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話し合い(物理)
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さて、巨大なドラゴン、ジェノサイドドラゴンに乗って優雅に空の旅を楽しんでいたが、間もなく獣王国に差し掛かるといった所で疑問が出てきた。
「そう言えば、領空侵犯とか大丈夫なのか?」
「りょうくうしんぱん?って何ですか?」
知らなかったか、メロウやクロノを見るが二人とも首を振っていた。
「簡単に言うと、国の空を勝手に飛んじゃいけませんて事だな」
「へー、あれ?でも、どうやって飛ぶんですか?ドラゴン?」
「え?どうやって……」
そうか、この世界には飛行機はない、ほぼ陸地移動、有ってギルドの飛竜便や帝国の竜騎手ぐらいか。
「飛んで移動ってそうとう珍しいんだよな」
フェンに飛行機を説明し、クロノとメロウに確認して大丈夫だろうという所で落ち着いた。ちなみにフェンとエニは飛行機を教えている時目がランランとしていた。かわいい。
ここで終わらせてしまった辺り、自分の考えの足りなさを痛感する。領空侵犯の件が話し終わりしばらくあと、獣王国に入った時に事件が起きた。
「タクト様、前方に鳥の群れです」
「鳥?そりゃ空だから鳥くらいいるだろ?」
「失礼しました、正確には人間の様な鳥です」
最初、顔だけ人間の何処かで見た怪物を思い出したが、外を確認してようやく分かった。
「………確かに鳥人間だな」
人間に鳥の羽を生やし、後は頭に羽飾りが有るくらいの違いしかない。鳥人族か?
「明らかに獣王国の人間だな」
「いかが致しますか?」
「刺激しないようにゆっくり下りてくれ」
どうもあちらは臨戦態勢らしくピリピリとした空気が伝わってくる。
「貴様ら何者だ!?」
ジェノサイドドラゴンを着地させ、ゴンドラから降りてすぐ、鳥人族の兵士らしき者が剣を向けながら問いかけてくる。
「こちらは勇者のタクト様、獣王国女王に話があり参上しました」
さすがクロノ流れるように答え出す。
「勇者?では、このドラゴンは?」
そういえばこのジェノサイドドラゴンって、魔王と同じくらいの驚異になるんだっけ?
「えーと、うちの移動用ドラゴンです」
「………」
口を開けて茫然とする鳥人の皆さん。
「とりあえず、獣王に会いたいんですが?」
「ま、待て!いや、待って下さい!突然行かれても、都がパニックになります、ですので一度我々から連絡をさせて頂いて、了解を取ってから都へお越しください」
「それは構わないが……」
了解を取ってからってかなり時間が掛かるのでは?
「ありがとうございます、ではすぐに」
そう言って取り出したのは水晶玉にイヤホンが付いたようなもの。どうやらあれで都と連絡をとるらしい。
「……はい、ですので………我々ではどうにも……え!?いえ、しかし………わかりました」
何か今怪訝な話ししてなかった?
「都からの許可が出ました、女王自ら"歓迎"すると」
「そうですか……」
許可が下りたので、再度ジェノサイドドラゴンに乗って都を目指す。
「………何かあるな」
「ええ、それも余り良いことではないでしょうな」
「だよな」
一抹の不安を抱えつつ、獣王国の首都を目指す。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
獣王国首都に近づくと、またもや鳥人に囲まれた。事前に連絡をしていたからか、今回は警戒ではなく誘導での出迎え。
ゴンドラを降りた俺達は羊の獣人によって案内される、連れてこられたのは謁見の間などではなく。
「闘技場ですな」
「やっぱり嫌な予感したんだよなぁ」
事前に聞いていた獣王国という国の特色は弱肉強食、強い者が偉い。
「ようこそ勇者御一行様」
出迎えたのは、会議にも参加していたウサギ獣人のテトラと他に二人の獣人、一人は虎模様の尻尾と耳、もう一人は犬っぽい尻尾だから多分犬系か狼系かな?
