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恋愛初心者のためのお付き合い講座2
しおりを挟む「キス」
それは彼氏もしくはまもなく彼氏というのでは…
僕の頭は更に混乱する
深く切り込んでいいか迷うが、どうも危うい雰囲気を直感的に感じたので、巻き込まれたついでに聞いてみることにした。
「佐竹さんは、近藤さんのことが好きなんですか?」
「ああ、彼を含め、研究所の人間はみんな好きだよ。」
…ん?
「えっと、聞き方を変えますね…どうして他の人とはしないのに、近藤さんとは、食事や映画に行ったり、キスをしたんですか?」
「食事は、お腹が空いていて何か食べに行こうと思った時に近藤くんから誘われたから一緒に行った。映画は、誘われたタイトルが気になっていたやつだったのと、ちょうど時間が空いていたから行った。映画の帰り道で近藤くんに呼ばれて、振り返ったら唇が当たったんだが、これはキスと定義できるかもしれない。」
得た情報からかいつまんで整理すると
「じゃあ佐竹さんは、近藤さんに好意を寄せてデートを重ねたわけではなく、たまたまタイミングがあったからということですか?」
「そうだね。彼にはどうやら勘違いをさせてしまったようだ。」
佐竹さんとしてはタイミングよく誘われたから行ったが、近藤さんはおそらくキスを受け入れられたことによって認識の齟齬が生まれたのだろう。
「巻き込んでしまって申し訳ない、こういったことは初めてではなくて、気をつけようといつも思っているのだけど。」
「初めてではないといいますと…」
「これまでにも何度か相手を勘違いさせて怒らせてしまうことがあったんだ。これといって断る理由がない誘いはつい受けてしまう。周りに迷惑をかけるから良くないことは分かっているんだが、研究に集中するとつい忘れてしまう。」
「な、なるほど…」
「私にとっては好意というものがよく分からなくてね。嫌いな人がいない。そしてみんなのように特別好きな人というのもできたことがない。」
口が悪いことを承知で定義するが、
佐竹さんは無自覚な天然ビッチだ。
要するに、自分の欲求とスケジュール的なタイミングがあえば誰でも構わないということ。
それをあざとく理解して行動しているというよりは、研究以外のことは頓着していないために起こり得る現象なのだ。
そりゃあそうか、理解してやっていたらこんなことになる確率は低い。
しかし、このままでは危うすぎないか。
これから同じことが起こるとして、相手が今回より凶暴な人だったら?
ストーカーや殺人に繋がらないとも言い切れない。
「だったら」
僕はとんでもないことを口にする。
「僕と付き合いませんか。」
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