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挑戦

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 也沙が考える間も無く、司会者が「天願さん、10億円獲得のチャンスです! 挑戦しますか?」と言った。也沙がまだ呆然としていると、司会者が「天願さん、どうしますか? 挑戦しますか?」と言った。

 也沙は名前を呼ばれ我に返り「はい」と返事をした。すると司会者が「それでは10億円に挑戦して頂きましょう!」と言った。気が付けば也沙は10億円に挑戦する事になってしまった。
 
 すると中央にあるアーチのカーテンが開き1人の男がマイクを持って現れた。也沙は、その男を見て「お兄ちゃん」とつぶやいた。そこに居たのは紛れも無く神野だった。

 也沙が「お兄ちゃんが社長だったの!」と驚いていると、神野が「それでは紹介しましょう、ΣジャパンCEOの津山敏之です」と言った。その手が指した場所は、先程まで米山が居たプレイヤーのテーブルがあり、その前には司会者が立っていた。也沙は「社長さんが司会してたの!?」と更に驚いた。
 
 そして神野は「ここからは津山に代わってAlternativeの産みの親である私、神野未来が司会を務めさせて頂きます」と言った。也沙は『社長もだけど、お兄ちゃんもどんだけ目立ちたがりよ』と思った。
 
 神野が「それでは天願さん、この勝負に勝つ自信は?」と聞いた。也沙は「自信なんて……」と言うと、今度は「それでは意気込みを聞かせて下さい」と言った。

 也沙が「意気込みって言われても……」と言うと、神野は「天願さんは訳あって、お母様が休む間も無く働いて天願さんを養っておられるのですが、先日お母様が倒れられて、それで賞金でお母様の負担が無くなればと応募されたんですよね?」と言った。

 也沙は『そんなお涙頂戴みたいに話さなくても……』と思った。也沙が「はぁ」と言うと、神野は「お母様の為にも頑張って下さい」と言った。

 このやり取りに苛々したのか津山が「も~ その辺で、早く始めなさい」と言った。神野は「大変失礼いたしました、それでは天願さん準備が出来たらお願いします」と言った。

 それから少し間を置いて「天願さん準備は宜しいですか?」と神野が言った。也沙が「はい」と言うと、神野が「それでは10億円チャレンジのスタートです!」と言った。

 也沙は『そんな引張らないでも……』と思った。津山も思いは同じらしく、苛々とした表情を浮かべていた。

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