10 / 43
自殺前日
しおりを挟む
翌日、久野が晴夏と待ち合わせた戸塚駅の下の改札へ10分前に着くと、すでに晴夏がコインロッカーの前で待っていた。
久野が「晴夏さん、今晩は!」と晴夏に声を掛けると、晴夏が気づき「久野さん早いですね」と言った。久野は「いや光智さんの方こそ」と言った。
久野が「何か今日は雰囲気が違いますね」と言うと、晴夏は「そうですか?」と言った。久野が「取材の時はスーツだったから、昨日はラフな感じだったし……」と言うと、晴夏は恥ずかしそうに「昨日は夜中急に呼び出されたから……」と言い訳した。久野が「今日は可愛らしい服ですね」と言うと晴夏は、ほっぺをちょっと赤くして「そんなお世辞言っても何も出ませんよ!それより、そろそろ行きましょうか」と言って改札口に向かった。
2人は改札を入り右手のエスカレーターを上ると、左手から出る横須賀線の電車が出たばかりだった。晴夏が「電車出たばかりですね……」と言うと、久野が「直ぐに東海道線が来るみたいだし大丈夫ですよ」と言った。2人は次に来た東海道線に乗って1駅、11分ほどすると横浜駅に到着した。
高島屋の前に着き鈴木に電話を掛けると直ぐに「はい、もしもし鈴木ですが」と出た。 晴夏が「高島屋の前に着きました」と言うと、鈴木は「何処かな……?」と聞いた。
晴夏が「スタージュエリーの前あたりに……」と言うと、「あれかな?」と言って鈴木は晴夏に向かって手を振った。晴夏は電話を耳に当てたまま「どうも……」と言ってお辞儀した。
「今晩は、娘さんとは初めましてじゃないけど……こ~んな小さい時に会ってるけど覚えてるかな……?」と言って鈴木は久野にチラッと目をやると「もしかして隣りにいるのは彼氏?」と聞いた。晴夏は顔の前で手を振り「いえいえ、こちら友人の久野さんです」と顔を赤くしながら紹介した。
鈴木は「どうも、鈴木です!」と右手を挙げると「こんな所で立話もなんなんで、何処か入りませんか? 確かその上に不二家があったと思うんだけど……」と歩き出した。
鈴木の提案で不二家に入り、テーブルに着くなり鈴木は「何飲む? コーヒー? 紅茶?」と言った。晴夏がメニューを開くと、久野は「私はアイスコーヒーで!」と言った。すると晴夏も「じゃ~ 私もアイスコーヒーで!」と言った。鈴木は晴夏に「好きな物飲んで良いんだよ、良いの?」と言った。晴夏は「いえ、アイスコーヒーで!」と言うと、鈴木は手を挙げて「すいません!」とウェイトレスを呼ぶと「アイスコーヒーを3つ、以上で!」と頼んだ。
晴夏が「鈴木に、早かったですね」と言うと、鈴木は「新子安のお客さんと打ち合わせが思ったより早く終わったんで、新小安からだと横浜は直ぐだしね」と答えた。3人が他愛ない話しをしてると「お待たせしました、アイスコーヒーになります」と注文したアイスコーヒーが運ばれてきた。
ウェイトレスが「注文は以上で宜しいでしょうか?」と言うと、久野が「はい!」とだけ答えた。ウェイトレスが「それでは、ごゆっくりどうぞ」と言って下がると、これで邪魔されずに本題に入れると、久野はいきなり「ところで最後に光智さんと会われた時、何か変わった様子はありませんでしたか?」と本題に入った。鈴木は「とくに変わった様子は無かったけどなぁ~」と言った。
鈴木は斜め上を見ながら「あの日は、私が幹事で大学の旧友10人くらいで集まったんだけど、飲み始めて直ぐに会社から光智の携帯に連絡が入って、緊急役員会だとかで慶福と急いで引き上げて行ったから」と言った。
久野は『じゃ~最後まで一緒だったのは慶福さんだったのか……? そのあと会社で何かあったのかも……?』と考えていた。すると鈴木が、「でも偉くなると大変だね、あんな時間に呼び出しなんて……」と言った。
