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台風のせい
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図書館に帰りの音楽が流れ始めて、閉館時間を知らせる。
自分の都合で付き合わせてしまった先生に、少しの罪悪感。
「先生、忙しいのにありがとうございました」
「うんん、私でよかったらいつでも相談にのるからね」
優しい笑顔でそう言う先生。
胸が苦しくなる。
外に出るとさっきまで降っていなかったのに土砂降りの雨で。
明日台風が来るって柾木が言っていたことを思い出した。
今日は晴れの予報だったし傘を持ってきていない。
先生も空を見上げて唖然としていた。
「先生、傘は?」
「忘れちゃった」
「俺もです」
「困っちゃったね」
図書館の前で2人で立ち往生。
「すみません、俺が引き止めたせいで」
「気にしないで。でもこの雨、当分やみそうにないね」
先生はずっと雨を眺めている。
そう言えば、先生が初めて学校に赴任してきた時も、こんな大雨の日だった。
「先生の家はどこらへんですか?」
「ここから歩いて10分ぐらいのとこ。里巳くんは駅よね、ここから駅だと…」
「15分ぐらいですかね」
「遠いね」
結局何の解決策も浮かばないまま、2人で雨を眺めていた。
すると遠くの空が光って。
雷が落ちた。
「きゃっ」
音はそんなに大きくなかったのに、先生がすごくびっくりしていた。
「大丈夫ですか?」
「あ、うん、ごめん。大丈夫」
先生はそう言うけど、全然大丈夫じゃなさそう。
また光って、先生は肩をすくめた。
「先生ってもしかして雷怖いんですか?」
「怖い訳じゃ…大きな音が苦手なだけ」
そう言って、後ろを向いてしまった。
「見栄張っちゃって」
俺はブレザーを脱いで先生の頭の上に被せた。
「え?」
先生は驚いた顔で俺を見る。
「ここにいても雨やみそうにないので、送ります」
そう言ってブレザー越しに先生の肩をギュッとする。
「だめだよ、里巳くんが風邪引いちゃう」
先生はせっかく俺が被せたブレザーをとって、俺に返してくる。
「雷怖いんでしょ?」
俺はその返ってきたブレザーをもう一度先生に被せた。
「行きますよ」
先生が遠慮してしまう前に、強引に先生の手を握って雨の中に飛び込んだ。
雨の中、走っている間も何回か雷が鳴っていて。
その度に先生は俺の手をギュッと力強く握った。
その度にドキドキして。
今は俺が先生を守りたいって、そう思った。
自分の都合で付き合わせてしまった先生に、少しの罪悪感。
「先生、忙しいのにありがとうございました」
「うんん、私でよかったらいつでも相談にのるからね」
優しい笑顔でそう言う先生。
胸が苦しくなる。
外に出るとさっきまで降っていなかったのに土砂降りの雨で。
明日台風が来るって柾木が言っていたことを思い出した。
今日は晴れの予報だったし傘を持ってきていない。
先生も空を見上げて唖然としていた。
「先生、傘は?」
「忘れちゃった」
「俺もです」
「困っちゃったね」
図書館の前で2人で立ち往生。
「すみません、俺が引き止めたせいで」
「気にしないで。でもこの雨、当分やみそうにないね」
先生はずっと雨を眺めている。
そう言えば、先生が初めて学校に赴任してきた時も、こんな大雨の日だった。
「先生の家はどこらへんですか?」
「ここから歩いて10分ぐらいのとこ。里巳くんは駅よね、ここから駅だと…」
「15分ぐらいですかね」
「遠いね」
結局何の解決策も浮かばないまま、2人で雨を眺めていた。
すると遠くの空が光って。
雷が落ちた。
「きゃっ」
音はそんなに大きくなかったのに、先生がすごくびっくりしていた。
「大丈夫ですか?」
「あ、うん、ごめん。大丈夫」
先生はそう言うけど、全然大丈夫じゃなさそう。
また光って、先生は肩をすくめた。
「先生ってもしかして雷怖いんですか?」
「怖い訳じゃ…大きな音が苦手なだけ」
そう言って、後ろを向いてしまった。
「見栄張っちゃって」
俺はブレザーを脱いで先生の頭の上に被せた。
「え?」
先生は驚いた顔で俺を見る。
「ここにいても雨やみそうにないので、送ります」
そう言ってブレザー越しに先生の肩をギュッとする。
「だめだよ、里巳くんが風邪引いちゃう」
先生はせっかく俺が被せたブレザーをとって、俺に返してくる。
「雷怖いんでしょ?」
俺はその返ってきたブレザーをもう一度先生に被せた。
「行きますよ」
先生が遠慮してしまう前に、強引に先生の手を握って雨の中に飛び込んだ。
雨の中、走っている間も何回か雷が鳴っていて。
その度に先生は俺の手をギュッと力強く握った。
その度にドキドキして。
今は俺が先生を守りたいって、そう思った。
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