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第2章
74. 良くない夢ですか?
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義両親と私達でテーブルを囲っての朝食が始まって三秒。
パンを口に運んだグレン様に、早速お義父様からの指摘が飛んでいた。
「グレン。背筋が少し曲がっている。もう少し伸ばせるだろう?
前は出来ていたのに、どうした? 社交界に出ないからって甘えてないだろうな?」
私の目からは完璧に見えるのに、お義父様から見ると足りないらしい。
この感じだと、グレン様が当主になるのは早すぎたように感じてしまうけれど、どうやらサボった結果らしい。
「レイラちゃん、もう少し顔を上げた方が良いわ」
「はい!」
まあ、他人の事を気にしている余裕なんて無かったから、自分の動きに集中する。
「そういえば、魔道具を沢山作れるようになったそうね? 私にも髪を乾かす魔道具、作ってもらえないかしら?」
「分かりました。何もなければ、夕方までに用意しますわ」
「ありがとう」
「どういたしまして。今日のお茶会なのですけど……」
でも、これは社交の練習。
少しでも崩れていると指摘が飛んでくるけれど、いつもの情報共有も進めている。
だから所作だけに集中することは出来ないのよね。
難しいけれど、身に着けられた時の達成感はきっと良いものになると思う。
それから一時間。
色々な意味で気を抜けない朝食を終えた私は、侍女達を集めて髪を乾かす魔道具と護身用の魔道具をいくつか作ってから、ダンスのレッスンのために広間へと向かった。
「まずは今の実力を見たいので、お二人で踊ってみて下さい」
「分かりましたわ」
「分かった」
ダンスはグレン様と踊る機会が多くなるから、まずは彼と完璧に踊れるようにするというのが今の目標になっている。
今は義両親や侍女執事達の目の前で一回踊ってみて、評価を貰うことに決まった。
公爵家ともなれば、私が伯爵令嬢だった頃に感じていた視線よりもたくさんの視線を向けられるのだけど、この中だけだとあまり気にならないわ。
少し緊張はするけれど、ダンスは緊張していたら上手く出来ないから、力を抜いてステップを踏んでいく。
グレン様が上手なお陰で、私も踊りやすい。
でも、リードにはあまり頼らないで、しっかりペースを合わせている。
けれども……。
「みんなは何点かしら? 十点満点でお願い」
「私はグレン様が七点、奥様が九点です」
「グレン様が三点、奥様は四点と感じました」
「お二人とも十点ですわ」
「奥様が八点、グレン様は五点だと思います!」
「グレン様が九点、奥様が七点です」
みんな意見が分かれているけれど、何故か私の方が評価が高いのね……。
まさか私に忖度してたりしないわよね……?
「みんなありがとう。
次は貴方からお願い」
「グレンは三点、レイラは四点だな」
「みんなレイラちゃんの足元、見ていないのかしら?
私の目だと、グレンは二点、レイラちゃんは一点ってところね」
「本気ですか……!?」
そんな評価に、驚くグレン様。
私はこの辛口評価を受け入れるつもりだけれど、グレン様は納得できないみたい。
正直に言うと、上手く出来たと思っていたから不満はある。けれども完璧なダンスは王妃様でも難しいというお話だから、仕方ないのよね。
「グレンは相手が上手いと頼る癖があるわ。まずは相手が上手くてもリード出来るようになりなさい。男としてのプライドは無いのかしら?」
「分かりました……」
ガックリとした様子で頷くグレン様。
今度は、お義母様の視線が私に向けられる。
「レイラちゃんは、基本は殿方にリードさせるように気を配ることね。相手が余程下手だったら今の踊り方で良いけれど、このままだと相手のプライドに傷をつけることになるわ。
それと、足に力が入りすぎて少しステップが雑になっているわ。スカートで目立たないけれど、そこも気を付けると良くなると思うわ。逆に言うと、足の運びが軽やかになれば、動きとしては完璧ね」
「分かりましたわ。細かくありがとうございます」
「忘れないうちにもう一回踊ってみましょう」
私がお礼を言うと、お義母様はそう口にしてから演奏担当の人達に合図を送っている。
ちなみに、ダンスをする時の音楽は演奏が出来る人達を招いて演奏してもらうのが当たり前になっている。
だから、お金が無い家だとダンスの練習が曲に合わせて出来ないから、中々身に付かないのよね。
アルタイス家では使用人さん達が演奏も出来て、ダンスの練習をする時は大慌てでお屋敷の仕事を終らせて時間を作っていた。
でも、ここ公爵家ではお抱えの楽団が居るから、そんなに気にしなくてもいいみたい。
「レイラ、次は母上から五点は貰おう」
「はいっ!」
グレン様の呟きに答えて、言われたことを意識しながら動く私。
お義母様の辛口評価だと点数は取れていなくても、やっぱりグレン様は上手だからエスコートに身を任せても上手く出来そうだわ。
けれども、一曲終えた時だった。
広間の扉が勢いよく開けられて、庭師さんが息を切らしながら中に入ってきた。
「何事だ?」
「大変です! 国王陛下が奥様に国家反逆の罪をかけると決められました!
騎士団が押し寄せてくるのも時間の問題です!」
「分かった。国王の狙いは?」
「奥様の治癒魔法の力を自由に使うこと、のようです」
その声を聞いて、私は何度も目を瞬かせた。
これは良くない夢なのかしら……?