晴夏が「慶福さんの連絡先はご存知ですか? 宜しければ教えて頂けるとありがたいのですが……」と聞くと鈴木が「慶福に話し聞きたいんだね? だったら慶福に連絡してあげるよ!」と言ってスーツの胸ポケットから携帯を取り出すと電話を掛けだした。
鈴木は慶福に電話すると「もしもし慶福? 鈴木だけど…… いま光智の娘さんと会ってるんだけどさ、事故前日の光智のことが聞きたいとかで……」と状況を説明した。
それから「俺が幹事で飲み会やった時、光智と一緒に先に帰ったろ!それ話したら慶福にも話し聞きたいみたいでさ、最後一緒だったの慶福だからさぁ~」と鈴木は言った。電話の向こうの声は聞こえず、鈴木の声が店内に響き渡る。2人は周囲のことが気になりながらも、電話する鈴木の顔見つめていた。
「おぉ、ちょっと待ってな!」と言って鈴木は電話を手で押さえると、晴夏に「明日の15時に会社来れるかって」と聞いた。晴夏が「はい、大丈夫です!」と答えると、鈴木は「行けるってよ!」と電話を続けた。
鈴木は「おぉ、受付な! 何か知ってたら教えてやってよ! おぉ、また近々ゴルフでも!」と言って電話を切った。鈴木は「明日会社に着いたら2階の受付で呼び出してくれって」と言った。晴夏は深々と頭を下げ「ありがとうございます」とお礼を言った。
鈴木は「お父さんの会社の場所知ってる? 知らなかったらホームページ見れば解るから」と言った。それから「それで、お父さんまだ入院したままなの?」と聞いた。『何処まで話したら良いんだろう』と思いつつ、晴夏が「まだ会社には連絡してないんですが、一応意識は取り戻しまして……」と答えた。
鈴木は「会社に連絡って解雇されてないの? 事故から1年以上経つよね? 普通の会社なら、解雇されると思うけど……」と鈴木が思わぬところに食いついた。晴夏は「そうなんですか? 先月も父の給料から入院費払ったので、まだ解雇はされてないと思うんですが……」と言いつつ少し不安になった。
鈴木は「さすが大手の役員ともなると待遇が違うね……」と言った。この会話を聞いていた久野は『俺も1年以上休んでるよなぁ…… こんなゆっくり休んでいて大丈夫なのか?』と心配になってきた。
鈴木が時計に目をやると、「お! そろそろ帰らないと!」と言って立ち上がった。晴夏も急いで立ち上がると「わざわざ時間を取って頂いて、本当にありがとうございました」とお辞儀をした。
久野が伝票に手を伸ばすと、鈴木が先に伝票を持って「それでは帰りますか!」とレジの方へと歩きだした。久野が「支払いは私が」と言うと鈴木は「良いから!良いから!外で待ってて」と言って伝票をレジに置いた。
仕方なく2人が店の外で待っていると、鈴木が精算を済ませ店から出てきた。久野が「お幾らでしたか?」と聞くと鈴木は「会社の経費で落とすから大丈夫!気を使わないで」と言って領収書をサイフにしまった。
晴夏は「および立てしておいて、すみません、ご馳走になります」とお辞儀した。久野も申し訳なさそうに「ご馳走さまでした!」と言って頭を下げた。
駅の方へと歩きながら鈴木は「お父さんに退院したら連絡するように伝えといてくれる」と言った。晴夏は『今更失踪の話しをするのも面倒だな』と思い、「はい!」とだけ答えた。
JRの改札近くまで来ると「君達はJR?」と鈴木に聞かれたので、晴夏が「はい、帰りは戸塚なので東海道線か横須賀線で……」と答えると鈴木は「僕は東横線なので、じゃぁここで」と右手をあげて東横線方面へと歩いて行った。
鈴木の背中を見送り、晴夏が「お父さんの失踪の事、話さなくて良かったのかなぁ~?」と言った。久野は「多分鈴木さんは何も知らなそうだったし、良かったんじゃないですか?」と答えた。
