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従者

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 神様に異世界に送られ、目が覚めたのは遺跡の中。

「普通こう言うのって、お城の召喚の間とかじゃないの?」

 と、思ったが、勇者じゃないんだからこれが普通か?

「それに、使い魔も居ない………」

 変わったのは、カギが手に握られていたこと、どうにかして使えないか、振ってみたり、ドアに指すイメージで空間に指してみたりしたが何も起こらなかった。

「とりあえず、ここに居てもしょうがないから移動するか」

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「で、出られない」

 出口らしきものはあるが、扉が固く閉ざされている。
 カギを使うのかと思ったが、どうやら違うらしい。

「こんなのどうしろてんだよ!!」

 イラつきから、カギを床に叩きつける、するとカギから光が延び出口から反対を指し示す。

「何だ?なにかある?」

 光の先を見ると。

「おぉ、カギ穴発見!」

 たぶん流れ的にこのカギが使えるはず!

「ふ、ふん、はっ!回らねぇし!!」

 指す事はできたが、カギが回らない。
 仕方なく引き抜こうとするが……

「抜けねぇし!!」

 どうしたものか悩んでいると、カギが壁の中へ吸い込まれていく。

「って、いやいや、これ大丈夫なのか!?あってるのか!?」

 これで、カギが消えるだけなんてなったらたまったもんじゃない、壁にへばりつきカギを引っ張ろうとするが、時既に遅し、カギは壁に消えた。

「………何も起きない?ど、どうすんだよ!?」

 と、焦っていると、どこらともなく地響きがなり始める、崩落かと思ったがどうやら違うらしい、発生源はカギが消えた壁のようで、徐々に左右に割れ始める。

「うぉっ、眩し!」

 壁が割れるにつれ中から光が漏れ目を刺激する、眩しさに目を細めながら光の方を見ると、中から四人の人影が現れる。
 
 やがて光が収まると、出てきた四人が膝間付く。

「あぁ、やっと御逢いできました主様」

 主様?今、この人、主様って言った??

「えっと、どちら様でしょう?」

「わたくし達は主様の従者でございます!」

 ん?と言うことは、神様に頼んだ使い魔的な?

「我らは主様と出逢うため、幾星霜の時をこの地にて待っておりました」

 何か凄いの出てきちゃったよ!?

「えっと、とりあえず、自己紹介でも?」

「これは失礼しました、名乗りもせず、皆舞い上がってしまっておりまして」

「そ、そうですか」

「ではまずわたくしから、その前に少々暗いですね、灯りをご用意します」

 翠の髪の美人はライトボールの魔法を使い灯りの代わりにする。

「では改めまして、わたくしはゴーゴン、御見せしたように魔法が得意でございます、幾久しく可愛がって頂ければ幸いです」

「あ、はい、よろしくお願いします」

「敬語は不要ですわ、主様」

 穏やかに微笑む女性、ゴーゴンは翠の髪、セミロングぐらいだろうか?目は閉じられており、糸目と言うべきか?着ているものは魔導師か何かが着ているようなローブ、そして目を引く巨乳、Eいや、F場合によってはGか!?

「あの、主様?」

「あぁ、ごめんなさい、見てません!」

「?さようでございますか?」

「では、続いて私がご挨拶させていただきます」

 次いで手をあげたのは、白髪の老人。

「私はサイクロプス、武具の扱いに少々長けています」

 サ、サイクロプス?って一つ目のゴツゴツした?ムキムキの?鍛冶が得意なんだっけ?
 
 目の前の老人はそんな風には見えない、眼帯をしており隻眼ではあるが、線は細くスラリとしている、白髪に口髭も白髪、紳士服を着ており見た目はベテラン執事だ。

「ほっほっほ、これでも鍛冶仕事も家事仕事も得意 ですぞ?」

 おぅ、視線で心を読まれた、やっぱり執事だこの人。

「次は、わたし」

 若干テンション低めの幼女、小学生成り立て位か?

「わたしは、フェニックス、傷治すの、得意」

 フェニックス?不死鳥の?不死身の?その割にはなんと言うか、今にも消えそうなんですが……

 赤いシュートヘアーが可愛い少女、物静かで触れると壊れてしまいそう、着てる物は和服っぽいゴスロリ服、そのせいか幼さ加減が半端ない。

「ん………」

「あら、あら」

 じっと見ていたせいか、ゴーゴンの後ろに隠れてしまう、うっ、嫌われたか?

