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第5章三国会議
1.法国で買い物
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大聖堂を後にした俺達は市場に来ていた、
この国の市場は巡礼のために来る行商が多く、店舗と言うより屋台が多い。
「なんかお祭りの出店を思い出すね」
「うん、うん、わくわくするよね」
「食べ物だけじゃなく、武器や防具を売ってるのはさすが異世界って感じだな」
しばらく露店を見ながら歩いていると、鈴と澪が突然立ち止まった。
「ん?どうした?」
「あ、あれ!」
「まさか、こんな、所に?」
二人が震える指を指す先には、一つの出店その名前は「きじやき」と書いてある。
元の世界、日本で言うクレープだな。
「あ、あれ!あれ食べよ!」
「うん、行くよ!」
走り出す二人を見つつため息をつく。
「そう言えば二人ともクレープ大好きだったけ?」
「移動販売を見つけるたびに突撃してたからね」
「うぅむ、甘いものは苦手なんだが……」
「敦は今後のために食べられるようになっとけよ」
「うぅむ……」
と、男三人でため息混じりに話していると、店の前で膝をつき崩れ落ちる二人を目にする、何してんだあの二人。
「どうした?」
「あ、明くん、このお店……」
「店がどうした?と言うか、絶望した顔で店の前で蹲るな、軽い営業妨害だぞ」
「明、原因はこれみたいだよ?」
司の言葉に店のメニューに目をやると、そこには甘ったるい名前のクレープではなく、チキンなどのいわゆるおかずクレープの名前がずらり。
「なるほど、この世界でのきじやきってこう言う物なのか?」
店員に聞いてみる。
「は、はいほとんどのお店でそうですが」
「あ、甘いものは!?せめて果物を乗せたりは!?」
「あまり聞いたことはないですね」
「そ、そんな……」
店員の言葉に再度絶望する澪と鈴、さすがにこれ以上はお店に迷惑が掛かるので移動させる。
「こんな事があるなんて……」
「神様、なんでこんな仕打ちを……」
「そこまでか?」
「明くんにはわからないよ!私達の気持ちなんて!!」
「うん、ごめん、まったくわからん」
「うぅ……」
崩れ落ちる鈴と澪、このままでは埒が明かないので、仕方なく再度店員のところへ。
「邪魔するぞ?」
「あぁ、先程の、何かすいません」
「いや、こちらこそ迷惑をかけた、所で折り入って頼みがあるんだが……」
店員に謝りつつ図々しいとは分かっているが、質問する。
「……なるほど助かった、感謝する」
「いえ、いえ、お役にたてて良かったです」
質問に快く答えてくれた店員に感謝しつつ澪達の所に戻る。
「そろそろ行くぞ」
「うぅ……」
未だに立ち直らない澪達を連れて今度は食べ物が売って居る場所へ。
「さて、材料はここら辺で見つかるそうだが……」
「明、何の材料だい?」
「クレープだ」
「クレープ!?」
俺の言葉にやっと復活する二人。
「明くん作れるの!?」
「前に家で作った事はある」
「明は本当に何でもできるね?」
「材料が見つかればな」
「なんて言う材料!?あたし探してくる!!」
「私も!!」
二人とも目が血走ってる、若干引く。
それはさておき、きじやき屋から聞いた生地の材料と適当なフルーツとチョコレートやホイップクリーム擬きを手分けして買い、宿に向かう。
「ん?」
「どうしたの明、早く戻ってクレープ作るわよ!」
「いや、作るの俺だけどな?じゃなくて、あれクロエ達じゃない?」
「あ、本当だ、ここで露店出してたんだね」
「ちょっと寄ってくか」
「うー、まぁちょっとだけなら……」
一番の食いしん坊から了解を得てクロエ達の露店に寄る。
「よう、お疲れさん」
「これは明様、この様なところに」
「ここで何を売っているんだ?」
「主に装飾品などを」
「装飾品?」
「ハイ、御守りや髪飾り、ブレスレット等です」
「へぇ~かわいい、クロエさん達が作ったんですか?」
「ハイ、急遽製作したので出来がいまいちなのがお恥ずかしい限りです」
「いや、良くできてると思うけどな」
「お誉めに預かり光栄です明様」
ちなみに他にも食料や武器を売るための露店も出しているらしい、材料を探しているとき気付かなかったけどな……
ある程度クロエ達と雑談を交わし、再度宿に向かうため後にしようとした時、澪だけ引き留められた、何でも渡したいものがあるとか。
「どうしたのクロエさん、渡したい物って?」
「こちらでございます」
「こ、これは!」
「明様を模した人形です、是非とも澪さんに渡したいと思いとって置きました」
「クロエさんありがとう!」
「いえ、いえ、つきましては今後とも是非明様の身の回りの物を……」
「うん、隙があればね?」
「うふふふふ」
「くふふふふ」
何か笑い合ってる二人を見て寒気がする。
〈マスターはもっと自分の身の回りを注意するべきかと……〉
え?何かあるの?