「さっそくだけど手合わせ願いたいのですよ?」
「いきなりかよ」
来て話しも聞かず闘いを申し込む女王にため息をつく。
「勇者の言いたいことはだいたい分かっているのです、それに従うには貴方の強さを知らなければいけないのですよ」
「といってもなぁ」
どうするか悩んでいると。
「はい!僕がやります!」
勢いよく手を上げたのはフェンだった。
「待ちなさいフェン、やるのなら全員でやった方が早いでしょう?」
「ダメだよメロウ、せっかくの僕の見せ場を取らないでよ!」
「それなら、わたしも、したい」
その後も言い合いをする三人、それを横目にテトラさん達の方を見て。
「………よし、ここはフェンに任せよう」
「タクト様?」
少し悲しそう?寂しそう?な目をメロウがする。
「そんな顔するなよ、ちゃんと理由があるから!」
慌てて説明をする。美人の涙は卑怯だ。
「まず彼らは獣人だ、同じ獣人に見えるフェンとやった方が実力の差が明確になるだろう?」
後々種族の違いを引き合いに出すなどしないだろが念のためだ。
「次に彼らは全員接近戦型みたいだし」
テトラは籠手と脛当てを着けているから多分格闘主体、虎さんはシミター?見たいな剣を持っている、狼さんは一見なにも持っていなさそうに見えるが。
「ふむ、彼は暗器使いですな、大方服の下にナイフや硬糸などを隠し持っているのでしょう」
さすがクロノその道のプロ。
「と言うわけで、同じく格闘型のフェンに頼む、でいいかな?」
「仕方ありませんね」
「ん、フェンがんば」
「任せてよ!」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
一方獣王国サイドでは。
「ほう、どうやらあちらはあの子一人のようですね」
「なめられてるにゃあ」
モノクルを掛けた若い男性狼獣人ウルの言葉に、若い女性虎獣人ミャイは少し怒りを含みながら答える。
「でも、あの子すごく強そうなのですよ」
テトラが警戒色を強める。
「二人とも油断しないのです!」
『おう!』
(それにしても、なぜかあの子に逆らってはいけない気がするのは何故でしょう?)
ウルは首を傾げつつテトラの後に続き闘技場の真ん中に歩き出す。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
さて、両者準備が整い闘技場の真ん中で向き合う。
「ルールは簡単、殺害は禁止、相手が降参もしくは戦闘不能になったら終わりなのです」
「それだけでいいの?」
「はい、武器も魔法も何でもありなのです」
「了解!」
そう言って構えを取るフェン。
「では、僭越ながらワタシが審判を勤めます」
俺達を連れてきた羊獣人。
「ワタシはジャッジを公平に行うことをここに誓います」
羊獣人が宣言すると僅かに毛が光すぐに収まる、恐らく何かの魔法を使ったのだろう。
「では、両者準備はよろしいですか?」
「いいのです!」
「僕も大丈夫だよ」
場の空気が変わり緊張が走る。
「………始め!」
先に動いたのはテトラ達獣人側。
テトラと虎獣人が後ろに下がり、狼獣人が五本のナイフを投げる。
「避けられるかな?」
「ほっ!」
それを全て受け取るフェン。
「なんと!?」
いや、「なんと!?」は俺達の台詞だよ、五本って少なくない?クロノなら三十本位投げるよ?
「返すよー!」
フェンも軽い感じで返している。
続いて突出したのは虎獣人、シミターを流れるように振るいフェンに襲いかかる。
「はぁぁ!」
「ふっ!」
振るわれるシミターをフェンは、弾き、受け流し、交わしていく。
そうこうしている間に、投げ返されたナイフを何とか避けた狼獣人が体制を建て直し、今度は硬糸ワイヤーで動きを止めにかかる。
フェンは狼獣人のワイヤーを自分から掴み、ハンマー投げのように狼獣人を降り回し、虎獣人に当てる。
「行くのですよ!!」
狼獣人と虎獣人が吹き飛ばされると、テトラが白いオーラを纏いながら体当たりをかます。
「あれはなんだろう?」
「どうやら身体強化の様ですね、魔法とは少し違うようです」
メロウが言うには所謂身体強化魔法に近いもの、よく漫画や小説などに出てくる覇気とかそんな感じかな?