「明日は慶福さんから何か聞けると良いけど……」と久野が言うと、晴夏は「そうですね、明日も一緒に来てくれますか?」と久野の顔を覗き込んだ。
久野の脳裏に鈴木の言った一言が浮び「1度会社に顔出しといた方が良いかなぁ~? でも明日は……」と思い直しワンテンポ遅れて「勿論ですよ」と答えた。
久野は「ところでお父さんの会社って……?」と聞いた。晴夏が「あぁ、Σソフトサービスって会社です」と言うのを聞いて久野は一瞬驚いた。「知ってますか?」と晴夏が聞くと、久野は「俺が勤めてるΣじゃパンの系列会社です」と答えた。
「偶然ですね、Σって外資系の大手ですよね、凄いなぁ~」と晴夏が感心した感じで言うと、久野は「全然凄くないですよ、回りは切れる人達ばっかだけど、俺なんて居ても居なくても……」と言った。
晴夏が冗談ぽく「またまたご謙遜(けんそん)を」と言うと、久野は「入社試験で運を全て使い果たしちゃったのかも……」と冗談ぽく返した。
久野が「でも出世は無理かなぁ~」と言うと、晴夏は「何でです? 仕事出来そうなのに」と聞いた。久野は「役員は皆、八咫烏(やたがらす)の人ばかりで、お前も八咫烏に入らないと出世出来ないぞって先輩に言われた事が……」と答えた。
晴夏は「八咫烏? 仕事が出来る出来ないじゃないんだぁ~ でも家の父でもそこそこ出世してるみたいだし大丈夫ですよ!」と言った。「お父さんの役職は?」と久野が聞くと、晴夏は「そ~ ゆ~ の家ではあまり話さないから……」と言った。
「でも明日会う慶福さんて、偉い感じですよね……」と晴夏が言うと、久野は「そっか…… 会社休んでるのに系列会社でチョロチョロしてるのバレたら不味いよなぁ~」と言った。「慶福さんには名前出さない方が良いかな?」と久野が言うと、晴夏は「じゃ~ 明日は単なる友人って事で」と笑顔で答えた。
久野が「晴夏さん、今晩は!」と晴夏に声を掛けると、晴夏が気づき「久野さん早いですね」と言った。久野は「いや光智さんの方こそ」と言った。
久野が「何か今日は雰囲気が違いますね」と言うと、晴夏は「そうですか?」と言った。久野が「取材の時はスーツだったから、昨日はラフな感じだったし……」と言うと、晴夏は恥ずかしそうに「昨日は夜中急に呼び出されたから……」と言い訳した。久野が「今日は可愛らしい服ですね」と言うと晴夏は、ほっぺをちょっと赤くして「そんなお世辞言っても何も出ませんよ!それより、そろそろ行きましょうか」と言って改札口に向かった。
2人は改札を入り右手のエスカレーターを上ると、左手から出る横須賀線の電車が出たばかりだった。晴夏が「電車出たばかりですね……」と言うと、久野が「直ぐに東海道線が来るみたいだし大丈夫ですよ」と言った。2人は次に来た東海道線に乗って1駅、11分ほどすると横浜駅に到着した。
高島屋の前に着き鈴木に電話を掛けると直ぐに「はい、もしもし鈴木ですが」と出た。 晴夏が「高島屋の前に着きました」と言うと、鈴木は「何処かな……?」と聞いた。
晴夏が「スタージュエリーの前あたりに……」と言うと、「あれかな?」と言って鈴木は晴夏に向かって手を振った。晴夏は電話を耳に当てたまま「どうも……」と言ってお辞儀した。
「今晩は、娘さんとは初めましてじゃないけど……こ~んな小さい時に会ってるけど覚えてるかな……?」と言って鈴木は久野にチラッと目をやると「もしかして隣りにいるのは彼氏?」と聞いた。晴夏は顔の前で手を振り「いえいえ、こちら友人の久野さんです」と顔を赤くしながら紹介した。
鈴木は「どうも、鈴木です!」と右手を挙げると「こんな所で立話もなんなんで、何処か入りませんか? 確かその上に不二家があったと思うんだけど……」と歩き出した。
