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5.拳闘大会
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さて、昨日はカティの邪魔が入ったが続きだな、えっと確か……。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
アキナイを出て数日。俺はコロッセオの街トウブに来ていた。
理由は勿論拳闘大会の決勝を見にだ。
「……やっぱり賑わってるな」
三年に一度の稼ぎ時だけに、屋台や出し物が大にぎわいだった。
「おっと、悪い」
「いや、こちらこそすまない」
通りにも人が溢れ返っているため、肩がぶつかってしまった。
「あの男……」
鍛えられた肉体から、恐らく格闘技をしているな。ひょっとしたら大会の参加者か?
「……少し屋台を見たらスタジアムに行くか」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ワアァァ。
スタジアムに着くと既に熱気に包まれていた。
『さぁ、今年も盛り上がっております、第五十八回拳闘大会準決勝!』
どうやらまだ準決勝を行っている最中らしい。
『既に決勝に駒を進めているスタッグマイヤー選手と争うのはどちらなのか!?まずは東側、ベアー殺しの異名を持つゴウダン選手!』
紹介されたのは先ほどぶつかった男だった、やはり出場していたか。
『そしてそして、対する西側、なんと元勇者パーティーの前線要!拳王コレット選手!!』
ん?げっ、対戦相手はコレットか、しかも、新しい称号付けられてるし。
俺の知る限り、勇者、聖女、剣聖、賢者まで、拳王は新しく王国から授与されたんだろう、あと称号が無いのは俺だけか……。
「いい御身分に成ったな、元兄として鼻が高い限りだよ」
さてさて、肝心の試合はと。
『さぁ、試合は一方的なものになって参りました!ゴウダン選手から繰り出されるラッシュに、コレット選手は避ける事しかできない!』
あー、こりゃ決まったな、コレットの勝ちだわ。
『おっと、ゴウダン選手突然足を止めたどうしたことか?』
コレットはただ避けていたんじゃない、微妙に相手のバランスを崩しながら、打ち込みずらい所に移動してたんだな、相手にしたら無理な体制から打ち込まなきゃならないから堪ったもんじゃない。
『そしてコレット選手ゆっくり構え、強打!ゴウダン選手耐えられなーい!』
当然だな、ガクガクの膝で受けられるほど軽くは無いだろう、なんて言ったって勇者パーティーの最前線に居たんだから。
『ゴウダン選手堪らす吹き飛ばされ壁に激突!大丈夫か!?』
あの男もなかなかだな、耐えきれないと判断して、自分から後ろに飛んだ、見てくれは派手に吹き飛ばされたように見えるけど、その場に無理に留まるよりは百倍ましだ、無理に留まれば防いだ腕に大きなダメージが掛かる、場合によっては骨にひびか、骨折だな。
『ゴウダン選手リングアウトにより決着!決勝に進んだのはコレット選手だ!』
ワアァァ!
歓声が上がる中、コレットがゴウダンに近づき握手を交わす、ペコペコと頭を下げているので謝っているのだろう、少し話をした後、突然。
「やべぇ!」
こちらの方を向いた、まさか、見ているのがわかったのか?それとも偶然か?来る前にフード付のローブを着ててよかった。
『さぁさぁ、カードも出揃いましたので準備が出来次第決勝を……え!?』
司会の驚きの声に注目が集まる。
『えっ、えー、突然の事でワタシも困惑しております、先に決勝進出を決めていたスタッグマイヤー選手が、先ほど試合を見て、棄権を決められたそうで……』
これは不味いな、三年に一度の拳闘大会はこの街の名物なわけで、その決勝となれば多くの人が楽しみにしている、となれば。
「ふざけんな!」
「何考えてんだバカヤロー!」
ブーブー!