パンを口に運んだグレン様に、早速お義父様からの指摘が飛んでいた。
「グレン。背筋が少し曲がっている。もう少し伸ばせるだろう?
前は出来ていたのに、どうした? 社交界に出ないからって甘えてないだろうな?」
私の目からは完璧に見えるのに、お義父様から見ると足りないらしい。
この感じだと、グレン様が当主になるのは早すぎたように感じてしまうけれど、どうやらサボった結果らしい。
「レイラちゃん、もう少し顔を上げた方が良いわ」
「はい!」
まあ、他人の事を気にしている余裕なんて無かったから、自分の動きに集中する。
「そういえば、魔道具を沢山作れるようになったそうね? 私にも髪を乾かす魔道具、作ってもらえないかしら?」
「分かりました。何もなければ、夕方までに用意しますわ」
「ありがとう」
「どういたしまして。今日のお茶会なのですけど……」
でも、これは社交の練習。
少しでも崩れていると指摘が飛んでくるけれど、いつもの情報共有も進めている。
だから所作だけに集中することは出来ないのよね。
難しいけれど、身に着けられた時の達成感はきっと良いものになると思う。
それから一時間。
色々な意味で気を抜けない朝食を終えた私は、侍女達を集めて髪を乾かす魔道具と護身用の魔道具をいくつか作ってから、ダンスのレッスンのために広間へと向かった。
「まずは今の実力を見たいので、お二人で踊ってみて下さい」
「分かりましたわ」
「分かった」
ダンスはグレン様と踊る機会が多くなるから、まずは彼と完璧に踊れるようにするというのが今の目標になっている。
今は義両親や侍女執事達の目の前で一回踊ってみて、評価を貰うことに決まった。
公爵家ともなれば、私が伯爵令嬢だった頃に感じていた視線よりもたくさんの視線を向けられるのだけど、この中だけだとあまり気にならないわ。
少し緊張はするけれど、ダンスは緊張していたら上手く出来ないから、力を抜いてステップを踏んでいく。
グレン様が上手なお陰で、私も踊りやすい。
でも、リードにはあまり頼らないで、しっかりペースを合わせている。
けれども……。
「みんなは何点かしら? 十点満点でお願い」
「私はグレン様が七点、奥様が九点です」
「グレン様が三点、奥様は四点と感じました」
「お二人とも十点ですわ」
「奥様が八点、グレン様は五点だと思います!」
「グレン様が九点、奥様が七点です」
みんな意見が分かれているけれど、何故か私の方が評価が高いのね……。
まさか私に忖度してたりしないわよね……?
「みんなありがとう。
次は貴方からお願い」
「グレンは三点、レイラは四点だな」
「みんなレイラちゃんの足元、見ていないのかしら?
私の目だと、グレンは二点、レイラちゃんは一点ってところね」
「本気ですか……!?」
そんな評価に、驚くグレン様。
私はこの辛口評価を受け入れるつもりだけれど、グレン様は納得できないみたい。
正直に言うと、上手く出来たと思っていたから不満はある。けれども完璧なダンスは王妃様でも難しいというお話だから、仕方ないのよね。
「グレンは相手が上手いと頼る癖があるわ。まずは相手が上手くてもリード出来るようになりなさい。男としてのプライドは無いのかしら?」
「分かりました……」
ガックリとした様子で頷くグレン様。
今度は、お義母様の視線が私に向けられる。
「レイラちゃんは、基本は殿方にリードさせるように気を配ることね。相手が余程下手だったら今の踊り方で良いけれど、このままだと相手のプライドに傷をつけることになるわ。
それと、足に力が入りすぎて少しステップが雑になっているわ。スカートで目立たないけれど、そこも気を付けると良くなると思うわ。逆に言うと、足の運びが軽やかになれば、動きとしては完璧ね」
「分かりましたわ。細かくありがとうございます」
「忘れないうちにもう一回踊ってみましょう」
私がお礼を言うと、お義母様はそう口にしてから演奏担当の人達に合図を送っている。
ちなみに、ダンスをする時の音楽は演奏が出来る人達を招いて演奏してもらうのが当たり前になっている。
だから、お金が無い家だとダンスの練習が曲に合わせて出来ないから、中々身に付かないのよね。
アルタイス家では使用人さん達が演奏も出来て、ダンスの練習をする時は大慌てでお屋敷の仕事を終らせて時間を作っていた。
でも、ここ公爵家ではお抱えの楽団が居るから、そんなに気にしなくてもいいみたい。
「レイラ、次は母上から五点は貰おう」
「はいっ!」
グレン様の呟きに答えて、言われたことを意識しながら動く私。
お義母様の辛口評価だと点数は取れていなくても、やっぱりグレン様は上手だからエスコートに身を任せても上手く出来そうだわ。
けれども、一曲終えた時だった。
広間の扉が勢いよく開けられて、庭師さんが息を切らしながら中に入ってきた。
「何事だ?」
「大変です! 国王陛下が奥様に国家反逆の罪をかけると決められました!
騎士団が押し寄せてくるのも時間の問題です!」
「分かった。国王の狙いは?」
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これは良くない夢なのかしら……?
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