気男から引き離してくれたお礼よ。
このままだと、アイリス様はカグレシアン公爵家に消されることになるわ。
妹と安全に暮らしたいなら、私達の味方をしなさい」
嫌がらせをしている側はあまり恨まないということは噂に聞いていたけれど、アイリス様も例に漏れないらしい。
彼女から受けた嫌がらせは王太子殿下との仲を引き裂くようなものに限らず、私の仕事を増やすようなこともあったから、思い出すと怒りを感じてしまう。
でも、今は感情で動く時ではないから、我慢して返事を待つ。
「分かった……。具体的にどうすればいいの?」
「アイリス様は洗脳の魔法が使えるのよね?」
「そうみたい……」
「その魔法で、すれ違った人が私達を認識出来ないようにして欲しいの」
「やってみる」
念には念を入れて、私も魔法をかけていくつもりだけれど、アイリス様にいつ裏切られるか分からないから、分かりやすいようにしておいた方が良いのよね。
だから私達に気が向かないようにしてから、音を立てないように部屋を出た。
部屋を出てからは、拍子抜けするほど順調に進むことが出来た。
一番の理由は、私が妃教育を受けている頃よりも警備の人数が少ないこと。
これは予想だけれど、怪我や病気をした人が居なくなってしまって、一気に人手が減ったのだと思う。
仮にカグレシアン公爵様が王位を狙っているのなら、警備が薄くなるのは好都合なのよね。
だから何も手を加えずに放置されている……。そう考えた方が納得できる。
「……思っていたよりも簡単に出られたな」
「そうね。
アイリス様、ここからしばらく歩くことになりますけれど、大丈夫でして?」
「アイリスで大丈夫。
もう聖女ではないから……。か弱い貴族と一緒にしないで欲しいの」
「分かったわ」
そうして歩くこと一時間ほど、無事に王都の外に出ることが出来た私達はワイバーンの背中に乗って空へと舞った。
ここから帝都までは三時間ほど。その間に、アイリス様から王城での出来事を聞き出していく。
話してみて分かったのは、アノールドがアイリスには即飽きて、今度は十二歳の侍女見習いに手を出していたこと。
そして国王夫妻は国民が不審死していることには目もくれず、ただ豪遊していたこと。
カグレシアン公爵は仕事をしているように見せて、全て自分よりも立場が低い人に丸投げしていたこと。
その仕事のほとんどはアイリスに押し付けられていて、昼間は治療で夜は執務と眠る暇がなかったらしい。
でも、それだけで終わらなかった。
あまりにも王家が酷すぎて、見切りをつけた護衛達が次々と辞めていったこと。
残っていた護衛はストレスが溜まって、アイリスにも手を出そうとしてきたこと。
……聞けば聞くほど地獄絵図が描かれていくものだから、頭を抱えたいどころの話じゃないわ。
アイリスは聖女として権威の代わりに使われていて、しっかりと休めなかったらしい。
「ずっと休めなかったから、いつも眠くて……命令だったけれど、シエル様に嫌がらせした罰だよね……。
ごめんなさい、シエル様。嫌がらせをしてしまって、本当にごめんなさい」
全てを吐き出したアイリスは反省しているみたいで、涙を流していた。
でも、人の本性は簡単には変わらないから、簡単に許していいのか分からない。
「赦すかどうかは、これからのアイリス次第よ。
期待しているわ」
「ありがとう……ございます。
少し寝ても良いですか?」
「ええ、構わないわ」
疲れているという言葉は偽りではなかったみたいで、移動中に私に寄りかかってきたと思ったら、そのまま眠られてしまったのよね。
こんな状態だから、軽い仕返しをする気分ではなくなってしまった。
「こんな状態で仕返しなんてしたら、私は悪魔になるわね」
「これが天罰と言うのだろうな
シエルが辛い思いをしなくて済むように、神が罰してくれたんだよ」
「そう思うことにするわ。
それに、無事にカグレシアン公爵様と王家の罪を暴けても、王都の人達には恨まれているのだから、平穏には暮らせないのよね」
「そうだな。これから生きようと思ったら、趣味の悪い貴族の欲の捌け口として雇われるくらいしか思いつかない。