ブーイングの嵐だ、スタッグマイヤーとかいう奴がどれ程の実力かは知らないが、せめて最後までやり抜くのが礼儀だろうに。
『大変残念ではありますが、今年の拳闘大会優勝は……え?』
優勝を宣言しようとした時、コレットが司会の男性に話し掛けている。
『え?いや、しかし、いいんですか?』
何か始まるみたいだ。
『えー、ゴホン、コレット選手の提案により、これからエキシビションマッチを開催致します!』
エキシビションマッチとな?
『これから十分間、新規エントリーを受け付けます、対戦相手はコレット選手』
ふむ、参加者がコレットに挑戦って事かな。
『勿論、勝った方にはこの……』
ここで賞品を見た俺は驚く事になる。
『賞品"宝樹の水晶実"をお渡しします!』
宝樹の水晶実!?レジェンダリー級の激レア錬金素材じゃないか!普段は国が厳重に管理している宝樹からしか取れない、錬金術師なら喉から手が出るほど欲しい素材だ。
『さぁ、参加する意思の有る方は受付で登録してください!』
くっ、どうする?賞品は正直欲しい、だが、至近距離でコレットと対峙は……。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
『さぁ、参加選手の募集が終わりました!』
結局俺は。
『拳王コレット選手に挑戦するのは、この五人だ!』
闘技場に立っていた。
勿論最大限の隠蔽は使っている、まず目部下に隠者のローブを被る、隠者のローブはフードを被っている間認識を阻害する物だ、以外にもポピュラーな物なので闘技場の売店に売っていた、王族がお忍びで来る際に使うらしい。
更に、アガートラームとガントラームをカラーリング魔法で鉄色に染めた、カラーリングは物を任意の色に変える魔法だが、アーティファクトのアガートラームとガントラームはその性質のせいか三時間しか色を変えられない。
「色が戻ったらさすがにばれるよな……」
『えー、それでは順番に舞台に上がり挑戦頂きましょう!』
「へへ、俺が一番だ、文句は無いな?」
一番に名乗りを上げたのはならず者風の大男、まぁ、宝樹の水晶実は高値で売れるからな、そりゃこういった奴も出てくるわな。
「悪いな嬢ちゃん、本気で行くぜ!」
大男が大振りに拳を振り上げるが。
「ふっ!」
「がはっ!?」
ドンッという音と共に大男が吹き飛ばされ場外に落ちる。
「次の方お願いします」
まるで興味がないように促すコレット、その後も。
「おりゃー」
「ふっ!」
ドサッ。
「うおー」
「やっ!」
ドサッ。
「せいゃー」
「はっ!」
ドサッ。
と、全て一撃で場外に落ちる同じ展開が繰り返される。
『えーっと………』
司会の入る余地の無いワンキルに会場は冷めきっていた。
「最後の方」
コレットが俺を見ながら言う、いつの間にか最後の一人になっていた。
「……よろしく」
『挑戦者さん、フードとガントレットを取って…』
司会が取るように言うが。
「そのままで構いません」
『え?いや、しかし』
「行きます!」
司会を無視してコレットが突きを放つが。
パンっ。
「くっ……」
それをはじく。
「やっ!」
「はっ!」
「せい!」
下段蹴り、肘打ち、回し蹴りの順番でコレットが繰り出すが。
スッ。
パシッ。
パンッ。
避ける、止める、弾くで防ぐ。
「やぁぁ!」
渾身の踏み込みからの正拳突きを受け止める。先に言っておくが俺は格闘家じゃない、コレットと打ち合えているのはアーティファクトと。
「………変わらないな」
長年見続けて来たコレットの動きを覚えていたからである。
「………あなた、お兄ちゃんですね?」
さすがにバレるか、でも。
「…………」
答えはしない。
「お兄ちゃんなんでしょ!?」
「…………」
「何で答えてくれないの?」
「…………」
「どうしてわたし達を置いていったの!?」
「…………」
「答えてよ!」
コレットが叫ぶが、俺は答えない。
「くっ、あぁぁ!」
堪らず、コレットが大振りに拳を振り上げる、それを掴み。
「あっ!?」
背負い投げで場外へ。
『じょ、場外!コレット選手の敗けです!』
何とか受け身を取ったコレットだが、その背はリングの外に落ちてしまった。
「そ、そんな………」
落ち込むコレットに手を差し出す。
「っ……」
手を掴んだコレットを助け起こし、耳元に口を近づける。
「まだまだ、だな?」
コレットにだけ聞こえるように囁き、司会の元へ移動する。
「あっ、お兄ちゃん……」
