妻は六英雄だが俺はしがない道具屋です

どらごんまじっく

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東へ向かう二人2日目 アリナ視点

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「今日泊まる予定の町は、ピーマンが名産らしいぞ」
「ちょっとやめてよね……もしそこで泊まるとしても、私は絶対食べませんからね」
「また、あ~んしてくれるなら俺が食べてやるよ」
いたずらっ子ぽく言うゼロスの表情に、昨日のあ~ん後の笑顔が重なる……それも悪くないか……ふと、そう思っていた……

そのピーマンが有名な町へと到着して、宿をとると、まだ時間が早いこともあって、私とゼロスはその町を散策する事にした。
「ほら、アリナ見てみろよ、ピーマン饅頭だってよ」
店頭ののぼりに書いてる文字を見て、ゼロスがからかい気味にそう言ってくる。
「だからピーマンの話はやめてよ……」
「ヘヘヘッ……あの六英雄のアリナさまにそんな弱点があるとはな」
「もう……次にピーマンの話題したら怒るからね」
「おぉー怖い怖い……じゃあ、お詫びにあれ買ってやるよ」
そう言って指差したのは冷たい冷やし菓子だった……
「あら、いいわね……暑いし丁度あんなのが欲しかったのよ」

ゼロスは私と自分の分を購入すると、ほらっと言って渡してくれた……冷やし菓子は冷たくて甘く、かなり美味しい。
「うめえなコレ……もう一個買うか……」
その言葉は冗談かと思ったけど、食べ終わったら本当にもう一個買いにいった。

「そんなに食べたらお腹壊すわよ」
「ヘヘヘっ……そうなったら看病してくれよな」
「もう……馬鹿なことばっかり……それより見て、何かしらあれ……この町特有の風習かしら……」
私が見つけたのは、網状の壁に無数にリングロックが設置されている妙な場所だった……
「なんだろうな……儀式か何かもしれねえが……」
「ちょっと見て、このリングロック……どれもこれも二つひと組で繋がって付けられてるわね……何か意味があるのかしら……」

近くにリングロックを販売している露店があったので、私はそこでどう言う意味があるのか聞こうとした……
「二つで500ですよ」
露店のおばあちゃんは、私が話しかけた瞬間、販売価格を提示してきた。
「いや、購入ではなくて……あれはどう言う意味があるのですか」
「見りゃわかるだろ、二つひと組で繋げてつけるんだよ、ほら、買うのか買わないのかどうするんだい」
「か……買います……」
勢いに負けて購入してしまった……

「それでどうゆう意味があるんだ」
「知らないけど二つひと組でそこに付けるんだって……」
「なんだよそれ……まあいい、ほら、一個よこせよ」
そう言ってゼロスにリングロックを一つ取られた。

網状の壁に、ゼロスがリングロックを付けると、そのリングロックと壁を繋ぐように私のリングロックを設置した……
「……これでどうなるんだ」
「……さぁ……」
そう困っていると、観光客風のカップルが話しかけてくれた。
「それは恋人壁面って呼ばれる場所ですよ、そこに二つひと組でリングロックを設置すると、必ず二人は結ばれるって話です」

「ちょっと待ってよ! 無し! このリングロック無しよ!」
私が慌ててそのリングロックを外そうとするが、どうやらこれは設置だけする為のものらしく鍵がないらしい……
「いいじゃねえか、アリナと俺が結ばれる……ヘヘヘッ……」
ゼロスのそんな無邪気な笑顔を見てると、まあ、ただの迷信だし……これはこれでいいか……そう思ってしまった……

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