鈴木の提案で不二家に入り、テーブルに着くなり鈴木は「何飲む? コーヒー? 紅茶?」と言った。晴夏がメニューを開くと、久野は「私はアイスコーヒーで!」と言った。すると晴夏も「じゃ~ 私もアイスコーヒーで!」と言った。鈴木は晴夏に「好きな物飲んで良いんだよ、良いの?」と言った。晴夏は「いえ、アイスコーヒーで!」と言うと、鈴木は手を挙げて「すいません!」とウェイトレスを呼ぶと「アイスコーヒーを3つ、以上で!」と頼んだ。
晴夏が「鈴木に、早かったですね」と言うと、鈴木は「新子安のお客さんと打ち合わせが思ったより早く終わったんで、新小安からだと横浜は直ぐだしね」と答えた。3人が他愛ない話しをしてると「お待たせしました、アイスコーヒーになります」と注文したアイスコーヒーが運ばれてきた。
ウェイトレスが「注文は以上で宜しいでしょうか?」と言うと、久野が「はい!」とだけ答えた。ウェイトレスが「それでは、ごゆっくりどうぞ」と言って下がると、これで邪魔されずに本題に入れると、久野はいきなり「ところで最後に光智さんと会われた時、何か変わった様子はありませんでしたか?」と本題に入った。鈴木は「とくに変わった様子は無かったけどなぁ~」と言った。
鈴木は斜め上を見ながら「あの日は、私が幹事で大学の旧友10人くらいで集まったんだけど、飲み始めて直ぐに会社から光智の携帯に連絡が入って、緊急役員会だとかで慶福と急いで引き上げて行ったから」と言った。
久野は『じゃ~最後まで一緒だったのは慶福さんだったのか……? そのあと会社で何かあったのかも……?』と考えていた。すると鈴木が、「でも偉くなると大変だね、あんな時間に呼び出しなんて……」と言った。
晴夏が「慶福さんの連絡先はご存知ですか? 宜しければ教えて頂けるとありがたいのですが……」と聞くと鈴木が「慶福に話し聞きたいんだね? だったら慶福に連絡してあげるよ!」と言ってスーツの胸ポケットから携帯を取り出すと電話を掛けだした。
鈴木は慶福に電話すると「もしもし慶福? 鈴木だけど…… いま光智の娘さんと会ってるんだけどさ、事故前日の光智のことが聞きたいとかで……」と状況を説明した。
それから「俺が幹事で飲み会やった時、光智と一緒に先に帰ったろ!それ話したら慶福にも話し聞きたいみたいでさ、最後一緒だったの慶福だからさぁ~」と鈴木は言った。電話の向こうの声は聞こえず、鈴木の声が店内に響き渡る。2人は周囲のことが気になりながらも、電話する鈴木の顔見つめていた。
「おぉ、ちょっと待ってな!」と言って鈴木は電話を手で押さえると、晴夏に「明日の15時に会社来れるかって」と聞いた。晴夏が「はい、大丈夫です!」と答えると、鈴木は「行けるってよ!」と電話を続けた。
鈴木は「おぉ、受付な! 何か知ってたら教えてやってよ! おぉ、また近々ゴルフでも!」と言って電話を切った。鈴木は「明日会社に着いたら2階の受付で呼び出してくれって」と言った。晴夏は深々と頭を下げ「ありがとうございます」とお礼を言った。
鈴木は「お父さんの会社の場所知ってる? 知らなかったらホームページ見れば解るから」と言った。それから「それで、お父さんまだ入院したままなの?」と聞いた。『何処まで話したら良いんだろう』と思いつつ、晴夏が「まだ会社には連絡してないんですが、一応意識は取り戻しまして……」と答えた。
鈴木は「会社に連絡って解雇されてないの? 事故から1年以上経つよね? 普通の会社なら、解雇されると思うけど……」と鈴木が思わぬところに食いついた。晴夏は「そうなんですか? 先月も父の給料から入院費払ったので、まだ解雇はされてないと思うんですが……」と言いつつ少し不安になった。