何か言いたそうなコレットを残して、俺は賞品を受けとるとその場を去った。
闘技場を出た所で魔法が解けガントレットが元の金と銀に戻る。
「ふぅ、ギリギリだったな………」
フードを外し街中を歩いていると。
「………つけられてる?」
最初はコレットが追いかけてきたのかとも思ったが。
「コレットがこんな下手につけてくるはず無い、人数は……複数?」
気配を探れば、一人や二人じゃない人数が着いてきていた。
「宝樹の水晶実狙い?その割には動きが……」
確かめるため、角を何度か曲がり裏通りの人気の無い所へ向かう。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
裏通りの路地の一角、気のせいではない事を確認し着いてきていた奴等を待つ。
「俺に何か用か?」
「へっへっへ、あんたが勇者パーティーの錬金術師だな?」
「元な」
どうやら用があるのは賞品ではなく、俺自身らしい。
「金と銀の腕、お前を城に連れていけば報酬がたんまりだ」
城?ふむ、ひょっとして勇者関連か?めんどくさいな、転移で逃げるか。
「お兄ちゃん!」
逃げる算段を立てていると、コレットが現れ俺と男達の間に割って入った。
「コレット?」
「ここはわたしに任せて行って!」
「いや、でもな」
「早く!」
コレットの剣幕に押され俺は転移した。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ここから物語は動き出すんだが、今日はここまでだな。
………って、いつの間にかコレットも一緒になって聞いてるじゃないか、お前はこっち側だろ、ちょうどいい今度はコレットの話な?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
アキナイを出て数日。俺はコロッセオの街トウブに来ていた。
理由は勿論拳闘大会の決勝を見にだ。
「……やっぱり賑わってるな」
三年に一度の稼ぎ時だけに、屋台や出し物が大にぎわいだった。
「おっと、悪い」
「いや、こちらこそすまない」
通りにも人が溢れ返っているため、肩がぶつかってしまった。
「あの男……」
鍛えられた肉体から、恐らく格闘技をしているな。ひょっとしたら大会の参加者か?
「……少し屋台を見たらスタジアムに行くか」
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ワアァァ。
スタジアムに着くと既に熱気に包まれていた。
『さぁ、今年も盛り上がっております、第五十八回拳闘大会準決勝!』
どうやらまだ準決勝を行っている最中らしい。
『既に決勝に駒を進めているスタッグマイヤー選手と争うのはどちらなのか!?まずは東側、ベアー殺しの異名を持つゴウダン選手!』
紹介されたのは先ほどぶつかった男だった、やはり出場していたか。
『そしてそして、対する西側、なんと元勇者パーティーの前線要!拳王コレット選手!!』
ん?げっ、対戦相手はコレットか、しかも、新しい称号付けられてるし。
俺の知る限り、勇者、聖女、剣聖、賢者まで、拳王は新しく王国から授与されたんだろう、あと称号が無いのは俺だけか……。
「いい御身分に成ったな、元兄として鼻が高い限りだよ」
さてさて、肝心の試合はと。
『さぁ、試合は一方的なものになって参りました!ゴウダン選手から繰り出されるラッシュに、コレット選手は避ける事しかできない!』
あー、こりゃ決まったな、コレットの勝ちだわ。
『おっと、ゴウダン選手突然足を止めたどうしたことか?』
コレットはただ避けていたんじゃない、微妙に相手のバランスを崩しながら、打ち込みずらい所に移動してたんだな、相手にしたら無理な体制から打ち込まなきゃならないから堪ったもんじゃない。
『そしてコレット選手ゆっくり構え、強打!ゴウダン選手耐えられなーい!』
当然だな、ガクガクの膝で受けられるほど軽くは無いだろう、なんて言ったって勇者パーティーの最前線に居たんだから。
『ゴウダン選手堪らす吹き飛ばされ壁に激突!大丈夫か!?』
あの男もなかなかだな、耐えきれないと判断して、自分から後ろに飛んだ、見てくれは派手に吹き飛ばされたように見えるけど、その場に無理に留まるよりは百倍ましだ、無理に留まれば防いだ腕に大きなダメージが掛かる、場合によっては骨にひびか、骨折だな。
『ゴウダン選手リングアウトにより決着!決勝に進んだのはコレット選手だ!』
ワアァァ!