「うりゃりゃりゃ!」
「ほっふっはっ」
目にも止まらぬラッシュの打ち合い、俺には何をやっているのか分からない速度での殴り合いが行われる。
「ふむ、フェンの勝ちですな」
「そうなのか?」
クロノに聞き返すと直ぐに決着がついた。
「ぐふっ!」
テトラが呻き膝をつく。
「攻防の中で何度かよいのが入っていました」
「なるほど」
思っているよりもテトラのダメージは深刻なようで、立ち上がる事はできない。
「せーのっ!」
その隙にフェンがテトラの腕を掴み投げ飛ばす、投げた先には虎獣人と狼獣人。
「いくよー!」
フェンが三人に向けて、助走を着けた飛び蹴りを宣言してから放つ。
三人は互いに支え合い受け止めるが。
「くっう………」
「これは!?」
「無理なのです!!」
受け止め切れず三人団子になって吹き飛ばされ壁に激突する。
『…………』
そのまま動かなくなる三人に羊獣人が近づき、三人を見て。
「そこまで!勝者勇者一行!」
羊獣人の宣言と共にフェンが駆け寄ってくる。
「やりましたよタクト様!」
誉めてと言わんばかりに頭をつき出すフェン。
「よくやった、お疲れ様」
労いつつ頭を撫でてやる。
「えへへぇ」
かわいい。時間を忘れて撫で続けそうになるが。
「さて、とりあえずエニ、彼らを回復してくれ」
「タクト様いいんですか?」
「ああ、さすがにあのままじゃ話ができないしな」
死んではいないが、かなりの致命傷になっている三人をエニに回復してもらい、話をする。
「大丈夫ですか?」
「まさかあそこまで歯が立たないとは」
「参ったにゃあ」
「無理だったのですよ」
フェンはまだまだ余裕そうだったしな。
「まぁ、仕方ないですよフェンリルですしね」
俺は何気なく言ったのだが。
「………今なんと?」
テトラさん達だけでなく羊獣人も含めた獣人組四人が固まる。
「え?仕方ないですよって」
「そうではなく、えっとこの子をなんと?」
「フェンですか?フェンリルですって」
再度四人が固まる。やがてテトラと虎獣人狼獣人が姿勢を正し。
『申し訳ありませんでした!』
綺麗な土下座をした。
「そう言えば、領空侵犯とか大丈夫なのか?」
「りょうくうしんぱん?って何ですか?」
知らなかったか、メロウやクロノを見るが二人とも首を振っていた。
「簡単に言うと、国の空を勝手に飛んじゃいけませんて事だな」
「へー、あれ?でも、どうやって飛ぶんですか?ドラゴン?」
「え?どうやって……」
そうか、この世界には飛行機はない、ほぼ陸地移動、有ってギルドの飛竜便や帝国の竜騎手ぐらいか。
「飛んで移動ってそうとう珍しいんだよな」
フェンに飛行機を説明し、クロノとメロウに確認して大丈夫だろうという所で落ち着いた。ちなみにフェンとエニは飛行機を教えている時目がランランとしていた。かわいい。
ここで終わらせてしまった辺り、自分の考えの足りなさを痛感する。領空侵犯の件が話し終わりしばらくあと、獣王国に入った時に事件が起きた。
「タクト様、前方に鳥の群れです」
「鳥?そりゃ空だから鳥くらいいるだろ?」
「失礼しました、正確には人間の様な鳥です」
最初、顔だけ人間の何処かで見た怪物を思い出したが、外を確認してようやく分かった。
「………確かに鳥人間だな」
人間に鳥の羽を生やし、後は頭に羽飾りが有るくらいの違いしかない。鳥人族か?
「明らかに獣王国の人間だな」
「いかが致しますか?」
「刺激しないようにゆっくり下りてくれ」
どうもあちらは臨戦態勢らしくピリピリとした空気が伝わってくる。
「貴様ら何者だ!?」
ジェノサイドドラゴンを着地させ、ゴンドラから降りてすぐ、鳥人族の兵士らしき者が剣を向けながら問いかけてくる。
「こちらは勇者のタクト様、獣王国女王に話があり参上しました」
さすがクロノ流れるように答え出す。
「勇者?では、このドラゴンは?」
そういえばこのジェノサイドドラゴンって、魔王と同じくらいの驚異になるんだっけ?