鈴木は「さすが大手の役員ともなると待遇が違うね……」と言った。この会話を聞いていた久野は『俺も1年以上休んでるよなぁ…… こんなゆっくり休んでいて大丈夫なのか?』と心配になってきた。
鈴木が時計に目をやると、「お! そろそろ帰らないと!」と言って立ち上がった。晴夏も急いで立ち上がると「わざわざ時間を取って頂いて、本当にありがとうございました」とお辞儀をした。
久野が伝票に手を伸ばすと、鈴木が先に伝票を持って「それでは帰りますか!」とレジの方へと歩きだした。久野が「支払いは私が」と言うと鈴木は「良いから!良いから!外で待ってて」と言って伝票をレジに置いた。
仕方なく2人が店の外で待っていると、鈴木が精算を済ませ店から出てきた。久野が「お幾らでしたか?」と聞くと鈴木は「会社の経費で落とすから大丈夫!気を使わないで」と言って領収書をサイフにしまった。
晴夏は「および立てしておいて、すみません、ご馳走になります」とお辞儀した。久野も申し訳なさそうに「ご馳走さまでした!」と言って頭を下げた。
駅の方へと歩きながら鈴木は「お父さんに退院したら連絡するように伝えといてくれる」と言った。晴夏は『今更失踪の話しをするのも面倒だな』と思い、「はい!」とだけ答えた。
JRの改札近くまで来ると「君達はJR?」と鈴木に聞かれたので、晴夏が「はい、帰りは戸塚なので東海道線か横須賀線で……」と答えると鈴木は「僕は東横線なので、じゃぁここで」と右手をあげて東横線方面へと歩いて行った。
鈴木の背中を見送り、晴夏が「お父さんの失踪の事、話さなくて良かったのかなぁ~?」と言った。久野は「多分鈴木さんは何も知らなそうだったし、良かったんじゃないですか?」と答えた。
「明日は慶福さんから何か聞けると良いけど……」と久野が言うと、晴夏は「そうですね、明日も一緒に来てくれますか?」と久野の顔を覗き込んだ。
久野の脳裏に鈴木の言った一言が浮び「1度会社に顔出しといた方が良いかなぁ~? でも明日は……」と思い直しワンテンポ遅れて「勿論ですよ」と答えた。
久野は「ところでお父さんの会社って……?」と聞いた。晴夏が「あぁ、Σソフトサービスって会社です」と言うのを聞いて久野は一瞬驚いた。「知ってますか?」と晴夏が聞くと、久野は「俺が勤めてるΣじゃパンの系列会社です」と答えた。
「偶然ですね、Σって外資系の大手ですよね、凄いなぁ~」と晴夏が感心した感じで言うと、久野は「全然凄くないですよ、回りは切れる人達ばっかだけど、俺なんて居ても居なくても……」と言った。
晴夏が冗談ぽく「またまたご謙遜(けんそん)を」と言うと、久野は「入社試験で運を全て使い果たしちゃったのかも……」と冗談ぽく返した。
久野が「でも出世は無理かなぁ~」と言うと、晴夏は「何でです? 仕事出来そうなのに」と聞いた。久野は「役員は皆、八咫烏(やたがらす)の人ばかりで、お前も八咫烏に入らないと出世出来ないぞって先輩に言われた事が……」と答えた。
晴夏は「八咫烏? 仕事が出来る出来ないじゃないんだぁ~ でも家の父でもそこそこ出世してるみたいだし大丈夫ですよ!」と言った。「お父さんの役職は?」と久野が聞くと、晴夏は「そ~ ゆ~ の家ではあまり話さないから……」と言った。
「でも明日会う慶福さんて、偉い感じですよね……」と晴夏が言うと、久野は「そっか…… 会社休んでるのに系列会社でチョロチョロしてるのバレたら不味いよなぁ~」と言った。「慶福さんには名前出さない方が良いかな?」と久野が言うと、晴夏は「じゃ~ 明日は単なる友人って事で」と笑顔で答えた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
どうやら世間ではウイルスが流行っているようです!!