更生させるという名目で俺達の召使いにするという手もあるが、シエルは嫌だろう?」
「それでも構わないわ。
悪趣味な貴族に売るのは気が引けるもの」
そもそも、アイリス様が私に嫌がらせをしてきていたのは、カグレシアン公爵様の命令があってのこと。
不本意な行動だったのだから、これ以上辛い思いをさせるのは違うと思う。
「でも、その前に……元凶をこの世から消したいわ」
「笑顔で随分と怖い事を言うな?」
「だって、元凶をなんとかしないとお兄様達が危ないもの」
「そうだな。
アイリスとエリスにも協力させたら、多少は今後のためにもなるだろう。
エイブラム邸に戻ったら、しっかりと話し合わないといけないな」
「ええ、そうね。
これからもっと忙しくなりそうだわ」
「俺も全力を尽くすから、一緒に頑張ろう」
「ええ、頑張りましょう」
私がアイリスの抱き枕代わりになってしまっているから、クラウスとは手を重ねるだけで我慢した。
侍女を気絶させる機会を伺っていると、座っている私の目線に合わせるようにして、アイリス様が膝を床についた。
私がまだ王太子殿下の婚約者だったころは、私を見かける度に睨みつけてきていたから、こんな風に視線を合わせるような配慮をされるとは思わなかった。
正体を知ったら、どんな態度をされるか分からない。
でも、アイリス様よりもカグレシアン公爵様の方が許せない存在なのよね。
だからエリスと交わした約束を守るためにも、カグレシアン公爵様を地の底に突き落とすためにも、アイリス様をこの王城から助けることを諦めたくはないわ。
「はい、合っています」
「怪我のところ、見せて貰えるかな?」
「はい……」
痛みで表情を歪めているように見せながら、ゆっくりと袖を持ち上げていく。
その間にクラウスが一切音を立てずに立ち上がる。
部屋の扉のところで待っている侍女は私の腕に気を取られていてクラウス
の動きには気付いていない様子。
だから、侍女がクラウスに意識を刈り取られるまで時間はかからなかった。
ゴンッという鈍い音が響いた直後、侍女が声を上げる間もなく私とアイリス様の方に倒れてくる。
演劇でよく見る、首に手刀を打ち込むやり方では気絶しないから、クラウスは侍女の後頭部を拳で殴っていた。
このままだと命に関わってしまうから、すぐに治癒魔法をかける私。
同時に、アイリス様が悲鳴を上げても大丈夫なように、私達を囲うようにして防音の魔法を使った。
「いや……死にたくない……」
幸いなことに、アイリス様は怯えている声を漏らしただけで済んだから、外にはこの中で起きていることは知られていないと思う。
だから、私は彼女よりも姿勢を低くしてから口を開いた。
「貴女に危害を加えるつもりはありませんわ。
私たちはアイリス様、貴女を助けに来たのですから。
怪我も嘘だから、心配しなくても大丈夫です」
そう口にしながら、正体を偽るための魔法を解く。
けれど私に嫌悪感は抱かなかったようで、表情に変化はなかった。
「そんなの、信じられないわ。
この国の貴族は噓をついて私と妹を引き裂いたの!」
「私達の味方をするなら妹さんとも会わせられるけれど、判断は任せますわ」
「……私を嫌っていたのに、どうしてそこまでするの?」
「あの浮気男から引き離してくれたお礼よ。
このままだと、アイリス様はカグレシアン公爵家に消されることになるわ。
妹と安全に暮らしたいなら、私達の味方をしなさい」
嫌がらせをしている側はあまり恨まないということは噂に聞いていたけれど、アイリス様も例に漏れないらしい。
彼女から受けた嫌がらせは王太子殿下との仲を引き裂くようなものに限らず、私の仕事を増やすようなこともあったから、思い出すと怒りを感じてしまう。
でも、今は感情で動く時ではないから、我慢して返事を待つ。
「分かった……。具体的にどうすればいいの?」
「アイリス様は洗脳の魔法が使えるのよね?」
「そうみたい……」
「その魔法で、すれ違った人が私達を認識出来ないようにして欲しいの」
「やってみる」
念には念を入れて、私も魔法をかけていくつもりだけれど、アイリス様にいつ裏切られるか分からないから、分かりやすいようにしておいた方が良いのよね。