〈いえ、まぁ、はい〉
ナビさんが言い淀むなんて、気を付けよ。
ひとしきり笑い合い、気が済んだのか澪が帰ってくる。
「お待たせ~」
「何をもらったんだ?」
「え!?いや、たいしたものじゃないよ!?」
妙に気になるが、まぁいいか。
宿に戻るとエレナ姫が帰っており、クレープの話をする。
「甘いきじやきですか、想像つきませんね」
「すっごく美味しいんだから!」
「それを、工藤様がですか、信じられませんね」
「じゃあ、エレナ姫は無しっと…」
「い、いえ、食べます、食べたいです、食べさせてください」
「最初から素直にしていればいいのに」
宿の店主に厨房を借りる。
「明くん、私達も手伝うよ」
「ふむ、鈴と司は採用、残りはゴーホーム」
「え~何で~?私も料理したい!」
「敦は手先が不器用だし、澪は料理なんて論外だし、エレナ姫は未確認生命体だし」
「未確認生命体!?」
「いいから、帰れ」
「うぅ……」
料理が出来ない三人を追い出し、調理を始める、鈴と司はそこそこ料理スキルがあるのである程度の指示だけで十分理解してくれる、スムーズに進むから楽でいい。
これが澪や敦なら目が離せず進みが遅くなる、澪なんて目を離すとクリーチャーが産み出されるからな。
「さて、完成っと」
「わぁ、美味しそう!」
「じゃあ持っていって食べようか」
「そうだね、澪が首を長くして待ってるだろうし」
「鈴も食べたそうだしね」
「え?あたし?」
「さっきから目が離せてないぞ、あと涎汚いからふけ」
食いしん坊達がこれ以上待てなさそうなので早く席に持って行こう。
「お待たせ~!」
席に近づくと鈴に皿をかっさらわれる、どんだけ食いたかったんだよ。
「う~我慢できない、早い者勝ち!」
「こら!鈴、行儀悪いよ!」
「鈴、良ければ俺のも食べるか?」
「敦はやっぱり甘いのダメか」
「これが、クレープですか初めて食べましたが美味しいですね」
騒がしくクレープを食べる鈴達、まぁたまにはこうゆうのもいいか。
この国の市場は巡礼のために来る行商が多く、店舗と言うより屋台が多い。
「なんかお祭りの出店を思い出すね」
「うん、うん、わくわくするよね」
「食べ物だけじゃなく、武器や防具を売ってるのはさすが異世界って感じだな」
しばらく露店を見ながら歩いていると、鈴と澪が突然立ち止まった。
「ん?どうした?」
「あ、あれ!」
「まさか、こんな、所に?」
二人が震える指を指す先には、一つの出店その名前は「きじやき」と書いてある。
元の世界、日本で言うクレープだな。
「あ、あれ!あれ食べよ!」
「うん、行くよ!」
走り出す二人を見つつため息をつく。
「そう言えば二人ともクレープ大好きだったけ?」
「移動販売を見つけるたびに突撃してたからね」
「うぅむ、甘いものは苦手なんだが……」
「敦は今後のために食べられるようになっとけよ」
「うぅむ……」
と、男三人でため息混じりに話していると、店の前で膝をつき崩れ落ちる二人を目にする、何してんだあの二人。
「どうした?」
「あ、明くん、このお店……」
「店がどうした?と言うか、絶望した顔で店の前で蹲るな、軽い営業妨害だぞ」
「明、原因はこれみたいだよ?」
司の言葉に店のメニューに目をやると、そこには甘ったるい名前のクレープではなく、チキンなどのいわゆるおかずクレープの名前がずらり。
「なるほど、この世界でのきじやきってこう言う物なのか?」
店員に聞いてみる。
「は、はいほとんどのお店でそうですが」
「あ、甘いものは!?せめて果物を乗せたりは!?」
「あまり聞いたことはないですね」
「そ、そんな……」
店員の言葉に再度絶望する澪と鈴、さすがにこれ以上はお店に迷惑が掛かるので移動させる。
「こんな事があるなんて……」
「神様、なんでこんな仕打ちを……」
「そこまでか?」
「明くんにはわからないよ!私達の気持ちなんて!!」
「うん、ごめん、まったくわからん」
「うぅ……」
崩れ落ちる鈴と澪、このままでは埒が明かないので、仕方なく再度店員のところへ。
「邪魔するぞ?」
「あぁ、先程の、何かすいません」
「いや、こちらこそ迷惑をかけた、所で折り入って頼みがあるんだが……」
店員に謝りつつ図々しいとは分かっているが、質問する。
「……なるほど助かった、感謝する」
