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西に向かって1日目 アリナ視点

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西の神殿には、整備された西北街道を使う……それでも馬車で7日はかかる行程であった。
「本当に大丈夫なの?」
足を引きずりながら歩くゼロスを見てそう尋ねた。
「ヘヘヘッ、これくらい平気だ、西の神殿に着く頃にはちゃんと歩けるようになるだろ」

西の神殿に向かうのはここまでの面子と変わらず、バルティも北の神殿を出発する直前に合流していた。

「しかし、宿で聞いてもゼロスさんの荷物なんて無くって焦りましたよ……」
そうバルティが愚痴を話をしているが、それはフリージアがゼロスに抱かれる為にあなたを遠ざける目的でいかせたからよと話す訳にもいかず、黙って頷いて聞いていた。

その日の宿は、西北街道の有名な宿場町で泊まることになった……宿場町なので宿も多く、北の神殿の再封印のお祝いも兼ねて、私たちは国のお金で豪華な宿に泊まることにした。

「ほらバルティ、もっと飲めよ! 本当にすまなかったな、俺の勘違いで使いを頼んじまって」
「いえ……」
豪華な宴会の席……ゼロスが妙にバルティに酒を勧めるのが気になる……

「アリナさま、私たちも飲みましょう、ここのお酒美味しいですよ」
「う……うん、ありがとう」
セシルに勧めらて、私もお酒を飲むが、あまり強い方ではないのですぐに顔が赤くなる……

宴会も終わり、私は自室へと戻った……再封印の疲れもあったのですぐにベッドに横なる……目を閉じるとすぐに睡魔に襲われて夢の中へと誘われる……──

「ヒュレル……何してるの……」
私の目の前で、ヒュレルがルーリエにキスをしていた……それもフレンチな軽いものではなく、濃厚なディープなものだ……
「ヒュレル! ねえヒュレル!」
そう声をかけるがヒュレルは私の声を無視する……自然と涙が私の頬を伝う……

ヒュレルの手がルーリエの服に伸びる……ゆっくりとルーリエの服を脱がし始めた……
「ヒュレル! やめて!」

──……そう叫んだ自分の声で、私は目を覚ました……
「ゆ……夢だよね……」

「あああんっ……はぁあん! あああっ! ウフッ……はうっ!」
ヒュレルの夢に呆然としていたので気がつかなかったが、隣から誰かが喘ぐ声が聞こえている……確か隣はフリージアの部屋だけど……そっか、久しぶりバルティとお楽しみなんだ……そう疑いも持たずに思ったのだが……
「あああっ! ゼロス様! ダメです! こ……声が出ちゃう!」

嘘でしょ……バルティはどうしたの?
流石に気になった私は、壁の境目にあった隙間からフリージアの部屋を覗いた。そこには激しくゼロスに突かれるフリージアの姿と、フリージアの下でぐっすり眠っているバルティの姿が見えた……

ちょっと……バルティが起きたらどうするのよ…………そんな私の心配もよそに、フリージアの声はさらに大きくなる。
「あああっ! あああはあはん!! いい! 気持ちいいですゼロス様! もう……私……あああああっ!」

バルティが今にも起きそうでハラハラしながら、フリージアが大声で絶頂するまで私はその情事を覗いてしまった……
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