だから私達に気が向かないようにしてから、音を立てないように部屋を出た。
部屋を出てからは、拍子抜けするほど順調に進むことが出来た。
一番の理由は、私が妃教育を受けている頃よりも警備の人数が少ないこと。
これは予想だけれど、怪我や病気をした人が居なくなってしまって、一気に人手が減ったのだと思う。
仮にカグレシアン公爵様が王位を狙っているのなら、警備が薄くなるのは好都合なのよね。
だから何も手を加えずに放置されている……。そう考えた方が納得できる。
「……思っていたよりも簡単に出られたな」
「そうね。
アイリス様、ここからしばらく歩くことになりますけれど、大丈夫でして?」
「アイリスで大丈夫。
もう聖女ではないから……。か弱い貴族と一緒にしないで欲しいの」
「分かったわ」
そうして歩くこと一時間ほど、無事に王都の外に出ることが出来た私達はワイバーンの背中に乗って空へと舞った。
ここから帝都までは三時間ほど。その間に、アイリス様から王城での出来事を聞き出していく。
話してみて分かったのは、アノールドがアイリスには即飽きて、今度は十二歳の侍女見習いに手を出していたこと。
そして国王夫妻は国民が不審死していることには目もくれず、ただ豪遊していたこと。
カグレシアン公爵は仕事をしているように見せて、全て自分よりも立場が低い人に丸投げしていたこと。
その仕事のほとんどはアイリスに押し付けられていて、昼間は治療で夜は執務と眠る暇がなかったらしい。
でも、それだけで終わらなかった。
あまりにも王家が酷すぎて、見切りをつけた護衛達が次々と辞めていったこと。
残っていた護衛はストレスが溜まって、アイリスにも手を出そうとしてきたこと。
……聞けば聞くほど地獄絵図が描かれていくものだから、頭を抱えたいどころの話じゃないわ。
アイリスは聖女として権威の代わりに使われていて、しっかりと休めなかったらしい。
「ずっと休めなかったから、いつも眠くて……命令だったけれど、シエル様に嫌がらせした罰だよね……。
ごめんなさい、シエル様。嫌がらせをしてしまって、本当にごめんなさい」
全てを吐き出したアイリスは反省しているみたいで、涙を流していた。
でも、人の本性は簡単には変わらないから、簡単に許していいのか分からない。
「赦すかどうかは、これからのアイリス次第よ。
期待しているわ」
「ありがとう……ございます。
少し寝ても良いですか?」
「ええ、構わないわ」
疲れているという言葉は偽りではなかったみたいで、移動中に私に寄りかかってきたと思ったら、そのまま眠られてしまったのよね。
こんな状態だから、軽い仕返しをする気分ではなくなってしまった。
「こんな状態で仕返しなんてしたら、私は悪魔になるわね」
「これが天罰と言うのだろうな
シエルが辛い思いをしなくて済むように、神が罰してくれたんだよ」
「そう思うことにするわ。
それに、無事にカグレシアン公爵様と王家の罪を暴けても、王都の人達には恨まれているのだから、平穏には暮らせないのよね」
「そうだな。これから生きようと思ったら、趣味の悪い貴族の欲の捌け口として雇われるくらいしか思いつかない。
更生させるという名目で俺達の召使いにするという手もあるが、シエルは嫌だろう?」
「それでも構わないわ。
悪趣味な貴族に売るのは気が引けるもの」
そもそも、アイリス様が私に嫌がらせをしてきていたのは、カグレシアン公爵様の命令があってのこと。
不本意な行動だったのだから、これ以上辛い思いをさせるのは違うと思う。
「でも、その前に……元凶をこの世から消したいわ」
「笑顔で随分と怖い事を言うな?」
「だって、元凶をなんとかしないとお兄様達が危ないもの」
「そうだな。
アイリスとエリスにも協力させたら、多少は今後のためにもなるだろう。
エイブラム邸に戻ったら、しっかりと話し合わないといけないな」
「ええ、そうね。
これからもっと忙しくなりそうだわ」
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