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前編
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私、蒼崎典子は8月中盤の空の下、必死に寒さをこらえていた。
寒いなら服を着ればいい。その理論が通用するのは周りの人も寒いと思っている場合だけだ。
なんてったって今は夏真っ盛り。こんな日に服を着こんでいる人は頭がアレだと思われてしまうだろう。
とにかく、早く帰ろう。
そそくさと歩いていたら、通り道の結婚式場から楽しそうな声が聞こえてきた。
花嫁と花婿を祝う声。
この宴を心の底から楽しむ声。
『結婚』。素敵な言葉ではあるが、実際に結婚してみるまではわからない苦労があるものだ。
彼らのいい未来を祈りながら私は近くの自販機に寄る。
寒い時にはコーンスープがマストだ。
私はコインを入れて、コーンスープのボタンを押す。
これであったくなれる。そう思ったのも束の間、私はコーンスープを飲むことは出来なかった。
「うわぁぁぁ!」
後ろから悲鳴が聞こえた。
私は後ろを振り向く。
――――最悪だ!
私はコーンスープの缶を軽く握りつぶしてしまう。
目線の先には、黒い人型の『何か』がいた。
何かは私の2倍ほどの大きさで、周りの人に威圧感を感じさせる。
さらに、『何か』は青の粒子を飛ばし、周囲の人を攻撃し始めた。
「助けてくれ!」
「なんなんだあいつ!?」
逃げ去る周囲の人に紛れて、私もその場を立ち去る。
ここで下手に立ち向かいでもしたら変な目で見られてしまう。
ポケットの中に手を突っ込み、私はリングを薬指につける。
たっく、こんなところで力を使うつもりじゃなかったのに!
「のいて下さい!」
人を押しのけ、私は路地裏に入る。
そして、一言つぶやいた。
「いくよ。ダーリン」
寒いなら服を着ればいい。その理論が通用するのは周りの人も寒いと思っている場合だけだ。
なんてったって今は夏真っ盛り。こんな日に服を着こんでいる人は頭がアレだと思われてしまうだろう。
とにかく、早く帰ろう。
そそくさと歩いていたら、通り道の結婚式場から楽しそうな声が聞こえてきた。
花嫁と花婿を祝う声。
この宴を心の底から楽しむ声。
『結婚』。素敵な言葉ではあるが、実際に結婚してみるまではわからない苦労があるものだ。
彼らのいい未来を祈りながら私は近くの自販機に寄る。
寒い時にはコーンスープがマストだ。
私はコインを入れて、コーンスープのボタンを押す。
これであったくなれる。そう思ったのも束の間、私はコーンスープを飲むことは出来なかった。
「うわぁぁぁ!」
後ろから悲鳴が聞こえた。
私は後ろを振り向く。
――――最悪だ!
私はコーンスープの缶を軽く握りつぶしてしまう。
目線の先には、黒い人型の『何か』がいた。
何かは私の2倍ほどの大きさで、周りの人に威圧感を感じさせる。
さらに、『何か』は青の粒子を飛ばし、周囲の人を攻撃し始めた。
「助けてくれ!」
「なんなんだあいつ!?」
逃げ去る周囲の人に紛れて、私もその場を立ち去る。
ここで下手に立ち向かいでもしたら変な目で見られてしまう。
ポケットの中に手を突っ込み、私はリングを薬指につける。
たっく、こんなところで力を使うつもりじゃなかったのに!
「のいて下さい!」
人を押しのけ、私は路地裏に入る。
そして、一言つぶやいた。
「いくよ。ダーリン」
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