上 下
10 / 21

嫉妬

しおりを挟む
   それから数日経った夜遅くに、悠斗から「先輩に公園に呼び出されたから、話し合って来る」と武の携帯にメールが届いた。武はメールを見ると「1人で大丈夫かな……」と呟いた。武は好きなアニメのDVDを観ていたが、悠斗の事が気になって仕方がない。武は「ちょっと様子見に行くか!」と家を出ると、公園まで自転車を走らせた。

    武がアニメのDVDを観ていたころ、中川が後輩2人を引き連れて悠斗が来るのを待っていた。悠斗が公園に到着し「こんばんは、用事って何ですか?」と中川に声を掛けた。すると中川は「服脱げよ!」と言った。悠斗は訳が分からず「何で服脱がなきゃいけないんですか?」と言った。

    中川が「良いから早く脱げよ!」と言うと、悠斗は「俺、中川さんに何か悪い事しましたか?    だったら謝るんで理由を教えてください」と言った。中川は「お前が気に入らないだけで、理由なんてね~よ!」と言った。悠斗が「理由が無くてこんな事……」と中川に反論しかけた時、中川が「自分じゃ脱げないみたいだから、お前達手伝ってやれ!」と言った。悠斗は「止めてください」と抵抗したが、中川に言われ後輩2人に押さえつけられ服を脱がされてしまった。

    中川は「そいつを噴水に放り込め!」と言った。後輩の1人が「いくら何でもやり過ぎじゃないですか?」と言うと、中川は「じゃぁ~   お前が代わりに入るか?」と言った。後輩達は仕方なく悠斗を噴水へと投げ込んだ。

    1月の噴水の水温は零度を割っており、悠斗は「勘弁してください」と言って噴水から出ようとすると、中川は「誰が出て良いって言った!?」と言って悠斗を蹴り、噴水から出してはくれなかった。

    そんな事を何度か繰り返すうちに、夜風が噴水の冷たい水で濡れた身体から悠斗の体温をみるみる奪って行った。唇が紫色になりブルブル震える悠斗を見て、後輩が「これ以上やったら死んじゃいますよ」と言った。中川はそれでも笑って「そこの鉄棒に縛り付けろ!」と後輩に命令した。

 とばっちりを受けたくない後輩達は、仕方なく中川の言う通り悠斗を鉄棒に縛り付けた。悠斗は既に抵抗する事も出来なくなっていた。そんな悠斗に追い討ちを掛けるかの様に、中川は「お前なんて居なくなれば良いんだ!」と言って悠斗の腹を殴った。そんな中川を後輩達は止める事も出来ず、ただ見ているだけだった。

 そこへ武が公園に到着し「何やってるんだ!」と言って中川を突き飛ばした。中川が「何だお前は! 邪魔するな!」と言った。武が「お前ら何やってるか分かってるのか?」と言うと、中川は「お前も同じ目に会いたいのか!?」と言った。武が「お前らには想像力ってもんが無いのか? 自分が同じ事されたらとか考え無いのか!?」と言うと、中川は「お前達そいつを黙らせろ!」と後輩達に命令した。

 襲いかかる後輩達を払い除けながら武は「悠斗にもしもの事があったらお前らも共犯だからな! 分かってるのか?」と言った。そして中川を睨み付けると「お前だけは絶対に許さない!」と言った。中川が「お前に何が出来ると言うんだ!」と叫んだ瞬間、武の頭の中で「こいつだけはヤバイ、逃げろ!」と声がした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性転換タイムマシーン

廣瀬純一
SF
バグで性転換してしまうタイムマシーンの話

ちょいダン? ~仕事帰り、ちょいとダンジョンに寄っていかない?~

テツみン
SF
東京、大手町の地下に突如現れたダンジョン。通称、『ちょいダン』。そこは、仕事帰りに『ちょい』と冒険を楽しむ場所。 大手町周辺の企業で働く若手サラリーマンたちが『ダンジョン』という娯楽を手に入れ、新たなライフスタイルを生み出していく―― これは、そんな日々を綴った物語。

性転換ウイルス

廣瀬純一
SF
感染すると性転換するウイルスの話

SEVEN TRIGGER

匿名BB
SF
20xx年、科学のほかに魔術も発展した現代世界、伝説の特殊部隊「SEVEN TRIGGER」通称「S.T」は、かつて何度も世界を救ったとされる世界最強の特殊部隊だ。 隊員はそれぞれ1つの銃器「ハンドガン」「マシンガン」「ショットガン」「アサルトライフル」「スナイパーライフル」「ランチャー」「リボルバー」を極めたスペシャリストによって構成された部隊である。 その中で「ハンドガン」を極め、この部隊の隊長を務めていた「フォルテ・S・エルフィー」は、ある事件をきっかけに日本のとある港町に住んでいた。 長年の戦場での生活から離れ、珈琲カフェを営みながら静かに暮らしていたフォルテだったが、「セイナ・A・アシュライズ」との出会いをきっかけに、再び戦いの世界に身を投じていくことになる。 マイペースなフォルテ、生真面目すぎるセイナ、性格の合わない2人はケンカしながらも、互いに背中を預けて悪に立ち向かう。現代SFアクション&ラブコメディー

ヒト・カタ・ヒト・ヒラ

さんかいきょー
SF
悪堕ち女神と、物語を終えた主人公たちと、始末を忘れた厄介事たちのお話。 2~5メートル級非人型ロボット多目。ちょっぴり辛口ライトSF近現代伝奇。 アクセルというのは、踏むためにあるのです。 この小説、ダイナミッ〇プロの漫画のキャラみたいな目(◎◎)をした登場人物、多いわよ? 第一章:闇に染まった太陽の女神、少年と出会うのこと(vs悪堕ち少女) 第二章:戦闘機械竜vsワイバーンゴーレム、夜天燃ゆるティラノ・ファイナルウォーズのこと(vsメカ恐竜) 第三章:かつて物語の主人公だった元ヒーローと元ヒロイン、めぐりあいのこと(vsカブトムシ怪人&JK忍者) 第四章:70年で出来る!近代国家乗っ取り方法のこと/神様の作りかた、壊しかたのこと(vs国家権力) 第五章:三ヶ月でやれる!現代国家破壊のこと(vs国家権力&人造神) シリーズ構成済。全五章+短編一章にて完結

性転換マッサージ

廣瀬純一
SF
性転換マッサージに通う人々の話

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

NPCが俺の嫁~リアルに連れ帰る為に攻略す~

ゆる弥
SF
親友に誘われたVRMMOゲーム現天獄《げんてんごく》というゲームの中で俺は運命の人を見つける。 それは現地人(NPC)だった。 その子にいい所を見せるべく活躍し、そして最終目標はゲームクリアの報酬による願い事をなんでも一つ叶えてくれるというもの。 「人が作ったVR空間のNPCと結婚なんて出来るわけねーだろ!?」 「誰が不可能だと決めたんだ!? 俺はネムさんと結婚すると決めた!」 こんなヤバいやつの話。

処理中です...