妻は六英雄だが俺はしがない道具屋です

どらごんまじっく

文字の大きさ
上 下
55 / 90

東へ向かう二人1日目 アリナ視点

しおりを挟む
ゼロスとの二人っきりの馬車では、今までの関係が嘘のように打ち解けて話ができていた……
「そうか、お前の旦那、そんな奴なんだな」
「そう……本当にお人好しで、全然儲けとか考えてないから、お店はいつも火の車よ……」
「そりゃ大変だな、まあそれでも六英雄の嫁さん貰ってるくらいだから、根はしっかりしてんだろ」
「どうかしら……あまりそんな風には考えたことないから……ヒュレルはヒュレル……彼以上でも彼以下でもない……ヒュレルって存在が私は好きなの……」
「惚気てくれるね~妬いちまうじゃねえか」
「どうしてあなたが妬く必要があるのよ……」
「ヘヘヘッ……まあ、いいじゃねえか」

話は終始盛り上がり、あっという間に今日、宿泊予定の町へと到着した。
「相部屋じゃねえのか」
「そんなわけないでしょ! 別々よ! しかも隣の部屋でもありません!」
「なんだよ寂しいな……せめて隣の部屋にしろよな」
「バカ言わないで、どこの宿も壁なんて隙間だらけなんだから、隣も嫌よ」
「ほほう……宿の壁って隙間だらけなんだ……それは知らなかったな……お前、どうしてそんな事知ってるんだ」
「え! いや……女はね、プライベートに敏感なのよ、そんなの気づくに決まってるでしょ!」
「なるほどな……まあ、壁が隙間だらけってのはいい事聞いた、今度、アリナの隣の部屋になったらお前の寝顔を覗いてやるよ」
「そんなのやめてよね!」
「ヘヘヘッ……冗談だよ、覗きなんてセコイことするかよ」
その言葉にちょっと心が痛い……

部屋は別だが、食事の席は別にする理由がないので、ゼロスと食べる事になった……

「おい、ピーマンどうして残してんだよ」
なぜか皿の端に避けているピーマンを見て、ゼロスがそう言ってきた。
「昔から嫌いなのよ……」
「馬鹿野郎! ピーマンは体にいいんだぞ! 残すなんてもったいない!」
「そうかもしれないけど、私は食べれないの!」
「食べるまで部屋に戻ったらダメだぞ」
「どうしてそんな話になるのよ……」
「いいから食べなさい!」
「もったいないって理由ならあなたが食べればいいでしょ!」
「ほほう……俺に食べて欲しいと……なら、そのスプーンであ~んして食べさせてみろよ」
「ええ! 嫌よそんなの……」
「だったら自分で食べろよ」
「…………もう……ほら、あ~ん」
仕方ないので、スプーンにピーマンを乗せて、ゼロスにあ~んしてあげる……ゼロスはそれを食べると何が嬉しいのか笑顔になっていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

処理中です...