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69. 怒られました
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陛下との面会を終えた私達は、庁舎の隣にある公邸へと歩いて移動した。
この公邸は、屋敷に戻る時間を無くすためにと作られたもので、半分をアストライア家、もう半分をクライアス家で分けて使っている。
結婚の準備が始まってからは、私達も公邸で過ごす日の方が多くなっている。
ここに居た方が、レオン様との話し合いや結婚の準備をしやすいから。
通信の魔道具もあるけれど、相手の表情を見れた方が良いのよね。
「ルシアナ様、お待ちしておりました。早速試着をお願いしますわ。
レオン様にはお見せ出来ませんから、別室にお願いします」
事前に約束していた部屋に入ると、公邸担当の侍女長さんが出迎えてくれた。
貴族御用達の仕立て屋の方々の姿も見える。
この仕立て屋さん、グレールの頃は倒産しかけていたのだけど、アスクライ公国になってから一気に持ち直した出来事があったりする。
何度もお世話になっているから、この人達を一時的にアルカンシェル商会で雇ったりもした。
それが無かったら、こうしてドレスを仕立ててもらうことは出来なかったのよね……。
「ルシアナ様、早速ですが試着をお願いします」
「分かったわ」
侍女さんに促されて、準備されているドレスの前に移動する私。
ドレスは形になっているけれど、ここから何回か試着して細かい調整をしていく。
デザインも気に入らないところがあったら、その都度修正していくことになっている。
「覚悟はよろしいですか?」
「ええ、いつでも大丈夫よ!」
下着姿でそんなやり取りをする私。
それから少しして、腰の辺りをコルセットで締め付けられた。
「ぐえっ……」
「だ、大丈夫ですか?」
「締めすぎよ……」
普段はコルセットなんて着けないから、変な声が出てしまったわ……。
でも、苦しいものは苦しいのよ!
公爵家のお嬢様なんかは、パーティーの度にこうしているのだから、頭が上がらないわ。
「まだ全然締めていませんよ。……そうですね、少しずつ慣らしましょう」
「そうするわ……」
そうは言ったのだけど、そのままギュウウと締め付けられてしまった。
こんなに締め付けられるのは、グレールの建国祭以来だわ……。
「どうでしょうか?」
「苦しいけど、なんとか息は出来るわ……」
「では、少し緩めましょう。ルシアナ様は余計なお肉がありませんから、これくらいでも問題無さそうです」
今度は少し余裕が出来たから、最初よりも楽になった。
締め付けはあまり変わらないのに、不思議だわ。
「最初からこのくらいなら楽だったのに……」
「一度締め付けておけば、後が楽になるものでございます」
「そうみたいね」
お話しする余裕はあるけれど、何かを口にすることは出来なさそうね。
ぼんやりと思いながら、侍女達の手を借りてドレスを着ていく。
普段のドレスなら数分で終わるのだけど、今着ようとしているのはウェディングドレス。
傷でも付けてしまったら大変だから、爪が当たらないように手袋をして、生地が傷まないように慎重に腕を通した。
「キツかったり緩かったりしませんか?」
「ええ、大丈夫よ」
「流石はルシアナ様ですね。体型が一センチも変わっていないだなんて」
そんなことを言われたのだけど、特に意識はしていないのよね……。
食事の量はいつもと変えていないけれど、商会で忙しく動き回っているからかしら?
成長が止まってしまった証にもなるから、少し悲しい。
去年の同じ時期からから一センチくらいしか伸びていないのよね。
「髪はいかがなさいますか?」
「とりあえず、ハーフアップでお願いするわ」
「分かりました。上の方は編み込みますね?」
「ええ、それでお願い」
女性なら身長は低めの方が殿方に気に入られやすいとか言われているけれど、今の背丈だと高いところにある物が取れないから少し大変なのよ。
レオン様は踏み台を使わなくても殆どのものに手が届くから、少し羨ましい。
「あとはお飾りだけですね。レオン様をお呼びしても宜しいでしょうか?」
「大丈夫よ」
デザインは相談しながら決めると約束していたから、装飾品のデザインを決めるためにレオン様に部屋に入ってもらう。
ちなみに、私が着るドレスとレオン様が着るタキシードのデザインは、二人で相談して決めた。
装飾品のデザインも理想の雰囲気を作れるようにと、今から一緒に決める約束だ。
「……なんて素敵なんだ」
部屋に入ってきて最初に、感激した様子で口にするレオン様。彼もタキシードに着替えていて、普段と比べ物にならないほどの魅力を放っていた。
花嫁よりも美しい新郎って、何よ……?