うさ丸
SF
高校卒業を切っ掛けに、毒親との縁を断ちきり他県の田舎の山奥にある限界集落で新生活スローライフをスタートした。
順調だと思われた生活に異変が。都心で猛威を振るったウイルスが暴走、感染した人々が狂暴化し魔の手が迫って来る。逃げるべきか、それともこの場に留まるべきか。
VRMMOを引退してソロゲーでスローライフ ~仲良くなった別ゲーのNPCが押しかけてくる~
オクトパスボールマン
SF
とある社会人の男性、児玉 光太郎。
彼は「Fantasy World Online」というVRMMOのゲームを他のプレイヤーの様々な嫌がらせをきっかけに引退。
新しくオフラインのゲーム「のんびり牧場ファンタジー」をはじめる。
「のんびり牧場ファンタジー」のコンセプトは、魔法やモンスターがいるがファンタジー世界で
スローライフをおくる。魔王や勇者、戦争など物騒なことは無縁な世界で自由気ままに生活しよう!
「次こそはのんびり自由にゲームをするぞ!」
そうしてゲームを始めた主人公は畑作業、釣り、もふもふとの交流など自由気ままに好きなことをして過ごす。
一方、とあるVRMMOでは様々な事件が発生するようになっていた。
主人公と関わりのあったNPCの暗躍によって。
※ゲームの世界よりスローライフが主軸となっています。
※是非感想いただけると幸いです。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
常世の狭間
涼寺みすゞ
キャラ文芸
生を終える時に目にするのが
このような光景ならば夢見るように
二つの眼を永遠にとじても
いや、夢の中で息絶え、そのまま身が白骨と化しても後悔などありはしない――。
その場所は
辿り着ける者と、そうでない者がいるらしい。
畦道を進むと広がる光景は、人それぞれ。
山の洞窟、あばら家か?
それとも絢爛豪華な朱の御殿か?
中で待つのは、人か?幽鬼か?
はたまた神か?
ご覧候え、
ここは、現し世か?
それとも、常世か?
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
堕天使と悪魔の黙示録
RYU
SF
〜舞台は23世紀の超巨大都市『メガ・メガロポリス』〜
アンドロイドが自由意思を持ち、彼等は人間社会を蹂躙し人類にとって驚異となる存在となっていた時代ー。
とあるメカオタクで女嫌いな青年は、過去のトラウマから心を閉ざし誰にも関心を示さず、日々マシンの組み立てと整備の仕事に精力を注いでいた。
そして、転機は訪れるー。
彼はとあるバイクレースに出場し、過去の事件の重大な鍵を握る因縁の相手に遭遇した。そこで、自分の複雑な生い立ちや、アンドロイドに仲間や育ての親を殺された悲惨な過去のの全容が明るみに出てくるのであった。
そんな中ー、亡くなった初恋の人にそっくりの顔貌の童顔の女性と対峙し行動を共にする事になる。
彼女は、こう言い放つ。
『私があなたを守りますからー。』
彼女は宿敵の鍵を握っており、戦闘能力は次元を超えたレベルだった。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
全校転移!異能で異世界を巡る!?
小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。
目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。
周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。
取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。
「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」
取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。
そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。
Arseare ~創魔の術師が行なう魔術観光~
柿の種
SF
プレイヤーがアイテムから魔術を創造し、魔の頂を目指すVRMMO『Arseare』。
世界は魔力に満ちていて魔術は常に人のすぐ傍に存在する世界で、主人公である彼女は何を見るのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる