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第1章
23. 魔石を集めます
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「どんな風に使うのでしょうか?」
「ここを触りながら、魔力を流してみて」
魔道具の使い方を説明すると、そこに手が伸ばされる。
けれども、一瞬だけ水が流れただけで、桶を一杯にする量は出てこなかった。
「もっと流して大丈夫よ?」
「……無理です。もう魔力が無いのです」
「そんな……」
魔力量が少ない人は居るのだけど、まさかこんな形で遭遇するなんて思わなかった。
あっという間に侍女の表情が怯えになっていて、焦りを感じてしまう。
「気付いてあげられなくてごめんなさい。すぐに別の方法を考えるわ」
「……どうして、奥様が頭を下げられるのですか?」
少しでも怯えを感じさせないようにと、軽く頭を下げてみたのだけど、今度は焦っているような声が耳に入る。
「申し訳ない気持ちに地位は関係ないと思うの」
「なるほど、奥様はそう考えられているのですね」
「だから魔石を集めに行くわ」
「はい……?」
魔石というのは魔物を倒した時に手に入る魔力の塊のような石なのだけど、その魔物と戦う時に命を落とす人も多い。
強い魔法が使えれば難しくないのだけど、魔法が使えない人が戦うと命を落とすことも少なくないのよね。
これだけは使用人さんに任せられないから、私が集めに行こうと思っている。
一時間もあれば、この桶いっぱいに魔石を集められるはずだわ。
その量の魔石で魔道具を発動させたら、どれくらいの水を作れるのかは分からないけれど、半月くらいは大丈夫な気がする。
「一時間くらいで戻るから、待っててもらえると嬉しいわ」
だから、タイミング良く大きくなってくれたブランの背中に乗って、空に舞った。
洗い場は外にあるから、こういう時に便利ね。
「奥様!?」
「心配しなくても大丈夫だから!」
後ろに向かって声をかけている内に、大きな屋敷が小さくなっていく。
魔石は魔物の身体の中にあるから、取るのは難しい。
けれども、上手く魔法を使えば身体だけ消して、魔石を取り出すなんてことも出来るらしい。
ちょうど前の方に小さな群れを見つけたから魔法を飛ばしてみる。
さっきは魔石も消えてしまったから、少し手加減してみたのだけど……。
「少し近付けるかしら?」
「もちろん。周りに被害を出さずに全滅させるなんて、驚いたよ」
「魔石が残っていると良いのだけど……」
近付いてみると、煌めく赤い石が沢山落ちていた。
地面に降りて魔石を拾っていく私。
ブランも風魔法を使って魔石を集めてくれて、あっという間に桶の半分くらいの魔石が集まった。
魔石の大きさは魔物の強さによって変わるみたいで、大きいほど魔力もたくさん入っている。
これは私の手のひらから少しはみ出す大きさだから、普通なら六人がかりで倒せる強さの魔物らしい。
魔法があるから、こうして一瞬で済んでしまうのだけど。
「これで全部かしら?」
「うん。他に気配は無いよ」
「分かったわ。ありがとう」
お礼を言ってから、再びブランの背中に乗って空に舞う私。
今度の魔物は空を飛んでいる小さな群れだったのだけど……。
「ここは僕に任せて」
「分かったわ」
頷いて、背中の上から見守る私。
その直後、ブランが口から光の筋を放った。
一瞬で魔物が消えて、私の頭くらいの大きさがある魔石が落ちていく様子が見える。
そして、ブランはその魔石を追いかけいく。
振り落とされないように捕まっているけれど、少し怖く感じてしまう。
「よし! 取れたよ!」
「流石だわ。降りて確認しても良いかしら?」
「今渡すね」
そんな言葉に続けて、大きな魔石がふわふわと私の前に浮かんできた。
ブランって、こんなに器用に魔法を使えたのね。
少し驚きながらも、受け取る私。
ずっすりとした重みが手に伝わってきて、落としそうになってしまう。
「こんなに重いのね……」
「背中に置いて良いよ。しっかり押さえておくから」
「分かったわ。ありがとう」
この大きさがあれば十分だから、そのまま屋敷に戻っていく。
途中で何度か魔物に遭遇したけれど、全てブランが消していったから、私の出番は全く無かった。
「ただいま。この魔石から魔力を取れるか試してみて!」
重くて持ち上げられないから、転がしながら洗い場に運んでいく。
すると、侍女さん達が集まってきて、こんなことを言われた。
「何ですか、これ」
「見ての通り、魔石よ」
「魔石って、普通はこのくらいの大きさですよね?」
ちょっとした騒ぎになってしまって、少しだけ焦る私。
今度は護衛さん達も集まってきた。
「これは、街一つ消し飛ばせる強さの魔物からしか取れない魔物ですよ」
「空にいるところをブランが倒したの。そんなに強い魔物だったのね……」
「奥様が先に見つけて下さらなかったら、今頃ここは火の海です」
そんなことを言われると、私まで怖くなってしまうのだけど……。
私は大丈夫でも、家族や使用人さん達のことを考えると、安心なんて出来ないわ。
「最近はどうも魔物の動きがおかしい。
奥様がここに来る少し前から、突然魔物が現れたりしているんです。
王都はもっと酷いそうですが……」
せっかく楽しく過ごせているのに、独りになるのは嫌だ。