そう思ってしまったのに。
毎日朝「可愛い」とか「綺麗だ」って言ってくるレオン様が立ち尽くしてしまっている。
ウェディングドレスお陰かしら?
「レオン様も素敵ですわ」
かくいう私も、普段は目にしないレオン様のお姿に目を奪われてしまっているのだけど……。
「お二人とも、見つめ合ってないでドレスの確認をしてください!」
「ごめんなさい……」
「申し訳ない、つい見惚れてしまった」
侍女さんに怒られてしまったわ。
それから二時間近く装飾品について話し合って、結婚式で身に付ける装飾品のデザインが決まった。
「なるほど、材料はクライアス領で採れるものを使って、加工はアルカンシェル商会で行うのですね。
こういうものは殿方からプレゼントされることが殆どですが、一緒に作られるのですね」
「ええ。その方がレオン様を近くに感じられますもの。
もちろん、プレゼントは嬉しいわ。でも、一緒に作り上げていくのも素敵だと思うの」
結婚式は私達二人が中心になって作るもの。
私もレオン様も同じように考えているから、装飾品や進行のの計画も話し合いながら決めている。
意見が分かれることもあるけれど、お互いに納得するまで話し合っているから、不満が残ったりはしていないのよね。
夫になる人からプレゼントされる形だと、私は少し寂しく感じてしまう。
「お二人で協力して作られるのですね……! 素敵です!」
私を囲う侍女さん達が興奮気味だから、さり気なくレオン様の隣に逃げる私。
侍女さん達も、私達の結婚を楽しみにしてくれているみたいだけど……。
圧が強すぎるのよね。
「ルシアナが怖がっている。少し落ち着いてくれ」
「はっ……。申し訳ありません」
ちなみに、ウェディングドレスに皺をつける訳にはいかないから、私達は手を握り合っている。
いつものエスコートも良いけれど、こういう形も心地良いわ。
この公邸は、屋敷に戻る時間を無くすためにと作られたもので、半分をアストライア家、もう半分をクライアス家で分けて使っている。
結婚の準備が始まってからは、私達も公邸で過ごす日の方が多くなっている。
ここに居た方が、レオン様との話し合いや結婚の準備をしやすいから。
通信の魔道具もあるけれど、相手の表情を見れた方が良いのよね。
「ルシアナ様、お待ちしておりました。早速試着をお願いしますわ。
レオン様にはお見せ出来ませんから、別室にお願いします」
事前に約束していた部屋に入ると、公邸担当の侍女長さんが出迎えてくれた。
貴族御用達の仕立て屋の方々の姿も見える。
この仕立て屋さん、グレールの頃は倒産しかけていたのだけど、アスクライ公国になってから一気に持ち直した出来事があったりする。
何度もお世話になっているから、この人達を一時的にアルカンシェル商会で雇ったりもした。
それが無かったら、こうしてドレスを仕立ててもらうことは出来なかったのよね……。
「ルシアナ様、早速ですが試着をお願いします」
「分かったわ」
侍女さんに促されて、準備されているドレスの前に移動する私。
ドレスは形になっているけれど、ここから何回か試着して細かい調整をしていく。
デザインも気に入らないところがあったら、その都度修正していくことになっている。
「覚悟はよろしいですか?」
「ええ、いつでも大丈夫よ!」
下着姿でそんなやり取りをする私。
それから少しして、腰の辺りをコルセットで締め付けられた。
「ぐえっ……」
「だ、大丈夫ですか?」
「締めすぎよ……」
普段はコルセットなんて着けないから、変な声が出てしまったわ……。
でも、苦しいものは苦しいのよ!