「ふふん、最後は僕だね」

 最後は、少し小生意気そうな少年。

「僕はフェンリル、得意なのは殴る事、主様に近づく敵は僕がぶっ飛ばす!」

 フェンリル、確か狼の魔獣だっけ?確かにイヌミミが頭についてる。

 グレーの髪をショートカットにして、その間にはイヌミミ、服は格闘家の様な出で立ち、ボクシング何か やらせたら強そうだ、一見ヤンキーぽくって苦手……

「よろしく、主様」

 前言撤回、凄く人懐っこい笑顔を向けてくる、どちらかと言えばヤンキーではなく忠犬だ。

「えっと、じゃあ改めまして、坂本 拓斗です、よろしくお願いします」

『ハイ、主様!』

「主様はやめてください」

「では、どの様にお呼びすれば良いでしょう?」

「普通に拓斗でいいです」

「滅相もございません、主を呼び捨てなど……」

「では、ゴーゴン、タクト様と、御呼びするのはどうでしょう?」

「そうですね、主の意見を立てつつ、我等の意向も 両立できますから……」

「よし、決まり!今後はタクト様だ!」

「タクト、様」

 うーん、まぁいいか、主様よりは。

「所で、聞きたいんですけど……」

「タクト様、先にもゴーゴンが述べましたが、我らに敬語は不要です」

「あ、うん、じゃあ聞きたいことがあるんだけど」

「はい、何なりと」

「みんなは、伝説上の魔獣なの?」

「正確には伝説を元に作られた者です」

「伝説を元に?」

「はい、ですので必ずしも伝説通りではございません」

「そ、そうなんだ……」

 よくわからないが、伝説に近い力はあるらしい

「じゃあ何で、俺を主と?」

「我等は神より産み出されたのですが、余りにも力が強くこの地で眠らされていました……」

「そして、何時しかこの地に選ばれし主を使わすと……」

「わたし、達を、統べる力を、持つ強者」

「そんな、神が選んだ主になら僕達は従う事に、異存はないよ!」

 なるほど、力が強すぎて封印されたと、で、神様が彼らを従える者をいつか呼ぶと、で、それに選ばれたのが俺と、ひょっとして、神様ちょうどいいから俺をここに送ったのでは?まぁ、いいか。

「とりあえず、皆の名前ってあるかな?」

「いいえ、ありません」

「流石に街中でゴーゴンとか、フェニックスとか、呼ぶのって不味いかな?」

「恐らく、悪目立ちするでしょうな」

「タクト様に、名前、付けて貰いたい」

「俺が?」

「それは良い考えです、ぜひお願いします」

 うーん、名付けか、うん、よし決まった。
命名
ゴーゴン→メロウ
昔ゲームで「メロメロゴーゴン」って言うのがいた、そこから拝借。

サイクロプス→クロノ
サイ(クロ)プスという語源を残しつつ、執事ぽい
名前。完全に扱いが執事だな。

フェニックス→エニ
フ(ェニ)ックス、何も思い付きませんでした。

フェンリル→フェン
何か格闘家ぽくない?

「で、どうだろう?」

「素晴らしいです!」

「有り難き幸せ」

「エニ、好き」

「おぉ、何かやる気出てきた!」

 とりあえず全員気に入ってくれた模様、良かった。
 さて、次は……

「ここから、どうやって出ようか?」

「任せて、タクト様!」

 勢い良く立ち上がったフェンが壁に向かう、腰を落として、構えを取ると正拳付きを放つ、ドーンという音と共に壁が崩落する。

「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ、出口が出来たのは
良いけど、先に言ってくれ!」

「う、ご、ごめん、タクト様」

 飼い主に怒られた、飼い犬の様にシュンと
するフェン。

「いや、やり方はともかくありがとう」

 なるべく優しく頭を撫でてやる、すると直ぐ
に気持ち良さそうに、目を細める、……先に言っとくけど俺はBLの気はないからな?