歓声が上がる中、コレットがゴウダンに近づき握手を交わす、ペコペコと頭を下げているので謝っているのだろう、少し話をした後、突然。
「やべぇ!」
こちらの方を向いた、まさか、見ているのがわかったのか?それとも偶然か?来る前にフード付のローブを着ててよかった。
『さぁさぁ、カードも出揃いましたので準備が出来次第決勝を……え!?』
司会の驚きの声に注目が集まる。
『えっ、えー、突然の事でワタシも困惑しております、先に決勝進出を決めていたスタッグマイヤー選手が、先ほど試合を見て、棄権を決められたそうで……』
これは不味いな、三年に一度の拳闘大会はこの街の名物なわけで、その決勝となれば多くの人が楽しみにしている、となれば。
「ふざけんな!」
「何考えてんだバカヤロー!」
ブーブー!
ブーイングの嵐だ、スタッグマイヤーとかいう奴がどれ程の実力かは知らないが、せめて最後までやり抜くのが礼儀だろうに。
『大変残念ではありますが、今年の拳闘大会優勝は……え?』
優勝を宣言しようとした時、コレットが司会の男性に話し掛けている。
『え?いや、しかし、いいんですか?』
何か始まるみたいだ。
『えー、ゴホン、コレット選手の提案により、これからエキシビションマッチを開催致します!』
エキシビションマッチとな?
『これから十分間、新規エントリーを受け付けます、対戦相手はコレット選手』
ふむ、参加者がコレットに挑戦って事かな。
『勿論、勝った方にはこの……』
ここで賞品を見た俺は驚く事になる。
『賞品"宝樹の水晶実"をお渡しします!』
宝樹の水晶実!?レジェンダリー級の激レア錬金素材じゃないか!普段は国が厳重に管理している宝樹からしか取れない、錬金術師なら喉から手が出るほど欲しい素材だ。
『さぁ、参加する意思の有る方は受付で登録してください!』
くっ、どうする?賞品は正直欲しい、だが、至近距離でコレットと対峙は……。
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『さぁ、参加選手の募集が終わりました!』
結局俺は。
『拳王コレット選手に挑戦するのは、この五人だ!』
闘技場に立っていた。
勿論最大限の隠蔽は使っている、まず目部下に隠者のローブを被る、隠者のローブはフードを被っている間認識を阻害する物だ、以外にもポピュラーな物なので闘技場の売店に売っていた、王族がお忍びで来る際に使うらしい。
更に、アガートラームとガントラームをカラーリング魔法で鉄色に染めた、カラーリングは物を任意の色に変える魔法だが、アーティファクトのアガートラームとガントラームはその性質のせいか三時間しか色を変えられない。
「色が戻ったらさすがにばれるよな……」
『えー、それでは順番に舞台に上がり挑戦頂きましょう!』
「へへ、俺が一番だ、文句は無いな?」
一番に名乗りを上げたのはならず者風の大男、まぁ、宝樹の水晶実は高値で売れるからな、そりゃこういった奴も出てくるわな。
「悪いな嬢ちゃん、本気で行くぜ!」
大男が大振りに拳を振り上げるが。
「ふっ!」
「がはっ!?」
ドンッという音と共に大男が吹き飛ばされ場外に落ちる。
「次の方お願いします」
まるで興味がないように促すコレット、その後も。
「おりゃー」
「ふっ!」
ドサッ。
「うおー」
「やっ!」
ドサッ。
「せいゃー」
「はっ!」
ドサッ。
と、全て一撃で場外に落ちる同じ展開が繰り返される。
『えーっと………』
