妻は六英雄だが俺はしがない道具屋です

どらごんまじっく

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空白1 ルーリエ視点

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ヒュレルが、どんな手品を使ったか知らないけど、山賊から私を解放してくれた……私はとにかくヒュレルを助けたい一心で、助けを求める為に町へと向かった……

「ルーリエ!」
そう声をかけられたのは、町近くの街道でのことである。
「ジアーノンさん……ヒュレルが……ヒュレルが大変なんです!」
見知った顔に、私は心から安堵した……
「すぐにヒュレルを助けに行こう! 場所は覚えてるかい」
「はい、大丈夫です!」

六英雄のジアーノンさんなら、山賊なんて相手ではないだろう……これでもうヒュレルは助かる……私はそう考えていた……
「ここで間違い無いのか……」
「はい……確かにここの洞窟でした……」
「……どうやら移動したみたいだね……仕方ない、この辺りを探してみよう」

こうして私たちは周辺を探索したけど、ヒュレルを見つけることはできなかった……
「ルーリエ、もう日が暮れる……今日はここまでにして、町に戻ろう」
「でも……ヒュレルが……」
「山賊は人質を金に変えるまでは、そう簡単には害を与えたりはしないよ」
「それでも私は彼が心配で……私……うっ……ううっ……」
泣き出す私を、ジアーノンさんはそっと抱きしめてくれた……そして子供をあやすように優しく頭を撫でる……不思議とそうされると安心した……

町に戻ってきた私たちは、宿に宿泊することにした……
「私の部屋は隣だから、何かあったらすぐに言ってくれ」
「はい……」

部屋のベッドに横になっても、考えるのはヒュレルの事ばかりだった……心配で自然と涙が溢れてくる……

そんな時、ドアがノックする音が聞こえる。
トントン……
「ルーリエ、私だよ、ちょっといいかな」
ジアーノンさん……

私はドアを開けた……するとそこには、お酒と、ちょっとした食べ物を持ったジアーノンさんが立っていた。
「やっぱり心配でね、一人でいると彼のこと考えちゃうでしょ、だから私と気晴らしでもしないか」
ジアーノンさんの気遣いが嬉しかった……私はジアーノンさんを部屋に招き入れる……

お父さんの付き合いで、お酒はそこそこ飲める……ジアーノンさんはそれほどお酒に強いわけでは無いようで、チビチビと飲んでいた……
「ヒュレルとはいつからそんな関係になったんだい」
ジアーノンさんは唐突に私とヒュレルの関係を聞いてきた。
「ええ! 私たちは幼馴染で……彼にはアリナがいるし……そんな……」
「大丈夫、アリナには言わないよ、確かに彼はいい奴だよね、君が惚れるのもわかるよ」
「……はい……私……ヒュレルを愛してるんです……」

お酒の力もあってか、私はそう告白した……
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