「えーと、うちの移動用ドラゴンです」
「………」
口を開けて茫然とする鳥人の皆さん。
「とりあえず、獣王に会いたいんですが?」
「ま、待て!いや、待って下さい!突然行かれても、都がパニックになります、ですので一度我々から連絡をさせて頂いて、了解を取ってから都へお越しください」
「それは構わないが……」
了解を取ってからってかなり時間が掛かるのでは?
「ありがとうございます、ではすぐに」
そう言って取り出したのは水晶玉にイヤホンが付いたようなもの。どうやらあれで都と連絡をとるらしい。
「……はい、ですので………我々ではどうにも……え!?いえ、しかし………わかりました」
何か今怪訝な話ししてなかった?
「都からの許可が出ました、女王自ら"歓迎"すると」
「そうですか……」
許可が下りたので、再度ジェノサイドドラゴンに乗って都を目指す。
「………何かあるな」
「ええ、それも余り良いことではないでしょうな」
「だよな」
一抹の不安を抱えつつ、獣王国の首都を目指す。
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獣王国首都に近づくと、またもや鳥人に囲まれた。事前に連絡をしていたからか、今回は警戒ではなく誘導での出迎え。
ゴンドラを降りた俺達は羊の獣人によって案内される、連れてこられたのは謁見の間などではなく。
「闘技場ですな」
「やっぱり嫌な予感したんだよなぁ」
事前に聞いていた獣王国という国の特色は弱肉強食、強い者が偉い。
「ようこそ勇者御一行様」
出迎えたのは、会議にも参加していたウサギ獣人のテトラと他に二人の獣人、一人は虎模様の尻尾と耳、もう一人は犬っぽい尻尾だから多分犬系か狼系かな?
「さっそくだけど手合わせ願いたいのですよ?」
「いきなりかよ」
来て話しも聞かず闘いを申し込む女王にため息をつく。
「勇者の言いたいことはだいたい分かっているのです、それに従うには貴方の強さを知らなければいけないのですよ」
「といってもなぁ」
どうするか悩んでいると。
「はい!僕がやります!」
勢いよく手を上げたのはフェンだった。
「待ちなさいフェン、やるのなら全員でやった方が早いでしょう?」
「ダメだよメロウ、せっかくの僕の見せ場を取らないでよ!」
「それなら、わたしも、したい」
その後も言い合いをする三人、それを横目にテトラさん達の方を見て。
「………よし、ここはフェンに任せよう」
「タクト様?」
少し悲しそう?寂しそう?な目をメロウがする。
「そんな顔するなよ、ちゃんと理由があるから!」
慌てて説明をする。美人の涙は卑怯だ。
「まず彼らは獣人だ、同じ獣人に見えるフェンとやった方が実力の差が明確になるだろう?」
後々種族の違いを引き合いに出すなどしないだろが念のためだ。
「次に彼らは全員接近戦型みたいだし」
テトラは籠手と脛当てを着けているから多分格闘主体、虎さんはシミター?見たいな剣を持っている、狼さんは一見なにも持っていなさそうに見えるが。
「ふむ、彼は暗器使いですな、大方服の下にナイフや硬糸などを隠し持っているのでしょう」
さすがクロノその道のプロ。
「と言うわけで、同じく格闘型のフェンに頼む、でいいかな?」
「仕方ありませんね」
「ん、フェンがんば」
「任せてよ!」
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一方獣王国サイドでは。
「ほう、どうやらあちらはあの子一人のようですね」
「なめられてるにゃあ」
モノクルを掛けた若い男性狼獣人ウルの言葉に、若い女性虎獣人ミャイは少し怒りを含みながら答える。
「でも、あの子すごく強そうなのですよ」
テトラが警戒色を強める。
「二人とも油断しないのです!」
『おう!』
(それにしても、なぜかあの子に逆らってはいけない気がするのは何故でしょう?)
