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戦いの後 アリナ視点
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元々のターゲットだったアルカディアは、法力も魔力も使い果たして、完全に無防備になった私に襲いかかる……目の前にアルカディアの燃え盛る炎の腕が迫った時、太い叫び声が響渡った──
「馬鹿野郎!」
そう言いながら助けに入ってきたのはゼロスであった……彼は愛刀の神剣ロヴァルディの防御方陣を発動させながら私に抱きついてくる。
ロヴァルディの防御方陣は完全防御、一瞬だがどんな攻撃も防ぐことができる……だが、その使用する魔力と体力は膨大なもので、一度の戦闘で一度しか使用することができない。
ゼロスは私を太い腕で抱き寄せる……戦いの中でのことだが、その暖かい腕の温もりと、普段見せない真剣な表情に、なんとも言えない安心感が溢れてきた……
「防御方陣でアルカディアの攻撃を防いだら、一斉に攻撃をするぞ……最後の力を絞り出せ!」
ゼロスのその提案に、私は頷いた……不思議だ……普段は触れられただけであんなに不快に感じるのに……今の彼にはそんな不快さなど微塵も感じなかった。
さすがはロヴァルディの防御方陣である……至近距離からのアルカディアの攻撃を無傷で防いだ……だが、ロヴァルディの防御方陣はすぐに解かれた……
「今だ! 攻撃しろ!」
私は残った全ての力で、氷結属性の攻撃魔法、アイシクルランスを放った……奇しくもゼロスも同じアイシクルランスを選択している……
二つの氷の槍が、炎の体を持つ魔神に突き刺さる……炎は凍結して固まり、やがて音を立てて崩れ落ちた……
「なんとか倒せたようだな……」
良かった……最後のアイシクルランス……あれの威力が少しでも弱かったら倒せなかった……
私が肩で息をしていると、ゼロスが近づいてきて、いきなり平手で叩いてきた。
パシッ!
「な……何するのよ!」
「馬鹿野郎! もう少しでお前、死んでたんだぞ!」
「……そ……そうだけど……」
「どうして俺たちが相手をしている方のアルカディアに奥義を叩き込んだんだ!」
「それはフリージアがやられそうで……」
「それが馬鹿だって言うんだ! 俺がどうして防御方陣を用意してたと思ってんだ!」
あ……そうか……あの防御方陣は元々フリージアを助ける為に使うものだったんだ……だから予定通り私は自分の担当のアルカディアを片付ければ問題なかった……危険もなく倒せてたんだ……
「お前は仲間を信じてなかっただけだ! ちょっとは反省しろ!」
ゼロスのその怒りを理解して、私は急に恥ずかしくなった……なんて愚かなんだ……確かに私は彼らを信じてなかったかもしれない……
「ごめんなさい……全面的に私が悪かったわ……」
そう反省の言葉を口にすると、ゼロスの表情がガラッと変わった。
「わかればいいんだよ、今度からは俺たちを信用しろ、いいな、仲間だってことを忘れるな」
笑顔でそう言われて、なぜだが私の胸が締め付けるような感じにキュッとなった……なんだろう……この感覚……どこかで感じたことあるような……
「馬鹿野郎!」
そう言いながら助けに入ってきたのはゼロスであった……彼は愛刀の神剣ロヴァルディの防御方陣を発動させながら私に抱きついてくる。
ロヴァルディの防御方陣は完全防御、一瞬だがどんな攻撃も防ぐことができる……だが、その使用する魔力と体力は膨大なもので、一度の戦闘で一度しか使用することができない。
ゼロスは私を太い腕で抱き寄せる……戦いの中でのことだが、その暖かい腕の温もりと、普段見せない真剣な表情に、なんとも言えない安心感が溢れてきた……
「防御方陣でアルカディアの攻撃を防いだら、一斉に攻撃をするぞ……最後の力を絞り出せ!」
ゼロスのその提案に、私は頷いた……不思議だ……普段は触れられただけであんなに不快に感じるのに……今の彼にはそんな不快さなど微塵も感じなかった。
さすがはロヴァルディの防御方陣である……至近距離からのアルカディアの攻撃を無傷で防いだ……だが、ロヴァルディの防御方陣はすぐに解かれた……
「今だ! 攻撃しろ!」
私は残った全ての力で、氷結属性の攻撃魔法、アイシクルランスを放った……奇しくもゼロスも同じアイシクルランスを選択している……
二つの氷の槍が、炎の体を持つ魔神に突き刺さる……炎は凍結して固まり、やがて音を立てて崩れ落ちた……
「なんとか倒せたようだな……」
良かった……最後のアイシクルランス……あれの威力が少しでも弱かったら倒せなかった……
私が肩で息をしていると、ゼロスが近づいてきて、いきなり平手で叩いてきた。
パシッ!
「な……何するのよ!」
「馬鹿野郎! もう少しでお前、死んでたんだぞ!」
「……そ……そうだけど……」
「どうして俺たちが相手をしている方のアルカディアに奥義を叩き込んだんだ!」
「それはフリージアがやられそうで……」
「それが馬鹿だって言うんだ! 俺がどうして防御方陣を用意してたと思ってんだ!」
あ……そうか……あの防御方陣は元々フリージアを助ける為に使うものだったんだ……だから予定通り私は自分の担当のアルカディアを片付ければ問題なかった……危険もなく倒せてたんだ……
「お前は仲間を信じてなかっただけだ! ちょっとは反省しろ!」
ゼロスのその怒りを理解して、私は急に恥ずかしくなった……なんて愚かなんだ……確かに私は彼らを信じてなかったかもしれない……
「ごめんなさい……全面的に私が悪かったわ……」
そう反省の言葉を口にすると、ゼロスの表情がガラッと変わった。
「わかればいいんだよ、今度からは俺たちを信用しろ、いいな、仲間だってことを忘れるな」
笑顔でそう言われて、なぜだが私の胸が締め付けるような感じにキュッとなった……なんだろう……この感覚……どこかで感じたことあるような……
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