そう思っていたら、グレン様が顔を出してきて、深刻そうな表情でこんなことを口にした。
「レイラの家が魔物に襲われた」
「ここを触りながら、魔力を流してみて」
魔道具の使い方を説明すると、そこに手が伸ばされる。
けれども、一瞬だけ水が流れただけで、桶を一杯にする量は出てこなかった。
「もっと流して大丈夫よ?」
「……無理です。もう魔力が無いのです」
「そんな……」
魔力量が少ない人は居るのだけど、まさかこんな形で遭遇するなんて思わなかった。
あっという間に侍女の表情が怯えになっていて、焦りを感じてしまう。
「気付いてあげられなくてごめんなさい。すぐに別の方法を考えるわ」
「……どうして、奥様が頭を下げられるのですか?」
少しでも怯えを感じさせないようにと、軽く頭を下げてみたのだけど、今度は焦っているような声が耳に入る。
「申し訳ない気持ちに地位は関係ないと思うの」
「なるほど、奥様はそう考えられているのですね」
「だから魔石を集めに行くわ」
「はい……?」
魔石というのは魔物を倒した時に手に入る魔力の塊のような石なのだけど、その魔物と戦う時に命を落とす人も多い。
強い魔法が使えれば難しくないのだけど、魔法が使えない人が戦うと命を落とすことも少なくないのよね。
これだけは使用人さんに任せられないから、私が集めに行こうと思っている。
一時間もあれば、この桶いっぱいに魔石を集められるはずだわ。
その量の魔石で魔道具を発動させたら、どれくらいの水を作れるのかは分からないけれど、半月くらいは大丈夫な気がする。
「一時間くらいで戻るから、待っててもらえると嬉しいわ」
だから、タイミング良く大きくなってくれたブランの背中に乗って、空に舞った。
洗い場は外にあるから、こういう時に便利ね。
「奥様!?」
「心配しなくても大丈夫だから!」
後ろに向かって声をかけている内に、大きな屋敷が小さくなっていく。
魔石は魔物の身体の中にあるから、取るのは難しい。
けれども、上手く魔法を使えば身体だけ消して、魔石を取り出すなんてことも出来るらしい。
ちょうど前の方に小さな群れを見つけたから魔法を飛ばしてみる。
さっきは魔石も消えてしまったから、少し手加減してみたのだけど……。
「少し近付けるかしら?」
「もちろん。周りに被害を出さずに全滅させるなんて、驚いたよ」
「魔石が残っていると良いのだけど……」
近付いてみると、煌めく赤い石が沢山落ちていた。
地面に降りて魔石を拾っていく私。
ブランも風魔法を使って魔石を集めてくれて、あっという間に桶の半分くらいの魔石が集まった。
魔石の大きさは魔物の強さによって変わるみたいで、大きいほど魔力もたくさん入っている。
これは私の手のひらから少しはみ出す大きさだから、普通なら六人がかりで倒せる強さの魔物らしい。
魔法があるから、こうして一瞬で済んでしまうのだけど。
「これで全部かしら?」
「うん。他に気配は無いよ」
「分かったわ。ありがとう」
お礼を言ってから、再びブランの背中に乗って空に舞う私。
今度の魔物は空を飛んでいる小さな群れだったのだけど……。
「ここは僕に任せて」
「分かったわ」
頷いて、背中の上から見守る私。
その直後、ブランが口から光の筋を放った。
一瞬で魔物が消えて、私の頭くらいの大きさがある魔石が落ちていく様子が見える。
そして、ブランはその魔石を追いかけいく。
振り落とされないように捕まっているけれど、少し怖く感じてしまう。
「よし! 取れたよ!」
「流石だわ。降りて確認しても良いかしら?」
「今渡すね」
そんな言葉に続けて、大きな魔石がふわふわと私の前に浮かんできた。
ブランって、こんなに器用に魔法を使えたのね。
少し驚きながらも、受け取る私。
ずっすりとした重みが手に伝わってきて、落としそうになってしまう。
「こんなに重いのね……」
「背中に置いて良いよ。しっかり押さえておくから」
「分かったわ。ありがとう」
この大きさがあれば十分だから、そのまま屋敷に戻っていく。
途中で何度か魔物に遭遇したけれど、全てブランが消していったから、私の出番は全く無かった。
「ただいま。この魔石から魔力を取れるか試してみて!」
重くて持ち上げられないから、転がしながら洗い場に運んでいく。
すると、侍女さん達が集まってきて、こんなことを言われた。
「何ですか、これ」
「見ての通り、魔石よ」
「魔石って、普通はこのくらいの大きさですよね?」
ちょっとした騒ぎになってしまって、少しだけ焦る私。
今度は護衛さん達も集まってきた。
「これは、街一つ消し飛ばせる強さの魔物からしか取れない魔物ですよ」
「空にいるところをブランが倒したの。そんなに強い魔物だったのね……」
「奥様が先に見つけて下さらなかったら、今頃ここは火の海です」
そんなことを言われると、私まで怖くなってしまうのだけど……。
私は大丈夫でも、家族や使用人さん達のことを考えると、安心なんて出来ないわ。
「最近はどうも魔物の動きがおかしい。
奥様がここに来る少し前から、突然魔物が現れたりしているんです。
王都はもっと酷いそうですが……」
せっかく楽しく過ごせているのに、独りになるのは嫌だ。
そう思っていたら、グレン様が顔を出してきて、深刻そうな表情でこんなことを口にした。
「レイラの家が魔物に襲われた」
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