妻は六英雄だが俺はしがない道具屋です

どらごんまじっく

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東へ向かう二人3日目 アリナ視点

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「おっ、今日の宿は部屋が隣同士なんだな」
「仕方ないでしょ、そこしか空いてなかったんだから……」
本当はすごく離れている部屋が空いていたけど、あまりに離れすぎていて、何かあった時に困るので隣同士の部屋をとったのだ……だけど……そう店主から聞いたときに、私はなぜか迷わず隣同士の選択をしていた……

その宿の食事はかなりクオリティーが高く、いつもブツブツ文句の言うゼロスも絶賛するほどに美味しかった。
「久しぶりに美味いもの食えたな」
「そうね、本当に美味しかったよ……」
「これも全て、俺と部屋が隣になったおかげだな」
「……何って言ってるのよ、そんなの関係ないでしょ!」
「それがあるんだよ、いいか、今日は俺と隣だとウキウキする、すると自然と食べるものも美味しく感じる……ほらな、関係あるだろ」
「意味不明! じゃあ、あんたも私の隣だからウキウキしたってことになるわよ」
「だから言ってんじゃねえか、自分がウキウキしてるからそう考えてるに決まってるだろ」
「何よそれ……どうして部屋が隣ってだけでウキウキなんてするのよ……」
「ヘヘヘッ……寝顔が見れるだろ……」
「ちょっと……覗きなんて恥ずかしいことしないんじゃなかったの」
「ふっ……そんなこと言ったけ?」
「ダメだからね、絶対覗いたらダメだよ!」
「へへへっ……まあ、そうだな、それじゃ、こうしないか、覗く時間を決めるってのは……」
「え……どう言う意味?」
「だからよ、この時間だけはお互い覗いていいって時間を決めるんだよ、だけど、それ以外は神に誓って絶対に覗かないって約束するんだ」
覗かれるのは絶対嫌だけど、勝手に覗かれるより、覗かれてるってわかる方が対処はできるわね……
「いいわ、そうしましょう……だけど! その時間以外は絶対に覗いたらダメだからね」
「わかったよ、ここで神に誓う」

ゼロスが部屋に戻って私に渡してきたのは小さな砂時計だった……
「それで二時の時間が測れる、部屋に戻って裏返して、砂が下に全部落ちたら、砂時計をひっくり返して覗きスタートだ……もう一度砂が全部下に落ちるまでが覗き時間ってことにしようぜ」
「わかったわ」

部屋に戻ると、私は砂時計を置いた……今は覗かれている心配はない……今のうちにお風呂に入ったり、着替えをしたりして覗かれて嫌なことを済ませておく……

そんな用事を済ませて砂時計を見ると、砂が全部落ちていた……
「やだ……もう覗いてるかもしれないじゃないの……」
急いで砂時計をひっくり返すと、ベッドに横になった……

……うん……気になるな……本当に覗いてるのかしら……あんなこと言っても意外に紳士なとこあるし……覗きなんてしてないよね……

私は壁を見て想像する……あの辺から見てるのかな……どうだろ……ちょっと私の下着とか見えたらどんな反応するだろ……ガタッとか音がするかな……

そんな感じでイタズラ心が湧いてきた私は、ちょっとだけ下着を見せようか考えてしまう……

ちょっとだけならいいよね……そう思い、私は寝る時に着用するゆったりしたズボンを少しだけずらした……

……反応はない……本当に覗いてるの? 仕方ない……もうちょっとだけとズボンをずらせ、さらに上着のボタンを外した……

ガタッ……

おっ! やった……音がした……この反応で満足した私は、その格好のまま眠りについた……
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