司会の入る余地の無いワンキルに会場は冷めきっていた。
「最後の方」
コレットが俺を見ながら言う、いつの間にか最後の一人になっていた。
「……よろしく」
『挑戦者さん、フードとガントレットを取って…』
司会が取るように言うが。
「そのままで構いません」
『え?いや、しかし』
「行きます!」
司会を無視してコレットが突きを放つが。
パンっ。
「くっ……」
それをはじく。
「やっ!」
「はっ!」
「せい!」
下段蹴り、肘打ち、回し蹴りの順番でコレットが繰り出すが。
スッ。
パシッ。
パンッ。
避ける、止める、弾くで防ぐ。
「やぁぁ!」
渾身の踏み込みからの正拳突きを受け止める。先に言っておくが俺は格闘家じゃない、コレットと打ち合えているのはアーティファクトと。
「………変わらないな」
長年見続けて来たコレットの動きを覚えていたからである。
「………あなた、お兄ちゃんですね?」
さすがにバレるか、でも。
「…………」
答えはしない。
「お兄ちゃんなんでしょ!?」
「…………」
「何で答えてくれないの?」
「…………」
「どうしてわたし達を置いていったの!?」
「…………」
「答えてよ!」
コレットが叫ぶが、俺は答えない。
「くっ、あぁぁ!」
堪らず、コレットが大振りに拳を振り上げる、それを掴み。
「あっ!?」
背負い投げで場外へ。
『じょ、場外!コレット選手の敗けです!』
何とか受け身を取ったコレットだが、その背はリングの外に落ちてしまった。
「そ、そんな………」
落ち込むコレットに手を差し出す。
「っ……」
手を掴んだコレットを助け起こし、耳元に口を近づける。
「まだまだ、だな?」
コレットにだけ聞こえるように囁き、司会の元へ移動する。
「あっ、お兄ちゃん……」
何か言いたそうなコレットを残して、俺は賞品を受けとるとその場を去った。
闘技場を出た所で魔法が解けガントレットが元の金と銀に戻る。
「ふぅ、ギリギリだったな………」
フードを外し街中を歩いていると。
「………つけられてる?」
最初はコレットが追いかけてきたのかとも思ったが。
「コレットがこんな下手につけてくるはず無い、人数は……複数?」
気配を探れば、一人や二人じゃない人数が着いてきていた。
「宝樹の水晶実狙い?その割には動きが……」
確かめるため、角を何度か曲がり裏通りの人気の無い所へ向かう。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
裏通りの路地の一角、気のせいではない事を確認し着いてきていた奴等を待つ。
「俺に何か用か?」
「へっへっへ、あんたが勇者パーティーの錬金術師だな?」
「元な」
どうやら用があるのは賞品ではなく、俺自身らしい。
「金と銀の腕、お前を城に連れていけば報酬がたんまりだ」
城?ふむ、ひょっとして勇者関連か?めんどくさいな、転移で逃げるか。
「お兄ちゃん!」
逃げる算段を立てていると、コレットが現れ俺と男達の間に割って入った。
「コレット?」
「ここはわたしに任せて行って!」
「いや、でもな」
「早く!」
コレットの剣幕に押され俺は転移した。
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ここから物語は動き出すんだが、今日はここまでだな。
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