公爵家のお嬢様なんかは、パーティーの度にこうしているのだから、頭が上がらないわ。
「まだ全然締めていませんよ。……そうですね、少しずつ慣らしましょう」
「そうするわ……」
そうは言ったのだけど、そのままギュウウと締め付けられてしまった。
こんなに締め付けられるのは、グレールの建国祭以来だわ……。
「どうでしょうか?」
「苦しいけど、なんとか息は出来るわ……」
「では、少し緩めましょう。ルシアナ様は余計なお肉がありませんから、これくらいでも問題無さそうです」
今度は少し余裕が出来たから、最初よりも楽になった。
締め付けはあまり変わらないのに、不思議だわ。
「最初からこのくらいなら楽だったのに……」
「一度締め付けておけば、後が楽になるものでございます」
「そうみたいね」
お話しする余裕はあるけれど、何かを口にすることは出来なさそうね。
ぼんやりと思いながら、侍女達の手を借りてドレスを着ていく。
普段のドレスなら数分で終わるのだけど、今着ようとしているのはウェディングドレス。
傷でも付けてしまったら大変だから、爪が当たらないように手袋をして、生地が傷まないように慎重に腕を通した。
「キツかったり緩かったりしませんか?」
「ええ、大丈夫よ」
「流石はルシアナ様ですね。体型が一センチも変わっていないだなんて」
そんなことを言われたのだけど、特に意識はしていないのよね……。
食事の量はいつもと変えていないけれど、商会で忙しく動き回っているからかしら?
成長が止まってしまった証にもなるから、少し悲しい。
去年の同じ時期からから一センチくらいしか伸びていないのよね。
「髪はいかがなさいますか?」
「とりあえず、ハーフアップでお願いするわ」
「分かりました。上の方は編み込みますね?」
「ええ、それでお願い」
女性なら身長は低めの方が殿方に気に入られやすいとか言われているけれど、今の背丈だと高いところにある物が取れないから少し大変なのよ。
レオン様は踏み台を使わなくても殆どのものに手が届くから、少し羨ましい。
「あとはお飾りだけですね。レオン様をお呼びしても宜しいでしょうか?」
「大丈夫よ」
デザインは相談しながら決めると約束していたから、装飾品のデザインを決めるためにレオン様に部屋に入ってもらう。
ちなみに、私が着るドレスとレオン様が着るタキシードのデザインは、二人で相談して決めた。
装飾品のデザインも理想の雰囲気を作れるようにと、今から一緒に決める約束だ。
「……なんて素敵なんだ」
部屋に入ってきて最初に、感激した様子で口にするレオン様。彼もタキシードに着替えていて、普段と比べ物にならないほどの魅力を放っていた。
花嫁よりも美しい新郎って、何よ……?
そう思ってしまったのに。
毎日朝「可愛い」とか「綺麗だ」って言ってくるレオン様が立ち尽くしてしまっている。
ウェディングドレスお陰かしら?
「レオン様も素敵ですわ」
かくいう私も、普段は目にしないレオン様のお姿に目を奪われてしまっているのだけど……。
「お二人とも、見つめ合ってないでドレスの確認をしてください!」
「ごめんなさい……」
「申し訳ない、つい見惚れてしまった」
侍女さんに怒られてしまったわ。
それから二時間近く装飾品について話し合って、結婚式で身に付ける装飾品のデザインが決まった。
「なるほど、材料はクライアス領で採れるものを使って、加工はアルカンシェル商会で行うのですね。
こういうものは殿方からプレゼントされることが殆どですが、一緒に作られるのですね」
「ええ。その方がレオン様を近くに感じられますもの。
もちろん、プレゼントは嬉しいわ。でも、一緒に作り上げていくのも素敵だと思うの」
結婚式は私達二人が中心になって作るもの。
私もレオン様も同じように考えているから、装飾品や進行のの計画も話し合いながら決めている。
意見が分かれることもあるけれど、お互いに納得するまで話し合っているから、不満が残ったりはしていないのよね。
夫になる人からプレゼントされる形だと、私は少し寂しく感じてしまう。
「お二人で協力して作られるのですね……! 素敵です!」
私を囲う侍女さん達が興奮気味だから、さり気なくレオン様の隣に逃げる私。
侍女さん達も、私達の結婚を楽しみにしてくれているみたいだけど……。
圧が強すぎるのよね。
「ルシアナが怖がっている。少し落ち着いてくれ」
「はっ……。申し訳ありません」
ちなみに、ウェディングドレスに皺をつける訳にはいかないから、私達は手を握り合っている。
いつものエスコートも良いけれど、こういう形も心地良いわ。
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