「と、やっぱり暗いな、遺跡のどれくらいなん
だ、これ?」

「タクト様、わたくし達が先を行きます」

「え?あ、うん、頼んだ」

 自分の強さが解らないので、メロウ達に先を
お願いする、少なくともさっきのでフェンが強いことは分かってるし、フェンと同じくらいなら、メロウ達もそれなりに強いのだろう。
 なので隊列がこうなる↓
先頭フェン 二番手メロウ 真ん中俺 四番手エニ 殿クロノ

 うっ、女の子に背中を守られているなんて……早急に自分の強さを調べよう。

 しばらく進むと、地上の明かりが見えてきた、
どうやら遺跡はそんなに深く無いらしい。

「ふぅ、出られた!」

 出た先は、見渡す限りの草原。

「草原の下に遺跡が在ったのか」

「その様ですな、遺跡としては、珍しいタイプで
しょう」

「タクト様、これからどういたしますか?」

「うーん、ひとまず、街に行きたいが……」

 草原のど真ん中、どちらに行けば良いのやら。

「人間の街ですね?お任せ下さい、……サーチ」

 おぉ、探索魔法かな?光の波が広がっていき、
地平線に消える。

「わかりました、ここから北の方に街が在るようです」

「よし、じゃあまずはそこを目指そう」

「タクト様の仰せのままに」

 ようやく、冒険の始まりだ!

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 草原を進むと、やがて街道に出る。

「この街道に沿って行けば、街に出るようですタクト様」

「おぉ、やっと道らしい道に出られた」

 喜んだのもつかの間、俺達の目の前に人が出てくる。

「へっへっへ、待ちな」

 身なりがそんなに良くなく、如何にも盗賊と言った風体の男が数人。

「タクト様、後ろにも居ります」

 クロノの報告で目をやると、同じように数人が
退路を塞いでいた。

「金目の物と食料、あと女を置いていきな、そう
すれば命だけは助けてやるぜ?」

 いかにもな台詞、どうやら盗賊であっていたらしい、そして、これはチャンスだ、自分がどれだけ強いかわかる上に、無双ができる!

「へへへへ、こりゃ上玉だ、今夜は楽しめそうだぜ……」

 どうやって無双しようか考えていたら、あちらも別の意味で盛り上がったらしく、ゲスな笑みを浮かべている。

「……ゴミクズ………」

 何だろう?後ろから、身体の芯から冷えるような声が聞こえた、ゆっくり振り返ると、そこにはまるで生ゴミを視るような目のエニが居た、そうか、子供にこうゆうのは見せちゃダメか、等と考えていると、今度は前から冷ややかな声が聴こえる。

「ゴミが、誰の許可を得て、その汚い姿で、我等の主の御前に出てきているのです!?」

 いや、メロウさん?誰の許可もいらないと思うんですけど……

「なんだと、この女、訳のわかんねぇ事言いやがって……」

 最もな事を言いながら、掴み掛かろうとした
盗賊の一人が、何かに吹き飛ばされる。

「汚い!それ以上、主に近づくな!」

 盗賊の居た場所には、回し蹴りを振り抜いた
体勢のフェンが居た、どうやら盗賊を蹴り飛ばした模様、蹴り飛ばされた盗賊は、吹き飛んだ先で肉塊になっていた。

「このガキ、何しやがる!」

 次々とナイフや剣でフェンに斬りかかるが、呆気なくあしらわれ、返り討ちに合う盗賊。

「くっ、近付くのはダメだ!矢を放て!」

 近づけば不利と判断した盗賊達は、遠距離からの攻撃に変更した。

「ほっほっほ、主にこの様なものを使うとは、万死に能いますな」

 放たれた矢は全てクロノが掴み取り、俺の方には一本足りと届かなかった。

「ほら、御返ししますぞ?」

 掴み取るだけでは飽きたらず全て投げ返すクロノ、弓で射るよりも早いスピードで、返される矢に貫かれていく盗賊達。

「いっ、一体何なんだお前達は!?」

「あなた達、ゴミに名乗る名などありません、わたくし達の名前は、主より賜った高貴なもの、下賎の民が口にして良いものではないわ!」

 そうメロウが言うと同時に、焔の蛇が残りの盗賊達を呑み込んでいく、辺りには肉の焼ける嫌な臭いが立ち込める。

「う、気分が悪くなる」

「ゴミ、焼けるにおい、くさい」

「そうですね、さぁタクト様早く移動しましょう、御身が穢れてしまいます」

 盗賊達の跡地を離れながら思った、この子達強すぎじゃね?
そして、俺出番なかった………

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  
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