ウルは首を傾げつつテトラの後に続き闘技場の真ん中に歩き出す。
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さて、両者準備が整い闘技場の真ん中で向き合う。
「ルールは簡単、殺害は禁止、相手が降参もしくは戦闘不能になったら終わりなのです」
「それだけでいいの?」
「はい、武器も魔法も何でもありなのです」
「了解!」
そう言って構えを取るフェン。
「では、僭越ながらワタシが審判を勤めます」
俺達を連れてきた羊獣人。
「ワタシはジャッジを公平に行うことをここに誓います」
羊獣人が宣言すると僅かに毛が光すぐに収まる、恐らく何かの魔法を使ったのだろう。
「では、両者準備はよろしいですか?」
「いいのです!」
「僕も大丈夫だよ」
場の空気が変わり緊張が走る。
「………始め!」
先に動いたのはテトラ達獣人側。
テトラと虎獣人が後ろに下がり、狼獣人が五本のナイフを投げる。
「避けられるかな?」
「ほっ!」
それを全て受け取るフェン。
「なんと!?」
いや、「なんと!?」は俺達の台詞だよ、五本って少なくない?クロノなら三十本位投げるよ?
「返すよー!」
フェンも軽い感じで返している。
続いて突出したのは虎獣人、シミターを流れるように振るいフェンに襲いかかる。
「はぁぁ!」
「ふっ!」
振るわれるシミターをフェンは、弾き、受け流し、交わしていく。
そうこうしている間に、投げ返されたナイフを何とか避けた狼獣人が体制を建て直し、今度は硬糸ワイヤーで動きを止めにかかる。
フェンは狼獣人のワイヤーを自分から掴み、ハンマー投げのように狼獣人を降り回し、虎獣人に当てる。
「行くのですよ!!」
狼獣人と虎獣人が吹き飛ばされると、テトラが白いオーラを纏いながら体当たりをかます。
「あれはなんだろう?」
「どうやら身体強化の様ですね、魔法とは少し違うようです」
メロウが言うには所謂身体強化魔法に近いもの、よく漫画や小説などに出てくる覇気とかそんな感じかな?
「うりゃりゃりゃ!」
「ほっふっはっ」
目にも止まらぬラッシュの打ち合い、俺には何をやっているのか分からない速度での殴り合いが行われる。
「ふむ、フェンの勝ちですな」
「そうなのか?」
クロノに聞き返すと直ぐに決着がついた。
「ぐふっ!」
テトラが呻き膝をつく。
「攻防の中で何度かよいのが入っていました」
「なるほど」
思っているよりもテトラのダメージは深刻なようで、立ち上がる事はできない。
「せーのっ!」
その隙にフェンがテトラの腕を掴み投げ飛ばす、投げた先には虎獣人と狼獣人。
「いくよー!」
フェンが三人に向けて、助走を着けた飛び蹴りを宣言してから放つ。
三人は互いに支え合い受け止めるが。
「くっう………」
「これは!?」
「無理なのです!!」
受け止め切れず三人団子になって吹き飛ばされ壁に激突する。
『…………』
そのまま動かなくなる三人に羊獣人が近づき、三人を見て。
「そこまで!勝者勇者一行!」
羊獣人の宣言と共にフェンが駆け寄ってくる。
「やりましたよタクト様!」
誉めてと言わんばかりに頭をつき出すフェン。
「よくやった、お疲れ様」
労いつつ頭を撫でてやる。
「えへへぇ」
かわいい。時間を忘れて撫で続けそうになるが。
「さて、とりあえずエニ、彼らを回復してくれ」
「タクト様いいんですか?」
「ああ、さすがにあのままじゃ話ができないしな」
死んではいないが、かなりの致命傷になっている三人をエニに回復してもらい、話をする。
「大丈夫ですか?」
「まさかあそこまで歯が立たないとは」
「参ったにゃあ」
「無理だったのですよ」
フェンはまだまだ余裕そうだったしな。
「まぁ、仕方ないですよフェンリルですしね」
俺は何気なく言ったのだが。
「………今なんと?」
テトラさん達だけでなく羊獣人も含めた獣人組四人が固まる。
「え?仕方ないですよって」
「そうではなく、えっとこの子をなんと?」
「フェンですか?フェンリルですって」
再度四人が固まる。やがてテトラと虎獣人狼獣人が姿勢を正し。
『申し訳ありませんでした!』
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