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寂しい宿

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西の神殿への旅路は順調で、予定の町に到着した時はまだ昼過ぎだった……
「どうする、予定通りここで今日は宿を取るか……もう少し進んで、到着した町で宿を取るか……」
「できれば進みたいです」
俺はアリナの事を考えて、進むことを提案した。
「よし、どこまでいけるかわからないけど、いけるところまで行こうか」
ジアーノンさんはそう言ってくれた。

それで日が暮れるまで馬車を走らせ、到着したのは小さな、小さな町であった……宿があるのか心配するほどの小さな町だが、日が暮れてから移動するのは危険なので、ここで宿泊することが決まった。

なんとか宿はあった……小さな宿で部屋は五つしかなく、しかも俺たち以外は客がいないそうで、貸切の宿となった。

宿で軽い食事を出されたのでそれを食べて、俺たちは部屋へと戻った……
さすがに再会して三日目……今夜はルーリエが来るだろうと、体を念入りに洗って待っていた……だけど今日も彼女は俺の部屋にはこなかった……しかもよくよく考えたら、馬車の中や普段からも、彼女は俺に密着もしてこなく、ちょっと距離をとっている感じがする……何か気に触ることでもしたかな……ちょっと心配になった……

いつものように外に散歩に出ていた妖精が戻ってきた……いつものように興奮している……
「今日の人間のセックスも最高によかったですわ」
「そうなのか? 今日は外に散歩に行ったのか?」
この宿は今日は俺たちしかいない……セックスを見たのなら他の場所だと俺は思った。
「違いますわよ、この宿から出てませんわ」
「え……そうなのか?」
どういうことだろ……もしかして……
「おい、そのセックスをしていた人間って、男に胸に傷がなかったか?」
「はい、ありましたよ、胸に大きな傷がありました」
やっぱり……それは間違いなくジアーノンさんだ……そうか……あの人、情婦でも呼んだんだな……真面目そうでそういうことに興味なさそうだけど、意外にちゃっかりやってるんだな……
「それにしても女が凄かったですわよ、中に出して! あなたの子供が欲しいって叫んで、完全に男にゾッコンて感じでしたわ」
なるほど……さすがプロだな……そう言う演出にも抜かりがないと見える……今度、俺も呼んでみようかな……

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