「いえ、いえ、お役にたてて良かったです」
質問に快く答えてくれた店員に感謝しつつ澪達の所に戻る。
「そろそろ行くぞ」
「うぅ……」
未だに立ち直らない澪達を連れて今度は食べ物が売って居る場所へ。
「さて、材料はここら辺で見つかるそうだが……」
「明、何の材料だい?」
「クレープだ」
「クレープ!?」
俺の言葉にやっと復活する二人。
「明くん作れるの!?」
「前に家で作った事はある」
「明は本当に何でもできるね?」
「材料が見つかればな」
「なんて言う材料!?あたし探してくる!!」
「私も!!」
二人とも目が血走ってる、若干引く。
それはさておき、きじやき屋から聞いた生地の材料と適当なフルーツとチョコレートやホイップクリーム擬きを手分けして買い、宿に向かう。
「ん?」
「どうしたの明、早く戻ってクレープ作るわよ!」
「いや、作るの俺だけどな?じゃなくて、あれクロエ達じゃない?」
「あ、本当だ、ここで露店出してたんだね」
「ちょっと寄ってくか」
「うー、まぁちょっとだけなら……」
一番の食いしん坊から了解を得てクロエ達の露店に寄る。
「よう、お疲れさん」
「これは明様、この様なところに」
「ここで何を売っているんだ?」
「主に装飾品などを」
「装飾品?」
「ハイ、御守りや髪飾り、ブレスレット等です」
「へぇ~かわいい、クロエさん達が作ったんですか?」
「ハイ、急遽製作したので出来がいまいちなのがお恥ずかしい限りです」
「いや、良くできてると思うけどな」
「お誉めに預かり光栄です明様」
ちなみに他にも食料や武器を売るための露店も出しているらしい、材料を探しているとき気付かなかったけどな……
ある程度クロエ達と雑談を交わし、再度宿に向かうため後にしようとした時、澪だけ引き留められた、何でも渡したいものがあるとか。
「どうしたのクロエさん、渡したい物って?」
「こちらでございます」
「こ、これは!」
「明様を模した人形です、是非とも澪さんに渡したいと思いとって置きました」
「クロエさんありがとう!」
「いえ、いえ、つきましては今後とも是非明様の身の回りの物を……」
「うん、隙があればね?」
「うふふふふ」
「くふふふふ」
何か笑い合ってる二人を見て寒気がする。
〈マスターはもっと自分の身の回りを注意するべきかと……〉
え?何かあるの?
〈いえ、まぁ、はい〉
ナビさんが言い淀むなんて、気を付けよ。
ひとしきり笑い合い、気が済んだのか澪が帰ってくる。
「お待たせ~」
「何をもらったんだ?」
「え!?いや、たいしたものじゃないよ!?」
妙に気になるが、まぁいいか。
宿に戻るとエレナ姫が帰っており、クレープの話をする。
「甘いきじやきですか、想像つきませんね」
「すっごく美味しいんだから!」
「それを、工藤様がですか、信じられませんね」
「じゃあ、エレナ姫は無しっと…」
「い、いえ、食べます、食べたいです、食べさせてください」
「最初から素直にしていればいいのに」
宿の店主に厨房を借りる。
「明くん、私達も手伝うよ」
「ふむ、鈴と司は採用、残りはゴーホーム」
「え~何で~?私も料理したい!」
「敦は手先が不器用だし、澪は料理なんて論外だし、エレナ姫は未確認生命体だし」
「未確認生命体!?」
「いいから、帰れ」
「うぅ……」
料理が出来ない三人を追い出し、調理を始める、鈴と司はそこそこ料理スキルがあるのである程度の指示だけで十分理解してくれる、スムーズに進むから楽でいい。
これが澪や敦なら目が離せず進みが遅くなる、澪なんて目を離すとクリーチャーが産み出されるからな。
「さて、完成っと」
「わぁ、美味しそう!」
「じゃあ持っていって食べようか」
「そうだね、澪が首を長くして待ってるだろうし」
「鈴も食べたそうだしね」
「え?あたし?」
「さっきから目が離せてないぞ、あと涎汚いからふけ」
食いしん坊達がこれ以上待てなさそうなので早く席に持って行こう。
「お待たせ~!」
席に近づくと鈴に皿をかっさらわれる、どんだけ食いたかったんだよ。
「う~我慢できない、早い者勝ち!」
「こら!鈴、行儀悪いよ!」
「鈴、良ければ俺のも食べるか?」
「敦はやっぱり甘いのダメか」
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