妻は六英雄だが俺はしがない道具屋です

どらごんまじっく

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東へ向かう二人5日目 アリナ視点

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「ごめんなさいね、今日はこことここの部屋しか空いてないの」
宿屋のおばちゃんが指差した二つの部屋は一部屋を間に挟んだ場所で、隣同士ではなかった……
「そ……そうですか……ちょっと他の宿も行ってみますので……」
「そうかい、その時には空いてないかもしれないよ」
「ごめんなさい」

そう言っておばちゃんの宿を後にした……
「どうした、空いてなかったのか」
ゼロスが手ぶらで出てくる私を見てそう聞いてきた。
「うん……その先にも宿があるからちょっと言ってみようよ……」
また嘘を付いてしまった……

次で隣同士の部屋が空いてたのでそこに入った──

「ゼロス……ちょっと聞いていい」
「何だ、腹いっぱいでそれ食えねえのか」
「違うわよ……あのさぁ、私の部屋……どうかな……覗いて楽しい?」
「何聞いてんだよ……もしかしてお前、覗かれ楽しいとか思ってんじゃねえだろな」
「なぁ……そんなことあるわけないでしょ! ちょっとサービスしてあげてるからどうかなって聞いただけよ!」
「ふん、あれがサービスかよ、あんな子供騙しで俺が興奮するとでも思ったのかよ」
「子供騙しですって……いいわ、わかりました! 今日は絶対に興奮させてみせるから覚悟しなさい!」
「へん、無理、無理、どうやっても不可能だ」
「今のうちに言ってなさい!」

ふざけたこと言って……私がどれだけ恥ずかしい思いをして下着を見せてると思ってるのよ……何が子供騙しよ……今日はあっと言わせてみせるんだから……

部屋に戻ると砂時計を逆さにして、時間を測る……まだ、覗きの時間まではあるけど、私はすぐに下着姿になった……

砂時計の砂が全て落ちた……私は砂時計をもう一度逆さに返して、ゼロスの部屋の壁に向かってたった……そしてそのまま体をクネクネといやらしくくねらせながら、下着をゆっくり外していった……

ヒュレルは美乳と言ってくれる形の良い乳房があらわになる……よほど恥ずかしいのか、私の乳首はすでにピンと立っていた……やだ……これをゼロスに見られている……そう考えると強烈に恥ずかしくなってきた……

さらに下の下着にも手をかける……それをゆっくり下ろしていこうとした……
ドンドンドンっ!
激しくドアを叩く音が響いた。
「おい! アリナ! ここを開けろ!」
やだ……ゼロス……どうしてくるのよ……もしかして私の裸に興奮して襲いにきたの……
少し躊躇したが、このままだとドアを壊されそうな勢いだったので、仕方なく開けた……ドアを開けると、勢いよく入ってきたゼロスは、白いシーツを私に投げた。
「馬鹿野郎! それで体を隠しやがれ!」
「ど……どうしたのよゼロス……私の裸……見たくないの……」
「本当に大馬鹿やろうだな! お前は六英雄のアリナだろ! 俺の好きなアリナは、気品があって、清潔で、誰にでも優しい女神のようなやつなんだよ! 男が覗いてるのに、情婦みたいに服を脱ぐような真似なんて絶対にしねえ!」

その言葉は、私の中にあった全てのゼロスのイメージを叩き壊した……
「だ……だって……私……」
「いいか、俺がお前の部屋を覗きにたいのは、女の裸が見たいからじゃねえんだよ、俺はアリナを見たいから覗いてるんだ……それはちょっとした仕草や、寝顔やあくびする姿なんだよ……」
驚いた……本当に私はゼロスを理解してなかったようだ……もしかしてゼロスは純粋に私を思ってくれてるの? 私を大事に思っているの? そうだとすれば私……
「ごめん……私が悪かったわ……」
そう謝罪すると、ゼロスに笑顔が戻った……
「わかりゃいいのよ、でもよ、俺に抱かれる為に裸になるっていうなら喜んで見てやるぜ」
「バカ……」
どうしたんだろ……私のドキドキが止まらない……あんなに不快だったゼロスの笑顔が今はたまらなく愛おしく見えてしまった……
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