上 下
15 / 43

隠された真実

しおりを挟む
 応接室を飛び出した慶福は、八咫烏の本部にいた。部屋のドアを開けると大きな空間が広がり、左手の壁には大型モニターが設置され、その正面には4段階に1番上の段に椅子が1つ、それを頂点にピラミッド状に椅子が10脚設けてあり、そこには10人の幹部が座ってがいた。

 慶福は中央まで進むと「お待たせして申し訳ありません」と頭を下げた。

 上段から2段目右の幹部が「まずは光智失踪の認識が遅れた件に関しての報告と申し開きがあるなら聞こう、その上で君に対する処分を……」と言いかけた時、2段目左の幹部が口を開き「それよりも慶福には光智失踪の件での対応に動いてもらう方が先ではありませんかな」と言った。

 2段目右の幹部が「光智失踪の件に関しては、ここで原因を究明すべきでは?」と言うと、1番上の段の頭首が「私も一刻も早く利休の転生者を確保することが最優先と考えますが、異論はありますか?」と言うと……場に静けさが走った。

 場が沈黙したことを確認し、更に頭首が続ける「フリーメイソンから最悪の事態に陥ったとの警告がありました」と言った。

 慶福が「最悪の事態とはいったい……!」と言うと、幹部に「静かに! 党首が話しておられる間は発言を慎むように!」と制された。

 すると党首は静かに「これまで上層部でも限られた、わずかな者にしか知らされず、極秘とされてきた事ですが、トリニティは現在3つ存在することが解っています。現在行方の解らないトリニティが、我らの敵となる者が手にした時のことを考え、長きに渡りそれに対抗する手段を探して来ました」と話しを続けた。

 それから更に「我々はそれが月にあることを突き止め、アポロ11号の宇宙飛行士をフリーメイソンから選出し、トリニティの回収を極秘裏に行ないました。その時2つのトリニティを手に入れた我々は、残る1つを探し出し磐石な体制にしたいと考えて来ました。その2つの聖杯を昨夜、テンプル協会から奴等に盗まれてしまった。今現在、フリーメイソンがトリニティ奪還に向け全力を尽くしています。もし今、残るトリニティも奴等の手に落ちたとしたら、我々に残る対抗手段は無いと考えてほしい。トリニティ奪還はフリーメイソンのメンバーに任せ、我々は残る1つのトリニティを探すことに全力を尽くさなければならない。その為には、利休の転生者を確保を最優先に動いて欲しい」と言った。

 慶福が「しかし利休の転生者である光智は、すでに奴等に拉致されているかと」と言った。すると2段目右の幹部が「発言は許されてから……」それを頭首が「ゴホン」と咳で制し「これもまた上層部でも限られた者しか知らないのだが、我々はあの時点で信長の転生者は探せたものの、利休の転生者を探しきれていなかった」と話しを続けた。

 頭首は「焦っていた我々は、八咫烏内部に送りこまれたスパイを利用しようと考え、光智を影武者に選び利休の転生者として偽の情報を流した。現在は、利休の転生者の目星もついている。この事を知っているのは、ここに居る者だけだ。もし情報が漏れた場合は、この中の誰かがスパイだという事になる。利休の転生者を奴等に渡す事だけは有ってはならない。慶福君には心して任務に当たってもらいたい。転生者の情報は後ほど君に送るよう手配する」と言った。

 党首は慶福の目を見て「以上で宜しいかな」と言うと他の幹部達は、一同に「御意」とだけ答えた。すると幹部の椅子が後ろへ下がり壁へと吸い込まれて行った。

 慶福は1人静かにその部屋を出ると「やってくれるな狸爺……」と言って携帯を取り出し電源を入れた。携帯には利休の転生者の情報が送られて来ていた。携帯に映し出された免許証の画像を見て「チッ」と舌打ちをして「忙しくなるぞ!」と言った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

話好きの自動車整備士が戦車に乗って一人前の冒険者を目指します

かば
SF
半年前に日本から連れてこられた自動車整備士の飛雄馬(ひゅうま)は、五人の個性的な異星人たちのパーティーに迎えられ、戦車に乗ってモンスターと戦うことが日常になっている世界で「自分の戦車を持つ」という目標を胸にモンスターが出没する地下施設の調査を行っていた。その地下施設には戦車を含む莫大な物資が眠っていたため飛雄馬の目標は一気に現実に近付くが……。 前作『心の支え』(N1405HV)をプロローグにして、最初に考えていた中編です。 ゲーム『メタルマックス』シリーズの世界観に強い影響を受けて「荒廃した世界で戦車に乗って戦う」話になっていますが、異世界転移、超越的存在、ダイソン球、多種多様な異星人と、オリジナル要素も盛り込みました。 楽しんでもらえたらと思います。 「小説家になろう」「カクヨム」にも公開しています。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

全校転移!異能で異世界を巡る!?

小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。 目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。 周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。 取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。 「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」 取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。 そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。

VRMMOを引退してソロゲーでスローライフ ~仲良くなった別ゲーのNPCが押しかけてくる~

オクトパスボールマン
SF
とある社会人の男性、児玉 光太郎。 彼は「Fantasy World Online」というVRMMOのゲームを他のプレイヤーの様々な嫌がらせをきっかけに引退。 新しくオフラインのゲーム「のんびり牧場ファンタジー」をはじめる。 「のんびり牧場ファンタジー」のコンセプトは、魔法やモンスターがいるがファンタジー世界で スローライフをおくる。魔王や勇者、戦争など物騒なことは無縁な世界で自由気ままに生活しよう! 「次こそはのんびり自由にゲームをするぞ!」 そうしてゲームを始めた主人公は畑作業、釣り、もふもふとの交流など自由気ままに好きなことをして過ごす。 一方、とあるVRMMOでは様々な事件が発生するようになっていた。 主人公と関わりのあったNPCの暗躍によって。 ※ゲームの世界よりスローライフが主軸となっています。 ※是非感想いただけると幸いです。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

銀河の外れで生きる僕と彼女とプラス1匹の冒険

グルクン
SF
まだ10歳の僕は、誰1人いない惑星に辿り着いてしまった。 僕と家族が乗る宇宙船が、なんらかの原因で不時着してしまった為に…… コールドスリープ装置に眠る未だ目覚めない家族のため、僕はこの惑星からの脱出方法、または救助されることを待ち望んでいる。 途方にくれる日々のなかで、ひとりの人工知能(AI)と出会った。 彼女は、船の中に1人でいる僕に温かい手を差し伸べてくれた唯一の存在。僕は家族のため、彼女と2人でこの困難を懸命に生き抜こうと心に誓う。 どうしたら帰れるのか。どうやったら生き延びれるのか。 いくつもの課題があるこの状況をどう打開していこう…… ※毎週日曜日、朝10時に更新します! ※年中行事等がある場合は、その日も更新されます! ※1話あたり1500字以内を目安に書いてます! ※表紙は自作です! ※5/1題名変更しました。(旧題 : この広い宇宙で〜僕と船の物語〜)

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

どうやら世間ではウイルスが流行っているようです!!

うさ丸
SF
高校卒業を切っ掛けに、毒親との縁を断ちきり他県の田舎の山奥にある限界集落で新生活スローライフをスタートした。 順調だと思われた生活に異変が。都心で猛威を振るったウイルスが暴走、感染した人々が狂暴化し魔の手が迫って来る。逃げるべきか、それともこの場に留まるべきか。

処理中です...