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第5章三国会議

10.ラスボスらしい

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ミーアの案内で城内を進む、トラップ等はなくただ進むだけ、実につまらない。

そして何より……

「明様、そこに段差が有りますのでお気をつけ下さい」

ミーアの過保護がつらい、この後クロエ達に会わせなきゃいけないんだよな?会わせたくないな。

「ところでミーアさん?」

「何でしょう明様、あと、敬称は要りません、ミーアとお呼びください、何でしたら下僕(いぬ)と……」

「ミーア、ここでは何をしているのか知ってるか?」

「はい、何でも終わりを作っていると言っていました」

「……なんのこっちゃ」

「すいません、詳しくは知らないんです」

終わりって何だろうか。

「殺戮兵器とか?」

「いやいや、物騒すぎでしょ」

「じゃあ鈴は何だと思う?」

「えっ?うーん」

「鈴にとっての終わり、体重計?」

「ちょっと澪さんや?ひどくない?」

「あ、ごめん鈴」

「ゆるさん!澪!!」

「きゃー!」

和気あいあいと魔王城進むってどうなんだろうか?まぁ、考えてもしかないか。

「ミーア他に情報は?」

「申し訳ありません、何かを作っているとしか……」

「そうか」

「あぁ、明様のお役にたてないなど、この命に価値が……」

「あぁ、そうゆうのいいから、とりあえず進もうよ」

「……何でしょう、明様のあしらい方が手馴れているような?」

何故とは言わないが、そりゃ馴れるよ同じ様なのが既に六人居るからな。


しばらく進むと大きな扉の前でミーアが止まる。

「こちらが魔王の間です」

「魔王の間ってまたベタな」

明らかに魔王が勇者を待つために作られてるな、俺勇者じゃないけど。

「この奥に魔王・デスが居ります」

「ま、待って!魔王・デスって、おもいっきりラスボスじゃん!」

鈴が驚きの声を上げる、魔王・デス確かゴーストが倒してもらいたいと言っていたな。

「いや、ラスボスとは限らないんじゃないか?大魔王とか居るかもしれないし」

「いえ、大魔王は居ません、魔王・デスが全ての魔王の頂点で間違いありません」

あー、やっぱりここにラスボスが居るのな、しかたない。

「よし、帰ろう!」

「いやいや、何いい笑顔で言ってんの!?ダメに決まってるでしょ!」

「大丈夫、エレナ姫だったら許してくれるさ」

そうこうしている間に、魔王の間の扉が独りでに開く。

「ほら!入って来いって!」

……少し中に入り扉の取っ手を掴み扉を閉める。

「明?なにしてんの?」

「無かった事にならないかなと」

「いや、無理でしょ、ほら」

鈴が指差す方を見ると、扉が消えていた、後ろ(来た方)を見ると壁ができて戻れなくなっている。

「はぁ、仕方ない行くか」

しぶしぶ魔王の間へと入る。

「明くんは何でそんなに入りたくないの?」

「そうよ!明なら、ワンパンでしょ!」

「いや、ワンパンではねぇよ?うーんラスボスってさ、もっとこうさ、難解なダンジョンを抜けた先にとかさ、いろいろ有るじゃん?」

「いろいろ?」

「わかる、わかるわよ明」

澪が首をかしげ、鈴がうん、うんと頷く、ゲーマーにしか分からない拘りだ。


魔王の間を進むと、玉座に座る人影を見つける。

人影は青年というよりは少年と言っていいほど幼く感じる顔立ちをしていた。

「ふ、ふははは、えっと、よくぞ来たな勇者どもよ!(棒読み)」

何か始まった!?

「あ、あれ?反応が……これであってるんですよね?」

誰に聞いてんだと思ったが、隣に居た鎧騎士が親指を立てていた、置物かと思ったが違った、そして良く見ると反対の手には骸骨になった首を持っていた、デュラハン?いやでも首白骨化してるし。

『ひっ!』

あー、そう言えば澪も鈴もホラー系は苦手だっけ?澪は完全に見るのもダメ、鈴は怖いもの見たさで見るけど結局ダメ、ゴーストの時は平気そうだったけどあの時はそれどころじゃなかったしな。

澪と鈴が俺の背中に隠れる、ふむ。

「鈴、俺の背中は一つしかない」

「え?うん」

「なので、澪に譲って鈴は出ていきなさい」

「ひどっ!?」

「まぁ待て、俺や司よりも広くて隠れやすい背中があるだろ?」

「あ、そっか敦背中貸して!」

「う、うむ、構わないぞ?」

ん?敦の顔が若干引きつってる?敦も図体でかいのにホラー苦手なんだっけ?まぁ、がんばれー。

「あのー、そろそろ良いですか?」

「うん?あぁ、待たせたな」

「いえいえ、では改めて、さ、さぁ勇者よ!お、お前の持つ聖魔剣で我を倒せるかな?(棒読み)」

「あー、ちょっと待ってくれ、俺勇者じゃないんだけど?」

「え?」

「あと、聖剣?それとも魔剣?両方出すのはできないんだがどっちで戦えばいいんだ?」

「え?あれ?あの、つかぬことをお伺いしますがエルフの森へは?」

「まだ行ってない」

「えー!そんな、それじゃあまだ……」

頭を抱える魔王・デス、どうやら段取りがあって、俺はそれを無視して来てしまったらしい。

「何かごめん」

「あ、いえ、こちらの都合で申し訳ないんですが今はまだ戦えなくて……」

「あぁ、うん」

「また日を改めてお願いします」

「わ、わかった、一つだけ質問いいか?」

「はい大丈夫ですよ?」

「君がラスボスで良いんだよね?」

「はい!そうです!」

良い笑顔で答えられた、どうやらこの少年?がラスボスらしい。
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